chapter42 銀狼とのやりとり
「お待たせしました。
勇者様……ギルドカードの発行、討伐報酬および魔石の買い取りを行いますので、裏まで来ていただけますか?」
受付嬢さんがそう声をかけてきた。
どうやら、ウォルアさんとの話はここで一区切りだな。
「ウォルアさん。
大変嬉しいお話ですが……お断りさせていただきます」
オレがそう告げると――
「どうしてだい?」
ウォルアさんは不思議そうに言ってきた。
……いや、その表情、ちょっと楽しんでないか?
「理由ですか……そうですね。
正直、足手まといにしかならないと思いますし……
それに、彼女たちを放っておけないっていうのもあります」
オレの言葉に、ウォルアさんは少しだけ目を細めてから、肩をすくめた。
「そっか。わかったよ。
また勧誘させてもらう」
……またするんかい。
「別れる前に一つだけ。
さっきのゴブリンを仕留めた魔法、教えてもらうことはできるかな?」
それくらいなら、まぁいいか。
あの魔法は、既存の魔法を応用しただけのものだし。
「いいですよ。
無魔法の《魔力弾丸》です」
「聞かない魔法名だね。どんな魔法なんだい?」
まぁ、そもそもオレが作った魔法だからな。
「魔力を弾丸状にして撃ち出す魔法です」
「魔力を……弾丸に?」
ウォルアさんは、理解が追いつかないといった様子で呟いた。
「土魔法の《ストーンバレット》がありますよね?
あれを参考にして、無魔法で再現してみたんです」
「ストーンバレット……土魔法の初級魔法の一つだね」
ちなみに、“魔力弾丸”って名前を付けたのもオレだ。
「元々の技名は……《魔弾》って言うんですけど」
「マダン、ねぇ……」
そう説明していると――
赤毛の女の子が、急に声を上げた。
「……ま、魔弾?
魔弾ですって!?」
「フィリン? どうしたんだい?」
ウォルアさんがそう尋ねると、フィリンと呼ばれた彼女は、息を呑むように続けた。
「聞いたことがあるの……
魔弾って、“魔人”が使う魔法のひとつで……
放たれれば、城壁さえ破壊する威力があるって……」
魔人かぁ。
この世界にも、そういう存在がいるんだな。
「魔人!?」 「魔人だって!?」
その言葉をきっかけに、周囲が一気にざわついた。
酒場の方からも、ひそひそとした声が飛んでくる。
「魔人らしいぞ」 「あいつが……?」 「魔人って、人類を敵視してるんだよな?」 「なんで魔人がギルドに登録してんだ?」 「種族は……人間だったはずだろ?」 「鑑定の魔道具を誤魔化せるとは思えねぇが……」
……いやいや。
完全にオレを魔人に仕立て上げる流れじゃないか。
「あなた!!」
赤毛の女の子――フィリンが、勢いよくオレに詰め寄ってきたのだった。
読んでくれた方ありがとうございます
誤字、脱字などの不自然な文章があれば、指摘お願いします
他の作品も読んでくれたら、嬉しいです
面白いと感じたら、評価やブックマークお願いします




