第22話:歪んだ微笑み
本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。
黙々と斬り刻むこの手応え。さすがにちょっと飽きてきたが、アーマーゴーレムがなんか泣いてるように見えてきて、逆に少し面白くなってきた。
まるで「もうやめてー!」って言ってるみたいで笑えてくる。
「それにしても、なんでこいつら普通のモンスターと微妙に違うんだ……」
そう呟いた瞬間、精霊の声が聞こえた。
“あ、それはですね。我らが王が作ったからですよ”
「……え?」
聞いた途端、体が反射的にビクッと止まる。
“この場所そのもの、王が暇つぶしで作ったんです”
“最下層まで来られて悔しかったみたいで……その下に階層を追加してましたよ”
“サーシャが喜ぶかもしれない! と、すっごく嬉しそうに作ってましたよ”
“まさか精霊がアンデッドを作るとは思うまい! フッフッフッ……って笑ってましたし……”
“正確に言うなら、アンデット風の何かだ。モンスターですらない”
……嘘だろ。ここで、俺がこの世で一番聞きたくない“名”が出てくるとか。まさか、あんな奴に与えられた“おもちゃ”で嬉々として遊んでいたっていうのか。
一瞬で気持ちの熱が引いていくのがわかった。
やる気がすっと抜け、腕が勝手に下がる。ため息が漏れる。
「ああ……飽きた」
“え、飽きたんですか!?”
“ほ、ほら! まだゴーレム動いてますよ!?”
“楽しくないんですか?ゴーレムじゃ物足りません?”
“王がサーシャのために作ったおもちゃなんですよ!?”
精霊たちが焦った声を上げるが、知らん。俺はあいつが大嫌いだ。存在すら忘れて静かに過ごしていたのに……なんで今、この場で蘇らせるんだよ。思い出した瞬間、胃の底がねじれるほど気分が悪くなる。
俺がやる気をなくして突っ立っている横で、アーマーゴーレムがモゾモゾと動き出した。
……は? 何かと思えば、急に両腕をバッと広げ、周囲に散らばったモンスターの破片を根こそぎ吸い込み始める。みるみる形が戻っていき、挙げ句の果てには──いや、明らかにさっきよりデカくなってるだろ。
なんなんだよ、お前……そういうところまでカティアに似てんのかよ。むくむく大きくなりやがって……。
こっちはずっとこのサイズのままだってのに、なんで平然とでかくなってんだよ。
喧嘩売ってんのか? ほんっとムカつく。
アーマーゴーレムが魔力砲を放ってきたが、剣で適当に弾く。
“あ、サーシャ”
“サーシャ、カティアが……”
ん? とカティアの方へ視線を向けた瞬間、さっき弾いた魔力砲がそちらへ流れていくのが見えた。
「あ……」
しまった。やっちまった。咄嗟に手を上げた俺より先に、“私が守りましょう”と風の精霊ヴェーテルが勝手に動いた。カティアたちの周囲に突風が巻き起こり、魔力砲は軌道を逸れて別方向へ飛んでいく。
……今日、やけにやる気だなこいつ。
“サーシャ、やりましたよ。褒めてください”
「あー、はいはい。よくやった」
言葉だけ返したが、正直めんどくさい。ウザい。
「そのままずっとカティアを守っておけよ」
風が落ち着き、カティアたちの様子が見えた。倒れている魔法使いみたいなやつにぴったり寄り添い、首をかしげてじっと何かを聞いている。そして大きく頷いた。
「やだ、お兄ちゃん! 詠唱忘れてるよ♡」
「あ……そんな時もある」
そういえば詠唱してなかった。ヴェーテルが勝手に動いただけだから、それで良い気になっていた。傍目には無詠唱で魔法を扱っているように見えるよな……まあ、いいや。
それにしても、このカティア似のアーマーゴーレム……ほんと余計なことしかしないな。
余計なことまでやるところまでカティアに似るって、一体どんだけコピーしてんだよ、勘弁してくれ。
「なんかもう、いいや、これ……」
精霊王が作ったってだけで、むかついて仕方ない。
ゆっくり腕を上げながら、腹の底から込めるように思った──跡形もなく、徹底的に消し去ってやる、と。
イラつきを剣に乗せ、一気に振り下ろした。
衝撃音とともに、アーマーゴーレムは真っ二つに割れて崩れ落ちる。粉塵が舞い、機械じみた破片や骨片が散乱し、巻き込まれたモンスターが次々と潰れていった。
“ああ! 王が作ったゴーレムがぁっ!”
“そ、そ、それでもサーシャのために作ったんだから……壊しても、いいんじゃないですかね?”
“ええと……そうだな。核さえあれば、またすぐ元通りになるはずだ……”
プツン、と頭の中で何かが切れた。
「炎の精オゴニよ、我が手に灼熱の刃を刻め──」
“え?”
“えっ、サーシャ……まさか本気か?”
“え、まさか我なのか……”
“オゴニよ……大丈夫かこれ……”
「太陽の火よ、焔獄の魂よ、紅蓮の烈焔よ、灼熱の業火よ──」
“ま、待て待て! まだ心の準備が──”
“ああ、ほんとに気の毒だ……”
“しくしく、なんてことだ……”
「大地を裂き、天空を焦がし、星々をも灼かんとするその炎を、今ここに宿せ──」
“いや、ちょっと! まだ心の準備も、王に叱責される準備もできてないって!”
「焦がせ、焼き尽くせ、燃え盛れ──……」
“あああああ! もぉぉぉぉ! 王よぉぉ! お許しくださいぃぃぃい!”
「──全ての炎よ、今こそ解き放たれよ、《灼熱天翔》」
瞬間、炎が猛り狂い、激しい熱と眩い光が周囲を包み込む。すべてを呑み込み、視界は眩い熱光で真っ白に染まった。
もっと灼熱になるかと思いきや、水の精霊ヴォーダと風の精霊ヴェーテルが絶妙に熱を逃がし、
耐えられるほどの熱さに抑えてくれている。
よし、これで気に入らない“おもちゃ”は跡形もなく消え去った。燃え尽きて、心のモヤもスッキリ消えた気分だ。
“しくしく、しくしく──”
何か聞こえるが、気にしない。
さて……斬るものがなくなったな。
“せっかくの“おもちゃ”が無くなりましたね、サーシャ”
“久しぶりの剣が、もったいない”
そう思っていると、向こうでカティアが騒ぎ始めた。
「違う! 違う! 違う! 本当に戻ってきてーっ!!!」
カティアがイヴァンの腕をバシッと叩く。
ああ、そうか……まだ斬れるやつが残ってたんだ。勝手に口元が歪む。なんで対象から外してたんだろう。あいつらだって勝負したがっていたんだ。切られる覚悟くらいはあるだろうに。
「そうだよ。いいのが居たじゃないか」
“おや、サーシャ。人間を斬ってもいいのか?”
“人間の規律は知らぬが、許されるのか?”
“よかろう。奴らは溢れるほどいるではないか。”
「人間なんてたくさんいるんだ。1つ2つ消えたって、どうってことない。」
そう吐き捨てて、俺は一気にイヴァンへ向かって跳んだ。
「違うってばーーーーっ!! 危険なのはここからなのーーーっ!」
カティアが叫んでいるのに気づくが、気にせずイヴァンに剣を振り上げ──
だが、カティアが突然俺の剣を受け止めようとして、逆に吹っ飛ばされた。
「カティア嬢っ!!」
イヴァンの声が響くと同時に、ヴェーテルが俺の指示通りに動き、風がそっとカティアを包んで床に下ろした。
俺はその様子を見届けながら、ゆっくりとカティアのもとへ歩み寄った。
「危ないじゃないかカティア……。なんで邪魔をした……」
「え、えー……、だってぇ……」
なんなんだこいつ。もじもじしやがって。
弱いくせにイヴァンなんて庇って、怪我でもしたらどうするつもりだ。
それに、急に泣き出すって……意味がわからねぇ。
人間の一つや二つ消えたところで、どうってことないだろ……あれ? そうでもなかったか? どっちだっけ? ……まあ、どうでもいい。
人間を斬るのは初めてだ。
なぜこれまでしなかったのか、その理由もすっかり忘れてしまった。
だが、今は楽しみだ。
気づけば、口元に薄ら笑いが浮かんでいた。
「そこで見てろ……。くだらない理由で俺に勝負を挑んできた奴らを、今から全員刻み尽くして、骨だけにしてやるんだ」
さあ──どいつから刻み尽くしてやろうか。




