ヤキモチ
「じゃあ、拙はそろそろ帰るから」
「え、もう帰っちゃうの?」
「今回はお嫁さんを確かめに来ただけだしー」
そういってオヴェストはおれではなくリーシュに向き直る。
「お嬢さん、拙の大事な友人を末永くよろしくね」
「はい!もちろんです!」
「いいお返事だ」
オヴェストはリーシュの頭撫でる。
さりげなく行われるその動作にちょっと動揺した。
オヴェストはスキンシップも好きだから他意はないのはわかっているのに、なんか胸の辺りがモニョモニョする。
大人しくその手を受け入れるリーシュをみて、もっともっとモニョモニョする。
「…ん?どうしたのフェリーク」
「フェリーク様?」
「ああうん…なんか仲良しな二人を見たらモニョモニョして…」
「モニョモニョ?」
きょとんとして首をかしげるリーシュ。
オヴェストの方は逆に、なにかわかったようでによによする。
そしておれに近づいて、そっと耳打ちした。
「それって所謂、ヤキモチってやつじゃなーい?」
「ヤキモチ…これが?」
「フェリークって思ったより狭量なんだねー。拙びっくり。あと、ちゃんと恋愛感情でお嫁さんが好きなんだね」
にこっと自分のことのように嬉しそうに笑うオヴェスト。
そっか、おれヤキモチ妬くほどリーシュが好きなんだ。
「気付かせてくれてありがとう。でも不用意にリーシュに触らないでね」
「わかったわかった」
おれたちの会話について行けず、きょとんとしたままのリーシュの頭を撫でる。
上書き上書き。
オヴェストはそれを見てケラケラ笑って、ご機嫌なまま帰っていった。




