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私の可愛いお兄ちゃん  作者: みてりつき
《サーシャside》
23/26

第23話:地獄の遊戯

本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。

 まずは目の前のイヴァンを狙う。理由なんてない。そこにいるからだ。

 剣を振り上げ、一気に踏み込む。イヴァンも反応して剣を構えるが──受けきれない。

刃がぶつかった瞬間、イヴァンは顔をしかめ、体をひねって辛うじて軌道をそらす。

 だが──ふっ、甘いな。逃がす気はない。

 息を挟む隙も与えず、横薙ぎに剣を叩き込む。ギリギリで受け止めたイヴァンの足が滑り、体勢ごと横へ弾き飛ぶ。

床へ転がったイヴァンに、俺はもう次の一撃を振り下ろしていた──

 ガンッ!

 『蒼銀の翼』の盾役が、振り下ろした剣を無理やり受け止めた。

……ちっ。邪魔だ。こんな軟い盾、意味ねぇ。拳を握りしめ、そのまま盾ごと殴り抜く。砕け散った破片と鈍い音と共に盾役が倒れ込む。やっぱ弱い。

 イヴァンの顔が恐怖で歪む。そんな驚くか? まあいい。次は──お前だ。

 そのまま斬りかかろうとした瞬間、突然カティアが飛び出してきて、剣の前に立ちはだかった。

グッと踏みとどまる。まじで何してんだ、こいつ……呆れるわ。


「……カティア。何回言ったらわかるんだ。危ないじゃないか。なんで邪魔するんだ……」

「だってー……。お兄ちゃんが、人を傷つけたら、私がお父さんとお母さんに怒られちゃうもん」


 カティアが目に涙をためて言ってくる。

はぁ、どういうことだよ。まるで意味がわからない。


「なんで、お前が怒られるんだよ」


 父さんと母さんがなんだっていうんだ。こいつ、二人に何か言われてるのか?

俺が怒られるようなことをしてるのか? いや、してないはずだけど……さっぱりわからん。


「それに、そいつら俺に勝負を挑んだんだ……。腕や足や胴体の一つ二つくらい、覚悟できてるだろ」


 目に涙を溜めたまま話を聞いていると思ったら、突然プッと吹き出す。は? 今なんで笑ったんだ……? 思わず呆れて、距離を置きたくなる。


「やだ、お兄ちゃん。胴体は一つしかないよ〜! あはは」


 笑えることなんて一切言ってないのに、何がおもしろいんだ? こいつ、感情の起伏がバグってるんじゃないか。

 そもそも父さんも母さんもここにはいない。何しようが関係ないだろうに。怒られるとか言ってるけど、言わなきゃ誰にもバレないのに。


「カティア……。お前が黙ってれば、父さんにも母さんにもバレない」


 言わなきゃバレない。何をしても自由だ――そんな考えがじわりと胸に広がり、思わず笑みがこぼれた。


「えーーん。お父さん! お母さん! お兄ちゃんが人殺しになっても、カティアを許してーーーーっ!!」

「カ、カティアちゃん、諦めないでくれー!」

「そうだ! 俺たちの命はカティアちゃんにかかってるんだ!」


 あー、うるさい。ギャーギャー騒ぐやつらが目障りで仕方ない。気に食わない顔してるから、ひとまずあいつを斬る。踏み込む足に力を込め、一気に跳躍。男が息を飲む間もなく、鋭く腕を斬り裂く。風切り音と共に切り離された腕が宙を舞い、手に伝わる感触が全身を震わせた。たまらなく気持ちいい。

 一瞬の静寂の後、俺の刃に斬られた男の悲鳴が、広い空間に鋭く響き渡った。

 胸にゾクゾクとした快感が広がり、次の獲物をもう探している。ああ、こんな感覚をもっと早く味わっていればよかった。あんな用意された“おもちゃ”なんかより、こっちのほうがよっぽど面白い。


「あ、あああーっ! やっぱり無理いぃぃいいっ!!」


 突然カティアがしゃがみ込んで泣き叫んでるけど、そんなのどうでもいい。あいつの意味不明な感情なんて放っておけばそのうち止むだろ。

俺はもっと、もっと斬りたいんだ。

 標的は訳の分からん勝負を挑んできた奴らだ。逃げ惑うそいつらを、斬って、斬って、斬り刻んでやる。斬って斬って斬って!

血の匂いと断末魔が脳を焼き尽くす。興奮が全身を駆け巡る。ああ、たまんねえ、最高だ!

 イヴァンがしぶとく立ちはだかる。弱いくせにいい動きをする。まさに理想の“おもちゃ”だ。斬りつけても、時折うまくかわしやがるから、飽きずに楽しめる。

いいぜ、その調子だ。もっと遊ぼうじゃねぇか。


「カティア嬢! しっかりしてくれ!! 君がしっかりしてくれないと……ここは、モンスター相手よりも地獄になるっ!!」


 イヴァンが唐突にカティアに声を投げかけた。

モンスターより地獄だと? 笑わせる。あんなモンスターもどきで、こいつらが地獄を感じてたのかよ。


「いいね。もっと地獄を味あわせてやるよ」


 思わずにやける。


「くっ!」


 イヴァンは苦虫を噛み潰したような顔でいる。向こうでは『蒼銀の翼』の連中がカティアに何か言っているが、カティアに何か言ったところで何も変わるまい。馬鹿な奴らだ。

 それより俺は、この“おもちゃ”に集中する。


「ほらイヴァン、かかってこいよ。勝負したかったんだろ?」

「くそっ!」


悪態を吐き捨て、イヴァンが突っ込んでくる。

俺は軽くかわし、剣を振る。避けて、避けて、時に受け止めて、斬りつける。

 イヴァンの剣をギリギリの力と速度で制御しながら、時折その刃が彼の身体をかすめる。

微かに切れた肉片が散るたび、身体の奥から冷たい快感がじわりと湧き上がる。

 ……これが堪らねぇ。もっと味わいたくなる。


“サーシャ、楽しそうですね”

“イヴァンは良い遊び相手のようですね”

“あっちのイヴァンは弱かったのにな”

“あー、あっちのイヴァンは偽物でしょう。こっちが本当のイヴァンです”

“なに? 人の区別は難しいな”


 あー、うるせぇ! 人が盛り上がってるってのに、いきなり口出すなよ、いい加減にしろってんだ!

 その時、遠くで『蒼銀の翼』の連中が騒いでいる声が聞こえた。


「えーーーーーーっ!!」


 視界の端に、カティアが両手を広げて“じゃーん!”とでも言いたげな顔で立っているのが見えた。

何やってんだ、あいつ……。楽しんでやがる……。


“カティアが何かしているぞ”

“ほう、あれはエルフの霊薬か”

“面白いな。腕がくっつくのか?”

“あれをゴーレムの核にかければ直るんじゃないか?”

“おお! それは名案だ!”


 は? お前ら、カティアと話できないだろ。何言ってんだよ。


“サーシャ! カティアにそれを核にかけてくれと頼め!”

“おお、そうだ! サーシャ、頼むぞ!”

“サーシャ! お願いだ!王にバレる前にな!”

“そうです! あんな簡単に壊れたと知ったら、王は悲しむ!”


 ああもう、うるせぇんだよ! 大嫌いなあいつの話ばっかりしやがって! 人が楽しんでるってのに、余計に頭おかしくなりそうじゃねぇか!


「……本当にムカつく連中だな……」


 声にならない声でつぶやく。微かに聞こえたのか、イヴァンが「え?」という顔でこっちを見る。……間抜け面してんな、こいつ。

 そのイラつきをまるごと乗せて、俺はイヴァンに強烈な斬り込みを叩き込む! イヴァンは必死で剣を受け止めるが、そのまま宙へ吹き飛ばされた。


「うわあああああああっ!」


 カティアたちの方に向かって、イヴァンはそのまま落ちていく。

「ぐはっ!」「ふべっ!」と変な声を漏らしながら、二度ほど不格好にバウンドした。

 手を必死に伸ばしてカティアに触れ、霊薬を受け取ると、ためらわずに振りかけて飲み込んだ。傷がみるみる塞がっていく。

 ああ、そうか……。なるほど。あいつ、俺ともっと遊びたいらしい。歓喜に歪んだ顔を作り、剣を引きずりながらゆっくりと歩き出す。

 いいぜ、いいぜ。イヴァン、もっと遊ぼうじゃねえか。

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