第23話:地獄の遊戯
本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。
まずは目の前のイヴァンを狙う。理由なんてない。そこにいるからだ。
剣を振り上げ、一気に踏み込む。イヴァンも反応して剣を構えるが──受けきれない。
刃がぶつかった瞬間、イヴァンは顔をしかめ、体をひねって辛うじて軌道をそらす。
だが──ふっ、甘いな。逃がす気はない。
息を挟む隙も与えず、横薙ぎに剣を叩き込む。ギリギリで受け止めたイヴァンの足が滑り、体勢ごと横へ弾き飛ぶ。
床へ転がったイヴァンに、俺はもう次の一撃を振り下ろしていた──
ガンッ!
『蒼銀の翼』の盾役が、振り下ろした剣を無理やり受け止めた。
……ちっ。邪魔だ。こんな軟い盾、意味ねぇ。拳を握りしめ、そのまま盾ごと殴り抜く。砕け散った破片と鈍い音と共に盾役が倒れ込む。やっぱ弱い。
イヴァンの顔が恐怖で歪む。そんな驚くか? まあいい。次は──お前だ。
そのまま斬りかかろうとした瞬間、突然カティアが飛び出してきて、剣の前に立ちはだかった。
グッと踏みとどまる。まじで何してんだ、こいつ……呆れるわ。
「……カティア。何回言ったらわかるんだ。危ないじゃないか。なんで邪魔するんだ……」
「だってー……。お兄ちゃんが、人を傷つけたら、私がお父さんとお母さんに怒られちゃうもん」
カティアが目に涙をためて言ってくる。
はぁ、どういうことだよ。まるで意味がわからない。
「なんで、お前が怒られるんだよ」
父さんと母さんがなんだっていうんだ。こいつ、二人に何か言われてるのか?
俺が怒られるようなことをしてるのか? いや、してないはずだけど……さっぱりわからん。
「それに、そいつら俺に勝負を挑んだんだ……。腕や足や胴体の一つ二つくらい、覚悟できてるだろ」
目に涙を溜めたまま話を聞いていると思ったら、突然プッと吹き出す。は? 今なんで笑ったんだ……? 思わず呆れて、距離を置きたくなる。
「やだ、お兄ちゃん。胴体は一つしかないよ〜! あはは」
笑えることなんて一切言ってないのに、何がおもしろいんだ? こいつ、感情の起伏がバグってるんじゃないか。
そもそも父さんも母さんもここにはいない。何しようが関係ないだろうに。怒られるとか言ってるけど、言わなきゃ誰にもバレないのに。
「カティア……。お前が黙ってれば、父さんにも母さんにもバレない」
言わなきゃバレない。何をしても自由だ――そんな考えがじわりと胸に広がり、思わず笑みがこぼれた。
「えーーん。お父さん! お母さん! お兄ちゃんが人殺しになっても、カティアを許してーーーーっ!!」
「カ、カティアちゃん、諦めないでくれー!」
「そうだ! 俺たちの命はカティアちゃんにかかってるんだ!」
あー、うるさい。ギャーギャー騒ぐやつらが目障りで仕方ない。気に食わない顔してるから、ひとまずあいつを斬る。踏み込む足に力を込め、一気に跳躍。男が息を飲む間もなく、鋭く腕を斬り裂く。風切り音と共に切り離された腕が宙を舞い、手に伝わる感触が全身を震わせた。たまらなく気持ちいい。
一瞬の静寂の後、俺の刃に斬られた男の悲鳴が、広い空間に鋭く響き渡った。
胸にゾクゾクとした快感が広がり、次の獲物をもう探している。ああ、こんな感覚をもっと早く味わっていればよかった。あんな用意された“おもちゃ”なんかより、こっちのほうがよっぽど面白い。
「あ、あああーっ! やっぱり無理いぃぃいいっ!!」
突然カティアがしゃがみ込んで泣き叫んでるけど、そんなのどうでもいい。あいつの意味不明な感情なんて放っておけばそのうち止むだろ。
俺はもっと、もっと斬りたいんだ。
標的は訳の分からん勝負を挑んできた奴らだ。逃げ惑うそいつらを、斬って、斬って、斬り刻んでやる。斬って斬って斬って!
血の匂いと断末魔が脳を焼き尽くす。興奮が全身を駆け巡る。ああ、たまんねえ、最高だ!
イヴァンがしぶとく立ちはだかる。弱いくせにいい動きをする。まさに理想の“おもちゃ”だ。斬りつけても、時折うまくかわしやがるから、飽きずに楽しめる。
いいぜ、その調子だ。もっと遊ぼうじゃねぇか。
「カティア嬢! しっかりしてくれ!! 君がしっかりしてくれないと……ここは、モンスター相手よりも地獄になるっ!!」
イヴァンが唐突にカティアに声を投げかけた。
モンスターより地獄だと? 笑わせる。あんなモンスターもどきで、こいつらが地獄を感じてたのかよ。
「いいね。もっと地獄を味あわせてやるよ」
思わずにやける。
「くっ!」
イヴァンは苦虫を噛み潰したような顔でいる。向こうでは『蒼銀の翼』の連中がカティアに何か言っているが、カティアに何か言ったところで何も変わるまい。馬鹿な奴らだ。
それより俺は、この“おもちゃ”に集中する。
「ほらイヴァン、かかってこいよ。勝負したかったんだろ?」
「くそっ!」
悪態を吐き捨て、イヴァンが突っ込んでくる。
俺は軽くかわし、剣を振る。避けて、避けて、時に受け止めて、斬りつける。
イヴァンの剣をギリギリの力と速度で制御しながら、時折その刃が彼の身体をかすめる。
微かに切れた肉片が散るたび、身体の奥から冷たい快感がじわりと湧き上がる。
……これが堪らねぇ。もっと味わいたくなる。
“サーシャ、楽しそうですね”
“イヴァンは良い遊び相手のようですね”
“あっちのイヴァンは弱かったのにな”
“あー、あっちのイヴァンは偽物でしょう。こっちが本当のイヴァンです”
“なに? 人の区別は難しいな”
あー、うるせぇ! 人が盛り上がってるってのに、いきなり口出すなよ、いい加減にしろってんだ!
その時、遠くで『蒼銀の翼』の連中が騒いでいる声が聞こえた。
「えーーーーーーっ!!」
視界の端に、カティアが両手を広げて“じゃーん!”とでも言いたげな顔で立っているのが見えた。
何やってんだ、あいつ……。楽しんでやがる……。
“カティアが何かしているぞ”
“ほう、あれはエルフの霊薬か”
“面白いな。腕がくっつくのか?”
“あれをゴーレムの核にかければ直るんじゃないか?”
“おお! それは名案だ!”
は? お前ら、カティアと話できないだろ。何言ってんだよ。
“サーシャ! カティアにそれを核にかけてくれと頼め!”
“おお、そうだ! サーシャ、頼むぞ!”
“サーシャ! お願いだ!王にバレる前にな!”
“そうです! あんな簡単に壊れたと知ったら、王は悲しむ!”
ああもう、うるせぇんだよ! 大嫌いなあいつの話ばっかりしやがって! 人が楽しんでるってのに、余計に頭おかしくなりそうじゃねぇか!
「……本当にムカつく連中だな……」
声にならない声でつぶやく。微かに聞こえたのか、イヴァンが「え?」という顔でこっちを見る。……間抜け面してんな、こいつ。
そのイラつきをまるごと乗せて、俺はイヴァンに強烈な斬り込みを叩き込む! イヴァンは必死で剣を受け止めるが、そのまま宙へ吹き飛ばされた。
「うわあああああああっ!」
カティアたちの方に向かって、イヴァンはそのまま落ちていく。
「ぐはっ!」「ふべっ!」と変な声を漏らしながら、二度ほど不格好にバウンドした。
手を必死に伸ばしてカティアに触れ、霊薬を受け取ると、ためらわずに振りかけて飲み込んだ。傷がみるみる塞がっていく。
ああ、そうか……。なるほど。あいつ、俺ともっと遊びたいらしい。歓喜に歪んだ顔を作り、剣を引きずりながらゆっくりと歩き出す。
いいぜ、いいぜ。イヴァン、もっと遊ぼうじゃねえか。




