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第8話 兵士Aよ、とかいうやり取りがあったっぽい

 あの魔族が再び襲ってきた! なんてこともなく、盗賊女さんと無事に別れた後、斧を渡して『スコロト』に戻ってきました。

 そういえば盗賊女さんって結構美人だったな、シエルさんとはまた違うカッコイイ系の。ということは、部長と……いやいや、まさかそんなこと、悪い癖だな。うん、今のは忘れよう。


「さて、どうするかな」


 あの洞くつでいくらか素材が手に入ったし、思わぬ収入があったからある程度余裕がある。


「やっぱり魔術をどうにかしないと」


 下級魔術どうしですら歯が立たなかったしね。いや、相手が魔族じゃなければ大丈夫だとは思うけど、元の世界に帰るための魔術を見つけても使えないと意味ないし、最悪自分で創らないといけないからね。


「となると、やっぱり『カジリス』に行ったほうがいいかな」


 『スコロット』から南に行った国『カジリス』には、多くの魔術学校があるらしい。その数は人間の国(ヒューマルスと呼ばれているとか)で最も多く、塾的なものも開かれているんだと。短期講習もあるみたいだし、こういうので一度魔術を学んでみようかな。


「それじゃあ、いざ、『カジリス』へ」




~~~~~~~~~~~~~~~





 あの出来事からもう三日か。


「いったい何をしているんですか!」


 あいつと別れてすぐに捕まっちまったんだよなー。


「貴女という人は」


 めげずにすぐまた逃げ出したのはよかったんだが、まさか今度はあんなに早く捕まるとはな。


「それに何ですか!この盗賊の様な格好は」


 しっかし、変な奴だったよな、あの……男?女?あれ、どっちだ?えっと、顔は、……どっちだろう?服装も特に特徴はなかったし、言葉使いは、んー、アタシよりは女っぽかったし、女かな。うん、そんな気がしてきた。


「それに「うっさい、黙れジジイ」何ですかその言葉使いは!」


「何だじゃねーよ、さっきからうるさいんだっつうの」


「何度注意すれば直るんですか!」


 一生直んないんじゃね。


「だいたい貴女はいつも「失礼します」まだ説教の途中だぞ!」


 ナイスタイミングだ、名も知らぬ兵士よ。


「す、済みません。しかし、急を用することですので」


 もっと粘れ、兵士A。


「後にしろ」


「そういうわけには」


 その調子だ、兵士A。


「ったく、いったいなんだ」


「それが、『アイシャンベルグ』の勇者が来たそうです」


「「なにっ!」」


 やっぱ死ね、クズA。


「それはいけない、早く準備を」


「姉貴にさせろよ、めんどくせー」


「またそのような言葉を、それにあの方々はもう嫁いでしまわれましたでしょう。お忘れになったとは言わせませんよ」


 チッ、面倒な。まてよ、勇者ならば……よし、やっぱりよくやった、兵士Aよ。


「わかりました。それでは参りましょう」


「な、なに急に変ってるのですか?」


「こうしろと言ったのは貴方ではありませんか」


「で、ですが、そんな前触れもなく。はっ!まさか、またよからぬことを」


 そんなこと……ありますわよ。


「早く着替えを」


「させませぬぞ」


「早く、勇者様を待たせる気ですか」


「ぐっ、……わかりました」


 そうそう、それでいいんだよ、お前みたいなクソジジイにアタシの邪魔はさせねーよ。



 『シアラ』の城にある王座の間、ここではさまざまな会見が行われる。今回は『アイシャンベルグ』の姫シエル・アルゼと、彼女に勇者として呼び出された義経秋水が王座の前でその椅子の主人を待っている。


「済みません、お待たせしました」


 新たに来たのはドレスを着こなし、本人の意思とは裏腹に清らかで美しいと多くの者が称えるほどの女性。その後に初老の男性と護衛であろう兵士が続いて来る。


「初めまして、勇者の秋水・義経というものです」


 彼女に一瞬圧倒されたものの、すぐに我を取り戻して自己紹介をする勇者。


「初めまして、『アイシャンベルグ』の皇女、シエル・アルゼ・アイシャンベルグです」


 どうやら勇者達に名乗っていた名前は省略されていたものだったようだ。

 そして、ドレスの彼女は王座に座り、こう言った。


「お初にお目に掛かります、私は『シアラ』第三皇女のベルドナス・フィーナ・シアラです」



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