第10話:だって、怒られちゃうもん
本作は自分の考えた世界観やキャラクターをもとに、小説の文体化をChatGPTにサポートしてもらいました。物語そのものはすべて自分の手で作っています。
お兄ちゃんは大剣を振りかざし、真っ直ぐイヴァンさんに斬りかかった。イヴァンさんは剣で受けようと踏み込むけど、大剣の重みとお兄ちゃんの剛腕の勢いに耐えきれず、ぎりぎりで体を捩って受け流した。流石だ、って一瞬思ったのに──お兄ちゃんは間髪入れずに横へ勢いよく剣を振る。
イヴァンさんが必死に剣で受け止めるも、そのまま真横に吹き飛ばされる。ひえっ、あんな動きをあの大剣でやれるのはお兄ちゃんだけだよ。避けられるはずがない。
床に叩きつけられたイヴァンさんは、すぐには起き上がれない。私は走り出した。ヤバい、間に合わない! ──その時、『蒼銀の翼』の盾役がイヴァンさんの身体を庇った。
ガンッ!
ナイス盾の人! と心の中で叫んじゃった。だけど次の瞬間──お兄ちゃんは拳を握りしめて、その盾を殴りつけた。え? 殴るの?! 剣じゃないの?! て思ったけど、盾は砕け、そのままお兄ちゃんの拳が盾の人に当たる。鈍い音が響き、盾の人は倒れ込む。大丈夫? 生きてるよね?
イヴァンさんの顔が驚愕で歪む。私も思わず声が出そうになる。盾って、そんな簡単に砕けるものじゃないはずなのに。だけどお兄ちゃんは何事もなかったように、すぐにイヴァンさんに斬りかかろうとした。
私は慌てて前に出て、受け止めようと剣を差し出す。が、お兄ちゃんの手がぴたりと止まった。あ、助かった……って胸を撫で下ろしかけたら、鋭い視線が突き刺さって痛い。
「……カティア。何回言ったらわかるんだ。危ないじゃないか。なんで邪魔するんだ……」
お兄ちゃんの声は、怒りというより呆れに近い。だけどその静かさが逆に怖い。
「だってー……。お兄ちゃんが、人を傷つけたら、私がお父さんとお母さんに怒られちゃうもん」
涙がじんわりにじむ。お父さんとお母さん……怒ったら本当に怖いんだもん。特にお母さん。
「なんで、お前が怒られるんだよ」
お兄ちゃんは呆れたように私を見る。その視線は少しだけ優しいのに、いつもの可愛さは一切ない。
「それに、そいつら俺に勝負を挑んだんだ……。腕や足や胴体の一つ二つくらい、覚悟出来てるだろ」
淡々と話してるのに、言い方が冷たくてゾッとする。ん? 今、“胴体”って言ったよね?
「やだ、お兄ちゃん。胴体は一つしかないよ〜! あはは」
面白いこと言ってるーって思ったけど……、あ、お兄ちゃんの目が笑ってない。
「カティア……。お前が黙ってれば、父さんにも母さんにもバレない」
その顔でニィッと笑われると、身体がぞわっとした。冗談じゃ済まされないって、本能が教えてくる。
「えーーん。お父さん! お母さん! お兄ちゃんが人殺しになっても、カティアを許してーーーーっ!!」
「カ、カティアちゃん、諦めないでくれー!」
「そうだ! 俺たちの命はカティアちゃんにかかってるんだ!」
冒険者たちが焦ったように私に声をかけてくる。え、そんな無茶振りしないでよ!って思ったその瞬間、お兄ちゃんの視線が鋭く彼らを射抜いた。
次の瞬間──風を切る音。誰かの腕が宙を舞った。
時が止まった。腕を斬られた冒険者の悲鳴が響き渡る。みんな息を飲んで、ただ呆然とするしかなかった。
やっぱり……お兄ちゃん、本気なんだ。
「あ、あああーっ! やっぱり無理いぃぃいいっ!!」
私はその場にしゃがみ込み、地面に手をついて泣き喚いた。だけどお兄ちゃんは、そんな私なんてもう視界にも入ってない。血が飛び散り、叫びが上がり、誰もが逃げ惑う。お兄ちゃんの笑い声と、剣が床を引きずる音が混じって、頭の中でぐるぐるする。
「ぐすん……ぐすん……」
涙で視界が滲む。その向こうで、イヴァンさんが必死に応戦しながら私に叫んだ。
「カティア嬢! しっかりしてくれ!! 君がしっかりしてくれないと……ここは、モンスター相手よりも地獄になるっ!!」
えぇぇぇ、そんなプレッシャーかけないでよぉ……。その時、『蒼銀の翼』の人たちが駆け寄ってきた。
「カティアちゃん! リーダーを助けてくれ! このままだとサーシャに殺されちまう!」
「サーシャ、マジで勝負挑んだ奴ら全員殺そうとしてる!」
「もう、本当にカティアちゃんだけが頼りなの! お願い!」
みんなの顔が本気で、泣きそうなくらい真剣だった。でも私は鼻をすすりながら、涙でぐしゃぐしゃの顔で振り返る。
「えー……ぐすんっ、ぐすんっ……」
お兄ちゃんを見る。笑ってる。すっごく、楽しそうに。イヴァンさんをじわじわと斬りつけながら、まるで遊んでるみたいに。……あれ、本気でやってる?
「ぐすん……ぐすん……、あ……、そうだ……」
私はふと、あることを思い出してベルトポーチを探った。『蒼銀の翼』のみんなが不思議そうに見てくる。
「……そういえば、これがあったんだった……」
瓶を一つ取り出して見せると、みんな首を傾げた。
「それは?」
私は返事もせずに立ち上がって、さっき腕を斬り落とされた冒険者のもとへ歩いていく。途中で、床に落ちてた腕も拾って。
「えっと……これを、こうして……」
呻いてる冒険者の腕を合わせて、瓶の中身をかけた。
「こうすると……あーら不思議、腕がくっつくのです!」
じゃーーーん! 手をパッと開いて見せる。
「えーーーーーーっ!!」
その場の全員が叫んだ。本人も、くっついた腕を見つめて固まってる。
「い、痛くない……」
「な、何それ!? 何をかけたんだ!?」
「えっと……エルフの霊薬……かな?」
ポソッと言うと、周りが凍りついた。
「なっ……なっ……」
周りがざわめき出す。
「カティアは女の子なんだから、怪我して傷が残ったら大変だろ!って、スヴェおじいちゃんがくれたの……てへ」
そう言ってベルトポーチから次々と瓶を取り出す。
「いっぱいあるから、斬られちゃった人に使ってください!」
もう、みんな口を開けたまま固まってる。その時──。
「うわあああああああっ!」
イヴァンさんが宙を舞って床に叩きつけられた。「ぐはっ!」「ふべっ!」って、二回くらいバウンドしてる。血まみれで、かなりやばい。プルプルしながら手を伸ばしてくる。
「お、俺にも……霊薬を……くれ……」
「ひぃっ……あ、はいっ!」
怖くて即座に渡す。
イヴァンさんは霊薬を傷口にかけ、残りを一気に飲み干した。
「す、すごい……! 傷が……痛くない!!」
そう感動してる間にも、床を引きずる剣の音が近づいてくる。見ると、返り血まみれのお兄ちゃんが、ゆっくり歩いてくる。獲物を見つけた肉食獣の目。ぞわっとして、息が止まった。
Xにキャラクターイメージを載せています。
画力がないので顔しかありませんが、気になる方はぜひ見てください。




