72/75
子は人間らしい
一通り母子ともに無事となった出産をお祝いしたところで。
授かった子は人間なのか妖獣なのか。
それをフェリーク様は気にしていたので、コンティナン様に魔術で診てもらった。
「はい、シャンス様は普通の人間ですね。食べ物も普通で良いようです」
「よかったぁ…」
フェリーク様はほっと息を吐く。
妖獣としての生で苦労してきたフェリーク様だから、我が子には人として生きて欲しかったのだろう。
「けれど…フェリーク様。おめでたい席でこんなことを言って申し訳ないのですが、寿命もきっと普通の人間と変わりません」
「そうだね。おれより先に逝くのだろうね」
「フェリーク様…」
コンティナン様から突きつけられた現実に、それでもフェリーク様は冷静に頷いていた。
ああ、そうだ。
フェリーク様は悠久を生きるのだから、いつか私もこの子もフェリーク様をおいて逝くことになるのだ。




