第13話:【エピローグ】なかよし団、またの名を……
本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。
昼下がりのギルドに、一人の少女が姿を現した。陽光を背に受け、明るい茶色の髪が金色にきらめく。軽やかに揺れるたび、周囲の視線をさらっていく。大きな琥珀色の瞳が楽しげに輝き、白い肌と小さな唇が可憐さを引き立てていた。その姿に、場の空気が一瞬止まった。視線が次々と吸い寄せられ、ざわめきが生まれる。
「なあ、あの子……この街の冒険者か?」
「すげえ美人だな……」
受付の職員が、声を聞きつけて顔を上げた。
「ああ、あの方は『なかよし団』のカティアさんですよ!」
「な、なかよし団?」
「可愛いパーティ名でしょ?でも、カティアさんは競争率高いんで、諦めた方がいいですよ」
職員が苦笑しながら答えると、背後に並んでいた男が静かに肩を叩いた。
「あんたたち、この街の冒険者じゃないだろ……?カティアちゃんだけはやめとけ。命がいくつあっても足りねえ」
その表情の真剣さに、男は息を飲んだ。
「どういうことだ? 彼女、何かいわく付きなのか?」
男が問うと、冒険者はギルドの中を警戒するように見渡し、声を潜めた。
「確かに、カティアちゃんはいい子だ。けどな──あの兄貴はやばい。笑いながら人を斬り刻む、殺人狂だ……」
まるでその光景を見たかのような顔だった。震える声を聞いて、職員が思わず吹き出す。
「またその話ですか。イヴァンさんたちも言ってましたけど、あの時一緒に潜ってた人たち、みんな同じこと言うんですよね。でも、あのサーシャさんですよ? 誰も信じませんって」
「なんだ、冗談かよ」
男たちもつられて笑い、緊張が和らぐ。だがその瞬間、ギルドの扉が静かに開いた。小さな影がギルドの扉をくぐった。その瞬間、空気が凍りつく。ざわめきが消え、誰もが息を止めた。
「あ、ほら、見てください。彼ですよ。カティアさんのお兄さん」
職員が指差す方へ、男の視線が向く。小柄な体格に、重たげな明るい茶色の髪。少年のような顔立ちだが、その琥珀色の瞳だけが異様に澄んでいる。深い湖面のように静かな光を宿し、無垢に見えるのに、どこか底知れない。視線が交わった瞬間、男は一歩、無意識に後ずさった。
「お兄ちゃーん、遅いよー!」
カティアが手を振る。
「パン屋の新作が出たから買ってたんだ。これでも急いだんだぞ」
「もー!」
朗らかに笑い合う二人。だが、周囲の冒険者たちは息を潜め、誰一人、声を出せなかった。
やがて、囁きが静かに広がり始める。
「聞いたか? 『なかよし団』が、最下層のさらに下を制圧したって話」
「噂だろ」
「いや、あの時居合わせた奴らが言ってた。“兄貴の方がやばい”って」
「兄!? 嘘だろ、あの童顔の魔法使いが?」
「剣を持った瞬間、人が変わったらしい。“爆発する剣鬼”って異名もついたってさ」
「イヴァンでも敵わなかったらしい」
「そのサーシャを止められるのは、カティアちゃんだけだってな」
「カティアちゃんも体力は人間離れしてるらしい……」
「だから呼ばれてる。“地獄の双剣”ってな」
その噂が、先ほどの男たちの耳にも届く。男たちは蒼ざめながら、さきほどの冒険者を見る。冒険者は黙って、深く頷いた。
その時、ギルドの奥から『蒼銀の翼』の面々が姿を見せた。イヴァンが周囲の異様な空気に気づき、きょろきょろと視線を巡らせる。そしてカティアを見つけると、明るく声を上げた。
「カティア嬢!」
「あっ、イヴァンさん。お久しぶりです」
「やあ、元気そうだな」
「元気ですよ。お兄ちゃんも、ね!」
カティアが振り向いたが、そこにサーシャの姿はなかった。
「え、あれ? お兄ちゃん?」
「サーシャがいたのか?」
イヴァンが覗き込む。カティアは首をかしげながら周囲を探す。ちょうどその時、ギルドの出入口に、外へ出ようとするサーシャの後ろ姿が見えた。
「あっ! お兄ちゃん!!」
呼びかけに、サーシャは一瞬だけ振り返り、はっとしたようにギルドを出て行った。
「もー! ごめんなさいイヴァンさん、私行かなきゃ! それじゃあ!」
カティアは笑顔で手を振り、兄の後を追う。
「カティア嬢!」
イヴァンは名残惜しそうに手を伸ばしたが、その背はもう見えない。
「リーダー、相変わらずサーシャに逃げられちゃいますね」
「……ああ。こうも逃げられてしまうとは」
イヴァンは肩を落とし、深いため息をつく。
仲間が苦笑しながら肩を叩いたその時、彼がぽつりと呟いた。
「これでは、いつまでもカティア嬢に求婚できないではないか……」
「え?」
「え?」
「え?」
仲間たちが一斉に驚きの声を上げる。イヴァンはきょとんとした顔で彼らを見る。
「諦めてなかったんですか……?」
「は?」
まるで“何を当たり前のことを”と言わんばかりに、イヴァンは眉をひそめた。
ギルドには再び賑わいが戻っていた。だが、この一角だけは、氷のように静まり返っていた。
そして、遠くで囁かれる噂が、確かに人々の記憶に刻まれていた。──『なかよし団』こと、“地獄の双剣”の名が。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次はサーシャ視点の物語も書く予定ですので、もしよければまた覗いてみてください。




