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私の可愛いお兄ちゃん  作者: みてりつき
《カティアside》
11/26

第11話:許さない!!

本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。

 床を引きずる剣の音が近づいてくる。見ると、返り血まみれのお兄ちゃんが、ゆっくり歩いてくる。獲物を見つけた肉食獣の目。ぞわっとして、息が止まった。

 

「おい、イヴァン。ちょこまか逃げるな。勝負してやるから、さっさとかかってこいよ」

 

 お兄ちゃんが指でちょいちょいと挑発する。

 

「くっ……!」

 

 イヴァンさんが歯を食いしばって立ち上がる。『蒼銀の翼』の人たちがイヴァンさんを守るように前に出るけど……足がガタガタ震えてる。

 

「はっ。仲間の影に隠れるなんて、恥ずかしくないのか? イヴァン」

 

 あ、それ……お兄ちゃんがイヴァンさんに言われた台詞だ。めちゃくちゃ根に持ってる……。

 私の隣で魔法使いの人が詠唱を始めた。

 

「大地の精ゼムリャよ、眠れる山脈を呼び覚ませ……」

「あ、まって──」

「……我が命脈を礎に、怒りの槌を振り下ろせ──《大地の怒槌》!」

 

 止める間もなく、魔法が発動した──はずだった。

 ……何も起きない。

 

「え?」

 

 魔法使いの人が、あれ?あれ?って動揺してる。お兄ちゃんはそれを見て、小さく息を吐いた。

 

「あの……お兄ちゃん、精霊さんに好かれてるから。お兄ちゃんを傷つける魔法は、精霊さんが応じてくれないんだ……」

 

 魔法使いの人が膝から崩れ落ちる。

 

「そんな……そしたらもう……誰もサーシャを倒せないじゃないか……」

 

 誰かが、絶望した声でそう呟いた。イヴァンさんが息を飲み、剣を構え直す。

 

「カティア嬢、聞くだけ無駄かもしれないが……。サーシャに弱点とかないか?」

「え? 弱点??」

 

 あれ? そういえば、お兄ちゃんに弱点なんてあったっけ? お兄ちゃんが強いのは当たり前すぎて、弱点とか考えたことなかったなあ……。

 弱点……弱点……弱点? まって、弱点って……なに? 何の弱点? どういう弱点?

 

「弱点……、小さいところ?」

「おい! それは弱点って言わないだろ」

 

 やっぱり突っ込まれた。そりゃそうか。

 

「だいいち、俺は成長期だって何度も言ってるだろ」

 

 もー、それずっと言ってるけど、いつまでそんなこと言ってるんだろう。やれやれ、と思いながら私は呆れて言った。

 

「またそんなこと言って、子供じゃないんだから〜」

「スヴェじいさんが、俺の成長はエルフの血のせいでゆっくりなんだって言ってたんだ」

 

 お兄ちゃんが少しムッとした顔で反論してくる。

 

「えー、でも、ボリスおじいちゃんは“サーシャはドワーフの血が濃く出てるんじゃー”て言ってたよ」

「は? どこがドワーフなんだよ。体型からして違うじゃねーか!」

 

 あれ? なんでちょっと怒ってるの? ボリスおじいちゃんに失礼だよ……。

 

「体型なんて関係ないもん。お兄ちゃん馬鹿力なのどう考えたってドワーフでしょ。いいじゃない、ドワーフ、かっこいいし!」

 

 そう、ボリスおじいちゃんもおじいちゃんもかっこいい! すごく、かっこいい!

 

「だったら、スヴェじいさんみたいに魔法使えるんだから、エルフでもいいだろ!」

「そんなこといって、普段詠唱噛み噛みで失敗ばっかりじゃん。エルフはそんなかっこ悪いことしないよ!」

 

 お兄ちゃんは目をギラつかせて、向きになって返してきた。肩に力が入り、声のトーンも普段より鋭かった。

 でも、スヴェおじいちゃんもひいおじいちゃんも、詠唱を噛んだところなんて見たことないもん。


「しょうがないだろ! 緊張すると口が回らなくなるんだよ! お前なんて同じエルフの血が入ってる癖に、魔法センスゼロじゃねーか!」

 

 え……? 今、魔法センスゼロって……?

 頭の中が、一瞬で真っ白になる。耳に残るその言葉だけが、ぐるぐるぐるぐる回って消えない。まるで心の奥をつかまれて、ぐっと押しつぶされたみたいに息が詰まる。

 

「……ひ、酷い……、気にしてるのに……。私だって魔法使いに憧れてたのにっ!!」

 

 小さい頃からお母さんの魔法を見て、私も絶対魔法使いになるんだって思ってたのに……。それなのに、お兄ちゃんは生まれつき精霊さんに好かれてて、呼びかけただけで、空気が光って、魔法が勝手に動き出すんだ……。ずるいよ、ほんとにずるい。

 

「……お兄ちゃんなんか、小さくて可愛いからって、みんなにちやほやされてるだけじゃんっっ!!!」

 

 涙がこみ上げて、頬が熱くなる。胸の奥がぎゅうっと締めつけられて、悔しさが込み上げた。

 

「なっ! おまっ! 俺だって身長気にしてるのに! 小さい、小さいうるさいんだよ! お前がデカイから余計に小さく見えちゃうんだろーが!!」

 

 ぶちっ。

 頭の中で、何かが切れた音がした。

 

「…………お前、お前、うるさいなあ……。私だって大きいの気にしてるのにっ!!! ひどいよおぉぉっ!!!」

 

 もうだめだ。もう怒った。震えが止まらない。涙も止まらない。女の子の私に「デカイ」とか言うなんて、本当に許せない!!小さくて可愛いお兄ちゃんには、この気持ちなんて分からないんだ!!

 周りがどん引きしてる気配がしても、そんなのどうでもいい。もう止められない。胸の奥で、ぐつぐつ煮えたぎる何かが弾ける。

 

「許さないっっっ!!!!!!」

 

 気づいたときには、体が勝手に動いてた。怒りと涙のままに、お兄ちゃんへ剣を振るう。

 

「うわ、ちょっ、危ないだろ!」

「知らない!! ひっく、もー、許さない! お兄ちゃんこそ骨が見えるまで斬り刻んでやるっ!!! ぐすんっ」

 

 もう手加減なんてしてない。斬りかかる。避けられる。もう一度斬りかかる。止まらない。息が荒くても、腕が重くなっても、まだ止まらない。

 

「ちょっ、ま、待て、カティア!」

「待たない!」

「うわっ! お前、本気で斬りにきてるだろ!」

「当たり前でしょ! お兄ちゃん強いんだから、本気で斬りに行くに決まってるでしょ!」

「やめろ! 悪かった! 俺が悪かったから!」

「は?! だから何?!!」

「ごめん、ごめんって! 頼むから斬りかかってくるのやめろって!」

「やだ!! お兄ちゃんが今すぐ私より大きくならない限り許さない!!!」

「そんなの無理に決まってるだろー!」

「だったら、一生許さない!!!」

 

 叫びながら、何度も斬りかかる。お兄ちゃんが逃げても逃げても、追いかけて斬りかかる。気づけば、時間の感覚もなくなってた。

Xにキャラクターイメージを載せています。

画力がないので顔しかありませんが、気になる方はぜひ見てください。

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