Quiet talk 銀狼の鬣
※ウォルア視点です
僕たち――銀狼のメンバーは、勇者くんと別れ、冒険者ギルドを後にした。
「ふふ……あの勇者くん、面白いね。
敵対勢力の技術を模倣するなんて……なかなか貪欲だ」
そう言って笑うと、フィリンが不思議そうにこちらを見てきた。
「ねえ、どうして“パーティ名”を名乗らなかったの?
銀狼って異名は、ウォルア……あなたの二つ名でしょう?」
「ああ、そのことかい。
“この国では”名乗りたくなかったんだよ。
それに……この国では僕個人は有名みたいだけど、パーティのことは、あまり知られていないみたいだからね」
このパーティがAランクなのは事実だ。
僕自身は“ソロでもAランク”だが、そこで自分の限界を感じ、仲間を集めることにした。
僕の異名も、パーティ名も、どちらも“銀狼”に由来している。
パーティ名は――銀狼の鬣。
メンバーを勧誘し、最初に集まってくれた今の三人と相談して決めた名前だ。
そして一番実力のある僕が、リーダーを務めることになった。
■ ■ ■
パーティメンバーは――
狼人族の僕、ウォルア。
名の通り獣人だ。
能力《獣人化》によって、獣型・人型・獣人型へと姿を変えることができる。
銀色の狼――それが僕の本来の姿だ。
だから“銀狼”と呼ばれている。
もっとも、最初の頃はスキルレベルが低く、人型にまともに変身できなかったんだけどね。
今では部分変化も可能だし、人間と見分けがつかないほどの変身もできるようになった。
■ ■ ■
フィリン。
赤毛の人間の女の子で、職業は魔法使い。
ソロランクはDランク。
褐色肌に短髪、活気のある性格だ。
■ ■ ■
ヴェルクス。
大剣を扱う大男で、職業は重剣士。
ソロランクはCランク。
黒髪短髪の強面だが、性格は意外と気さくだ。
■ ■ ■
レナ。
金髪の女の子で、職業は僧侶。
ソロランクはDランク。
このパーティの回復担当で、回復魔法のほかにも火・風・光魔法を扱える。
“美女”と評されるのも納得の見た目をしている。
■ ■ ■
「それで、次はどこへ行くんだ?」
考え事をしていると、ヴェルクスが声をかけてきた。
「レヴァスト大国に向かおうと思う。
このディルティーナ王国は亜人族に差別的だし、あまり長居したくないんだ」
指名依頼だったから仕方なく来たが――正直、居心地はよくない。
「それに……どうもこの王国、きな臭くなってきてる。
早めに国境を越えた方がいいかもしれない」
「例の儀式が関係しているのかしら?」
レナがそう問いかけてくる。
「おそらくね。
だからこそ“あの勇者くん”がいるんだろう」
僕は続けた。
「王族に利用される前に引き抜きたかったけど……断られてしまった。
でも、王様の前で神官にケンカを売ったらしいから、この国が“危ない”ってことには気づいているかもしれないね」
「レヴァストに行って、何をするの?」
フィリンが首を傾げる。
「あの国、迷宮は多いけど、高ランクには旨味が少ないでしょ?」
「確かにな。
Cランクの俺みたいなのが行くならともかく、Aランクのお前が行っても依頼は少ないだろ」
ヴェルクスも同意する。
「ダンジョンには入れるだろうけどな」
「みんなの“ソロでの実力”を底上げしたいんだ」
ヴェルクスが言った後に僕はそう答えた。
「連携はだいぶ形になってきたけど、冒険者は個人の力も重要だからね。
僕自身も、腕が鈍らないようにしておきたい」
「確かに……
今はCランク魔獣相手なら、俺が前衛で、ウォルが翻弄しつつ追撃。
レナとフィリンが魔法でトドメ……って形だけど」
ヴェルクスは言葉を続ける。
「Bランク以上になると、前衛はウォル任せになる。
俺たち三人は、どうしても追撃役だ」
「パーティでAランクに上がれたのも、ウォルアのおかげだもの」
レナがそう言うと、
「……自分の力不足は、感じてる」
フィリンが少し俯きながら呟いた。
「パーティなら助け合える。
でも、ソロは自分しか頼れない。
ペース配分も、判断力も、全部自分次第だ」
だからこそ――。
「レヴァストは、みんなにとってちょうどいい場所だと思う。
自分の実力を確かめるにはね」
「場数を踏むのは大事だな」
ヴェルクスがそう言って笑う。
こうして僕たちは馬車に乗り、国境を越え、
レヴァスト大国へと向かうのだった。
読んでくれた方ありがとうございます
誤字、脱字などの不自然な文章があれば、指摘お願いします
他の作品も読んでくれたら、嬉しいです
面白いと感じたら、評価やブックマークお願いします




