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私の可愛いお兄ちゃん  作者: みてりつき
《カティアside》
13/26

第13話:【エピローグ】なかよし団、またの名を……

本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。

 昼下がりのギルドに、一人の少女が姿を現した。陽光を背に受け、明るい茶色の髪が金色にきらめく。軽やかに揺れるたび、周囲の視線をさらっていく。大きな琥珀色の瞳が楽しげに輝き、白い肌と小さな唇が可憐さを引き立てていた。その姿に、場の空気が一瞬止まった。視線が次々と吸い寄せられ、ざわめきが生まれる。


「なあ、あの子……この街の冒険者か?」

「すげえ美人だな……」


 受付の職員が、声を聞きつけて顔を上げた。


「ああ、あの方は『なかよし団』のカティアさんですよ!」

「な、なかよし団?」

「可愛いパーティ名でしょ?でも、カティアさんは競争率高いんで、諦めた方がいいですよ」


 職員が苦笑しながら答えると、背後に並んでいた男が静かに肩を叩いた。


「あんたたち、この街の冒険者じゃないだろ……?カティアちゃんだけはやめとけ。命がいくつあっても足りねえ」


 その表情の真剣さに、男は息を飲んだ。


「どういうことだ? 彼女、何かいわく付きなのか?」


 男が問うと、冒険者はギルドの中を警戒するように見渡し、声を潜めた。


「確かに、カティアちゃんはいい子だ。けどな──あの兄貴はやばい。笑いながら人を斬り刻む、殺人狂だ……」


 まるでその光景を見たかのような顔だった。震える声を聞いて、職員が思わず吹き出す。


「またその話ですか。イヴァンさんたちも言ってましたけど、あの時一緒に潜ってた人たち、みんな同じこと言うんですよね。でも、あのサーシャさんですよ? 誰も信じませんって」

「なんだ、冗談かよ」


 男たちもつられて笑い、緊張が和らぐ。だがその瞬間、ギルドの扉が静かに開いた。小さな影がギルドの扉をくぐった。その瞬間、空気が凍りつく。ざわめきが消え、誰もが息を止めた。


「あ、ほら、見てください。彼ですよ。カティアさんのお兄さん」


 職員が指差す方へ、男の視線が向く。小柄な体格に、重たげな明るい茶色の髪。少年のような顔立ちだが、その琥珀色の瞳だけが異様に澄んでいる。深い湖面のように静かな光を宿し、無垢に見えるのに、どこか底知れない。視線が交わった瞬間、男は一歩、無意識に後ずさった。


「お兄ちゃーん、遅いよー!」


 カティアが手を振る。


「パン屋の新作が出たから買ってたんだ。これでも急いだんだぞ」

「もー!」


 朗らかに笑い合う二人。だが、周囲の冒険者たちは息を潜め、誰一人、声を出せなかった。


 やがて、囁きが静かに広がり始める。


「聞いたか? 『なかよし団』が、最下層のさらに下を制圧したって話」

「噂だろ」

「いや、あの時居合わせた奴らが言ってた。“兄貴の方がやばい”って」

「兄!? 嘘だろ、あの童顔の魔法使いが?」

「剣を持った瞬間、人が変わったらしい。“爆発する剣鬼”って異名もついたってさ」

「イヴァンでも敵わなかったらしい」

「そのサーシャを止められるのは、カティアちゃんだけだってな」

「カティアちゃんも体力は人間離れしてるらしい……」

「だから呼ばれてる。“地獄の双剣”ってな」


 その噂が、先ほどの男たちの耳にも届く。男たちは蒼ざめながら、さきほどの冒険者を見る。冒険者は黙って、深く頷いた。

 その時、ギルドの奥から『蒼銀の翼』の面々が姿を見せた。イヴァンが周囲の異様な空気に気づき、きょろきょろと視線を巡らせる。そしてカティアを見つけると、明るく声を上げた。


「カティア嬢!」

「あっ、イヴァンさん。お久しぶりです」

「やあ、元気そうだな」

「元気ですよ。お兄ちゃんも、ね!」


 カティアが振り向いたが、そこにサーシャの姿はなかった。


「え、あれ? お兄ちゃん?」

「サーシャがいたのか?」


 イヴァンが覗き込む。カティアは首をかしげながら周囲を探す。ちょうどその時、ギルドの出入口に、外へ出ようとするサーシャの後ろ姿が見えた。


「あっ! お兄ちゃん!!」


 呼びかけに、サーシャは一瞬だけ振り返り、はっとしたようにギルドを出て行った。


「もー! ごめんなさいイヴァンさん、私行かなきゃ! それじゃあ!」


 カティアは笑顔で手を振り、兄の後を追う。


「カティア嬢!」


 イヴァンは名残惜しそうに手を伸ばしたが、その背はもう見えない。


「リーダー、相変わらずサーシャに逃げられちゃいますね」

「……ああ。こうも逃げられてしまうとは」


 イヴァンは肩を落とし、深いため息をつく。

 仲間が苦笑しながら肩を叩いたその時、彼がぽつりと呟いた。


「これでは、いつまでもカティア嬢に求婚できないではないか……」

「え?」

「え?」

「え?」


 仲間たちが一斉に驚きの声を上げる。イヴァンはきょとんとした顔で彼らを見る。


「諦めてなかったんですか……?」

「は?」


 まるで“何を当たり前のことを”と言わんばかりに、イヴァンは眉をひそめた。

 ギルドには再び賑わいが戻っていた。だが、この一角だけは、氷のように静まり返っていた。

 そして、遠くで囁かれる噂が、確かに人々の記憶に刻まれていた。──『なかよし団』こと、“地獄の双剣”の名が。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次はサーシャ視点の物語も書く予定ですので、もしよければまた覗いてみてください。

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