chapter55 説得
お風呂から出て、リビングで髪の水気を飛ばしながらくつろいでいると――上坂さんが声をあげた。
「今日は……ありがとうございました。
それで……ですね……私は、ここを出て行こうと思います」
思いもよらない言葉に、オレは思わず顔を上げる。
「なんで?」
理由を聞くと、上坂さんは少し俯きながら答えた。
「お邪魔になりそうですし……魔力の感じ方は教えてもらって、分かるようになりました。
あとは魔法に変換するだけなんですよね?
頑張れば……いけると思うので」
その言葉を聞いて、風呂に入っているときに思いついた仮説を口にする。
「上坂さんさ、魔法が使えないのって――魔力が足りないんじゃないかな?」
「え……?」
「だから、召喚魔法“は”使えなかった」
“は”の部分を少し強調する。
「召喚魔法……“は”、ですか?」
「魔法って、魔力を外に出せれば、とりあえず発動っぽいことはできるんだよ。効率は悪いし、本来の効果が出るとは限らないけど」
少し言葉を選びながら続ける。
「でも召喚魔法は別だ。たぶん、かなりの魔力と操作が必要になる。いわゆる“儀式魔法”ってやつだと思う」
そして、はっきりと言う。
「オレは邪魔だなんて思わないよ。戦力になるには時間がかかるかもしれないけど――いてくれた方が助かる」
少しの沈黙のあと――
「私も上坂ちゃんは心配だし、一緒にいていいと思うわ」
笹村さんがそう言った。
「わ、わたしも……いてくれたら助かります」
倉石さんが続く。
「僕もいてくれたら嬉しいな」
「わ、私も……」
ゆうと岡崎さんも頷いた。
「みなさん……ありがとうございます」
上坂さんはそう言って、少しだけ安堵したように微笑んだ。
読んでくれた方ありがとうございます
誤字、脱字などの不自然な文章があれば、指摘お願いします
他の作品も読んでくれたら、嬉しいです
面白いと感じたら、評価やブックマークお願いします




