chapter38 登録用紙を書く前に…
オレたちが念話で話し合っていると、ルークさんが声をかけてきた。
「急に黙って、どうかしたのか?」
「……ルークさん、少しいいですか?」
手招きをすると、ルークさんは身を屈めて顔を近づけてくる。
オレはその耳元に手を添えて、小声で囁いた。
「名字があるのって……貴族だけですよね?
だから、名字を名乗ると面倒が起きるんじゃないかと思って。
あと、お金のことも……」
「なるほど、そういうことか。
確かに、ありえるな……。金については――ほら、さっき討伐したゴブリンがいるだろ?」
そう話していると、受付嬢さんが心配そうに近づいてきた。
「どうか……されましたか?
文字が書けないのであれば、この水晶に手を触れていただければ、
ステータスから私が代筆しますよ。この水晶は、確認用の魔道具ですので」
――そうだった。
こっちの文字、ぜんぜん知らないんだった。
読めはするけど、日本語じゃないし……まあ、試すしかない。
「わかりました」
水晶に手を触れると、淡い光とともに文字が浮かび上がった。
その間も、酒場の奥から野次が飛んでくる。
「おいボウズぅ! 色っぽい女侍らせやがってぇ!」
「いいよなぁ! 羨ましいよなぁ!」
酔っ払いの声がBGMみたいにうるさい。
■◆■◆■◆
【名前】:ヒロマサ
【種族】:人間
【年齢】:16歳
【性別】:男
【レベル】:4
【称号】:【勇者】【異世界の勇者】【異世界人】【召喚されし者】
【体力】:700/700
【魔力】:540/650
【攻撃力】:728
【防御力】:438
【俊敏性】:614
【職業】:勇者
【日常生活スキル】:家事Lv2、礼儀作法Lv3、楽器演奏Lv2、歌唱Lv2、計算Lv5
【戦闘系スキル】:体術Lv2、剣術Lv1、棒術Lv3、投擲術Lv2、身体操作Lv2
【魔法系スキル】:射出魔法Lv1、集束魔法Lv1、圧力魔法Lv1、無魔法Lv1、光魔法Lv1、空間魔法Lv1、魔力感知Lv1、魔力操作Lv1
【固有スキル】:魔法無効(OFF)、アイテムボックス、魔法吸収(OFF)、魔力放出、魔力変換、解析、鑑定
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文字がすべて表示された瞬間――
「ヒロマサ様、ですね。
……ゆ……ゆゆうしゃ……勇者様ですってぇぇぇぇ!?」
受付嬢さんが、ギルド中に響くほどの声で叫んだ。
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