添い寝
「じゃあ布団に入ってーっと」
「にゃーん」
「失礼します」
ミネットちゃんを挟んで三人で川の字で寝る。ミネットちゃんは布団の中ではなく上に乗っかっている。
「ミネットちゃん、いつのまにか布団温めてたの?あったかい」
「あ、それおれの魔法。今入った瞬間寒かったからやったの」
「ありがとうございます、フェリーク様はすごいですね」
「魔力量は自信があるからね」
温かいお布団に入ったから、ポカポカして気持ちいい。
「ねえ、リーシュ」
「はい」
「寝かしつけてくれないかい?」
「寝かしつけ」
「おれそういうのも経験ないからさ、憧れなんだよね」
なるほど納得。
そうともなると。
「よいしょっと、ミネットちゃん失礼」
「にゃーん」
「おや、そんなに近寄ってどうしたの」
真ん中にいるミネットちゃんを潰さない程度に近寄る。
そして背中を優しく撫でた。
「よしよし、よしよし」
「寝かしつけてくれるの?ありがとう」
「いえいえ。ほら、良い子良い子」
優しく背中を撫で続ける。
「ふぁっ…んんー、確かに心地いいね」
「ふふ、良い子良い子」
「へへ、おれ良い子かなぁ」
「良い子ですよ、良い子良い子」
「ふふ…んん…」
眠気に逆らえず、うとうととしてやがて瞼が下がってくるフェリーク様。
「…リーシュ」
「どうしました」
「ずっと一緒に…」
そこで力尽きたらしい。
すうすうと穏やかな寝息が聞こえる。
目を閉じて気持ちよさそうに寝ているその顔を覗き込む。
「…うーん、やっぱり美形」
「にゃーん」
「色彩も鮮やかで美しいし、平凡な私からすれば羨ましいな」
「にゃーん」
けれど長い孤独を耐えていた人だ。
それを思うと切ない。
人に恩恵を与えているのに、孤独を強いられるなんて。
「フェリーク様。私はお側にいますからね」
起こさない程度に、優しく頭を撫でた。
この美しき妖獣に、私が愛を与えたい。
そんな傲慢な願いを抱くことを、どうかお許しください。