嫁さんは良い女だ
拙はオヴェスト。
西の森の精霊王。
悠久を生きる存在。
長い孤独に苛まれていた拙。
それを救ってくれたのは、同じく悠久を生きる存在フェリーク。
「神の作った粘土の人形、加護を与えられた美しき妖獣、ヒトの姿で人を喰うバケモノ…生きる意味を知らぬまま悠久を生きる同志」
そんな存在が生まれ、興味を持ち会いに行った。
可哀想な生き物のはずなのに、それでもこちらに人懐こく笑いかけてくるものだから…拙はフェリークを気に入った。
拙はフェリークと友達になった。
そして交流をしつつ少しずつ年月は流れた。
そんな中で、フェリークはお嫁さんをもらったらしい。
「聞いた時にはびっくりしたけれど、まあ良いことだとも思った」
フェリークの孤独を癒せるのなら、それもまたいいだろう。
興味が湧いて会いに来てみたら、随分と普通のお嬢さんだったのには驚いたが。
「フェリークのお嫁さんなんだから、もっとどぎつい感じの強気なお嬢さんを想像していたよ」
「ええ?」
「だってほら、人間たちってフェリークのこと何も知らないくせに差別するじゃん。勝気なお嬢さんじゃないと無理だと思ってた」
「ああうん、なんかリーシュっておれに対して他の人たちみたいな…忌避感?持ってなかったんだよね、最初から」
「まじ?拙びっくりなんだけど」
普通のお嬢さんに見えてもやはり感性はずれているらしい。
まあともかく、そんなこんなでお嬢さんと接してみて。
「良い女だなと拙は思ったよ」
「あげないよ」
「取らないよ失礼な」
フェリークは拙をなんだと思っているんだ。
「だって義父さんからの土産とか、いいなと思ったら持って行くじゃん」
「それとこれとは違うから。さすがにお嫁さんはもらっていかないから」
そんな拙とフェリークのやり取りをみてくすくすと笑うお嫁さん。
「本当にお二人とも仲良しですね」
「まあね」
「拙の同志だからね」
とりあえず、一安心。
悪い虫だったらどうしようと思ったけど、これなら安心してフェリークを任せられそうだ。




