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私の可愛いお兄ちゃん  作者: みてりつき
《カティアside》
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第2話:お兄ちゃんより強くないとダメ

本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。

 ギルドの掲示板の前には、今日も人だかりができていた。依頼を選ぶ冒険者たちの視線が、なぜかこっちに集中しているのがわかる。

 お兄ちゃんは童顔で背も低い。見た目はギルドの新人か、迷い込んだ子どもみたいに見られがち。だから、私と一緒にいると余計に目立つ。──たぶん、視線の半分はお兄ちゃんが原因だと思う。


「……また見られてるよ、お兄ちゃん」

「ああ? 依頼探してる人たちだし、気にしなくていいんじゃない?」


 お兄ちゃんは気にした素振りも見せず、いつも通りのんびり掲示板を眺めている。そのとき、背後から声がかかった。

 振り返ると、革鎧に派手な羽飾りをつけた若い男が立っていた。やたら自信ありげな笑顔で、後ろの仲間らしき二人もニヤニヤしている。


「カティアちゃん、うちのパーティに来ないか?」


 またか。これで今週五人目。私──剣士のカティアは、なぜかやたらこうやって声をかけられる。にっこりスマイルを返すと、男の人は期待に胸を膨らませているようだった。


「ありがとう。でも、お兄ちゃんと組んでるから──もし本当に一緒にやりたいなら、『なかよし団』に入ればいいよ♪」

「いや、『なかよし団』はちょっと……」


 男は引きつった笑顔を浮かべて、一歩下がる。隣のお兄ちゃんが小さくため息をつきながら、ぽつりと呟いた。


「……『なかよし団』って時点で、誰も来ないだろ……」

「え? いいじゃんこの名前! 私たち仲良しだし、団だし! すっごく気に入ってるんだから!!」


 私は胸を張って力説した。するとお兄ちゃんは、盛大に舌打ちして、ぷいっと顔をそらした。……あ、不機嫌モード入った。でも、ちょっと拗ねてるそういう顔もやっぱり可愛い。


 隣にお兄ちゃんがいるのに、どうしていつも私ばっかり誘ってくるんだろう。お兄ちゃんだってちゃんと戦えるし、魔法も……、まあ、詠唱をよく噛んだり、大爆発を巻き起こすこともあるけど、上手くなってきてるのに。

 ほんと、みんなわかってない。……まさか、お兄ちゃんが小さすぎて目に入ってないとか?


「……お兄ちゃん、もうちょっとだけ背、伸びたほうがいいよ」

「うるさいなあ、俺だって成長期なんだから──」

「成長期って、もうそんな年齢じゃないでしょ」


 その時だった。


「カティア嬢!」


 ギルドの空気を切り裂くような大声。現れたのは、『蒼銀の翼』のリーダー、イヴァンさん。高身長で、ピカピカの鎧を纏った、“ちゃんとした”冒険者。私より強い。……多分、すごく強い。


「やあ、元気そうだな。最近の冒険はどうだ?」


 イヴァンさんは、軽い世間話でも始めるような調子でにこやかに声をかけてきた。


「元気ですよ。お兄ちゃんと一緒に頑張ってます」


 私もにっこり返す。横を見ると、お兄ちゃんがイヴァンさんをじっと睨むような目つきで見上げていた。

 お兄ちゃんのその視線は、私を守ろうとしてるのか、単に威圧したいのか……いや、多分両方だ。ちょっと可愛いな、なんて思いながら、私はにやりと笑った。


「ふむ、なるほど。楽しそうで何よりだ」


 そう言って、イヴァンさんは私に微笑みながら、隣にいるお兄ちゃんを見下すように一瞥した。小さいから、どうしても見下ろす格好になってしまう──その視線に、お兄ちゃんは少しこわばっているように見えた。


「しかし君の実力、『なかよし団』──いや、サーシャには勿体ないと思っている。

だから我がパーティに来る気はないか? そして──」


 イヴァンさんは片膝をつき、私の手をしっかりと握った。


「叶うことなら……俺の妻になってくれ!」


 ギルドがざわめく。その瞬間、隣にいるお兄ちゃんがすぐに反応した。勢いよくイヴァンさんの手を叩き払い、慌てて叫ぶ。


「ちょっと待て! 何言ってるんだ、結婚とかありえないだろ!」


 ギルド中が一斉にこちらを見た。お兄ちゃんの必死な姿に、驚きつつ、心のどこかで少し嬉しい気持ちも湧いた。


「……ごめんなさい、嬉しいけど──」


 言葉に少し詰まりながらも、困ったように微笑み、続ける。


「お兄ちゃんより強い人としか、結婚しないって決めてるの」


 照れ隠しの笑顔で言うと、ギルドが静まる。数秒後、ざわりと空気が揺れる。


“……え? サーシャより強ければ、チャンスあるの?”


 その空気が伝染していく。隣にいるお兄ちゃんが今、まさにその意味を察し始めて、顔をひきつらせた。


「……は、はああああっ???」


 驚いたお兄ちゃんの声が、素で裏返った。イヴァンさんは少し驚いた顔をして、次の瞬間にはニヤリと笑った。


「はははははっ!! サーシャより強いか……、面白いことを言うんだなカティア嬢。それは俺の妻になるって承諾と受け取っていいのかな?」


 ……は?何言ってるのこの人。お兄ちゃんは、こんな奴に負けるわけない。


「あは。それはお兄ちゃんに勝ってからの話ですね」


 にこっと笑って返すと、イヴァンさんの目が面白そうに細まった。


「……ああ、なるほど、なるほど。ならば──勝負だ、サーシャ!」


 その瞬間、空気が一気に静まり返る。ギルド中の冒険者たちが一斉にお兄ちゃんを探した。


「……あれ? いない?」


 思わず振り返ると、お兄ちゃんはもうギルドの出入口にいた。目をまん丸にして、顔を引きつらせながら、必死に手を振っている。


「む、無理!!!」


 叫ぶなり、そのまま全力疾走でギルドを飛び出していった。

 残されたのは、ぽかんとする冒険者たちと、私だけ。イヴァンさんはしばし呆然と出入口を見つめていた。


「……まさか逃げられるとは……。しかし──」


 そう言って、キッと表情を引き締める。彼は胸に拳を当て、まっすぐ私を見つめた。


「必ずサーシャと勝負して、君に相応しい男だって証明してみせる! 待っててくれ、カティア嬢!」


 ……いや、待たないし。ていうか、なんでそうなるの?

 その日から、お兄ちゃんのもとには、イヴァンさんだけではなく次々と冒険者たちが勝負を挑んでくるようになった。

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