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私の可愛いお兄ちゃん  作者: みてりつき
《サーシャside》
22/26

第22話:歪んだ微笑み

本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。

 黙々と斬り刻むこの手応え。さすがにちょっと飽きてきたが、アーマーゴーレムがなんか泣いてるように見えてきて、逆に少し面白くなってきた。

 まるで「もうやめてー!」って言ってるみたいで笑えてくる。


「それにしても、なんでこいつら普通のモンスターと微妙に違うんだ……」


 そう呟いた瞬間、精霊の声が聞こえた。


“あ、それはですね。我らが王が作ったからですよ”


「……え?」


 聞いた途端、体が反射的にビクッと止まる。


“この場所そのもの、王が暇つぶしで作ったんです”

“最下層まで来られて悔しかったみたいで……その下に階層を追加してましたよ”

“サーシャが喜ぶかもしれない! と、すっごく嬉しそうに作ってましたよ”

“まさか精霊がアンデッドを作るとは思うまい! フッフッフッ……って笑ってましたし……”

“正確に言うなら、アンデット風の何かだ。モンスターですらない”


 ……嘘だろ。ここで、俺がこの世で一番聞きたくない“名”が出てくるとか。まさか、あんな奴に与えられた“おもちゃ”で嬉々として遊んでいたっていうのか。

 一瞬で気持ちの熱が引いていくのがわかった。

やる気がすっと抜け、腕が勝手に下がる。ため息が漏れる。


「ああ……飽きた」


“え、飽きたんですか!?”

“ほ、ほら! まだゴーレム動いてますよ!?”

“楽しくないんですか?ゴーレムじゃ物足りません?”

“王がサーシャのために作ったおもちゃなんですよ!?”


 精霊たちが焦った声を上げるが、知らん。俺はあいつが大嫌いだ。存在すら忘れて静かに過ごしていたのに……なんで今、この場で蘇らせるんだよ。思い出した瞬間、胃の底がねじれるほど気分が悪くなる。

 俺がやる気をなくして突っ立っている横で、アーマーゴーレムがモゾモゾと動き出した。

 ……は? 何かと思えば、急に両腕をバッと広げ、周囲に散らばったモンスターの破片を根こそぎ吸い込み始める。みるみる形が戻っていき、挙げ句の果てには──いや、明らかにさっきよりデカくなってるだろ。

 なんなんだよ、お前……そういうところまでカティアに似てんのかよ。むくむく大きくなりやがって……。

こっちはずっとこのサイズのままだってのに、なんで平然とでかくなってんだよ。

喧嘩売ってんのか? ほんっとムカつく。

 アーマーゴーレムが魔力砲を放ってきたが、剣で適当に弾く。


“あ、サーシャ”

“サーシャ、カティアが……”


 ん? とカティアの方へ視線を向けた瞬間、さっき弾いた魔力砲がそちらへ流れていくのが見えた。


「あ……」


 しまった。やっちまった。咄嗟に手を上げた俺より先に、“私が守りましょう”と風の精霊ヴェーテルが勝手に動いた。カティアたちの周囲に突風が巻き起こり、魔力砲は軌道を逸れて別方向へ飛んでいく。

 ……今日、やけにやる気だなこいつ。


“サーシャ、やりましたよ。褒めてください”


「あー、はいはい。よくやった」


 言葉だけ返したが、正直めんどくさい。ウザい。


「そのままずっとカティアを守っておけよ」


 風が落ち着き、カティアたちの様子が見えた。倒れている魔法使いみたいなやつにぴったり寄り添い、首をかしげてじっと何かを聞いている。そして大きく頷いた。


「やだ、お兄ちゃん! 詠唱忘れてるよ♡」

「あ……そんな時もある」


 そういえば詠唱してなかった。ヴェーテルが勝手に動いただけだから、それで良い気になっていた。傍目には無詠唱で魔法を扱っているように見えるよな……まあ、いいや。

 それにしても、このカティア似のアーマーゴーレム……ほんと余計なことしかしないな。

余計なことまでやるところまでカティアに似るって、一体どんだけコピーしてんだよ、勘弁してくれ。


「なんかもう、いいや、これ……」


 精霊王が作ったってだけで、むかついて仕方ない。

ゆっくり腕を上げながら、腹の底から込めるように思った──跡形もなく、徹底的に消し去ってやる、と。

 イラつきを剣に乗せ、一気に振り下ろした。

 衝撃音とともに、アーマーゴーレムは真っ二つに割れて崩れ落ちる。粉塵が舞い、機械じみた破片や骨片が散乱し、巻き込まれたモンスターが次々と潰れていった。


“ああ! 王が作ったゴーレムがぁっ!”

“そ、そ、それでもサーシャのために作ったんだから……壊しても、いいんじゃないですかね?”

“ええと……そうだな。核さえあれば、またすぐ元通りになるはずだ……”


プツン、と頭の中で何かが切れた。


「炎の精オゴニよ、我が手に灼熱の刃を刻め──」


“え?”

“えっ、サーシャ……まさか本気か?”

“え、まさか我なのか……”

“オゴニよ……大丈夫かこれ……”


「太陽の火よ、焔獄の魂よ、紅蓮の烈焔よ、灼熱の業火よ──」


“ま、待て待て! まだ心の準備が──”

“ああ、ほんとに気の毒だ……”

“しくしく、なんてことだ……”


「大地を裂き、天空を焦がし、星々をも灼かんとするその炎を、今ここに宿せ──」


“いや、ちょっと! まだ心の準備も、王に叱責される準備もできてないって!”


「焦がせ、焼き尽くせ、燃え盛れ──……」


“あああああ! もぉぉぉぉ! 王よぉぉ! お許しくださいぃぃぃい!”


「──全ての炎よ、今こそ解き放たれよ、《灼熱天翔》」


 瞬間、炎が猛り狂い、激しい熱と眩い光が周囲を包み込む。すべてを呑み込み、視界は眩い熱光で真っ白に染まった。

 もっと灼熱になるかと思いきや、水の精霊ヴォーダと風の精霊ヴェーテルが絶妙に熱を逃がし、

耐えられるほどの熱さに抑えてくれている。

 よし、これで気に入らない“おもちゃ”は跡形もなく消え去った。燃え尽きて、心のモヤもスッキリ消えた気分だ。


“しくしく、しくしく──”


 何か聞こえるが、気にしない。

 さて……斬るものがなくなったな。


“せっかくの“おもちゃ”が無くなりましたね、サーシャ”

“久しぶりの剣が、もったいない”


 そう思っていると、向こうでカティアが騒ぎ始めた。


「違う! 違う! 違う! 本当に戻ってきてーっ!!!」


 カティアがイヴァンの腕をバシッと叩く。

 ああ、そうか……まだ斬れるやつが残ってたんだ。勝手に口元が歪む。なんで対象から外してたんだろう。あいつらだって勝負したがっていたんだ。切られる覚悟くらいはあるだろうに。


「そうだよ。いいのが居たじゃないか」


“おや、サーシャ。人間を斬ってもいいのか?”

“人間の規律は知らぬが、許されるのか?”

“よかろう。奴らは溢れるほどいるではないか。”


「人間なんてたくさんいるんだ。1つ2つ消えたって、どうってことない。」


 そう吐き捨てて、俺は一気にイヴァンへ向かって跳んだ。


「違うってばーーーーっ!! 危険なのはここからなのーーーっ!」


 カティアが叫んでいるのに気づくが、気にせずイヴァンに剣を振り上げ──

だが、カティアが突然俺の剣を受け止めようとして、逆に吹っ飛ばされた。


「カティア嬢っ!!」


 イヴァンの声が響くと同時に、ヴェーテルが俺の指示通りに動き、風がそっとカティアを包んで床に下ろした。

俺はその様子を見届けながら、ゆっくりとカティアのもとへ歩み寄った。


「危ないじゃないかカティア……。なんで邪魔をした……」

「え、えー……、だってぇ……」


 なんなんだこいつ。もじもじしやがって。

弱いくせにイヴァンなんて庇って、怪我でもしたらどうするつもりだ。

それに、急に泣き出すって……意味がわからねぇ。

 人間の一つや二つ消えたところで、どうってことないだろ……あれ? そうでもなかったか? どっちだっけ? ……まあ、どうでもいい。

 人間を斬るのは初めてだ。

なぜこれまでしなかったのか、その理由もすっかり忘れてしまった。

だが、今は楽しみだ。

 気づけば、口元に薄ら笑いが浮かんでいた。


「そこで見てろ……。くだらない理由で俺に勝負を挑んできた奴らを、今から全員刻み尽くして、骨だけにしてやるんだ」


 さあ──どいつから刻み尽くしてやろうか。

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