chapter48 追い出された少女
メイドに案内され、割り当てられた部屋へ戻る。
背を向けて去っていくメイドに一礼し、扉に手をかけた――そのとき。
隣の部屋の前。
膝を抱えてうずくまる少女の姿が目に入った。
泣いている。オレはドアノブから手を離す。
「どうしたの?」
背後からゆうが声をかける。
「あの子が気になって」
オレはそう答え、みんなの視線を少女へ向けさせた。
「確かに……様子がおかしいわね」
「どうしたんだろう」
オレは少女の前にしゃがみ込む。
「君、どうした?」
少女はびくりと肩を震わせ、顔を上げた。
「こ……この部屋の人たちに……捨てられまして……」
声は涙でぐしゃぐしゃだった。
「どうして?」
「わ、私……足手まといだから……
召喚士なんですけど……召喚できなくて……
魔法も使えなくて……戦闘もできないから……必要ないって……
出ていけって……
殴られて追い出されるのと、自分で出ていくの、どっちがいいって……」
言葉の端々に怯えが混じる。
――即戦力主義か。
召喚直後に成果を求め、育成は考えない。
短期評価に偏る組織は、いずれ歪む。
「召喚士なのに、召喚ができないのか?」
少女は小さく頷く。
失敗個体として処理――合理的といえば合理的だが、早計だ。
成長曲線を見ていない。
「もう少し、詳しく聞かせてくれるか?」
「でも……わたし……」
「構わない」
オレは少女に手を差し出す。
「話を聞いてから判断する」
少女はおずおずと手を伸ばした。
立ち上がる力もないらしい。
仕方なく肩を貸し、そのまま部屋へ戻った。
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