俺にこんなに素敵な嫁さんをくれてありがとう
「…なんで今の話でご機嫌になったんです?」
「ん?んー、なんでだろう。なんとなく満足したんだよね」
「えー?」
リーシュが元婚約者の彼に興味がなかったのは、おれにとっては嬉しいことらしい。
リーシュはおれの奥さんだからね。他の男の人を想って欲しくないのは当然なのかな。
ああ、元婚約者くん。
リーシュの印象に残らないでくれてありがとう。
俺にこんなに素敵な嫁さんをくれてありがとう。
「ふふ。なら少なくとも彼への罰は、本当に十分なんだろうね」
「まあ…まあ…本当に私、酷いことしちゃいましたしねー」
「リーシュが気にすることじゃないよ」
ぎゅっと隣に座るリーシュを抱きしめる。
リーシュは可愛い。
きっと元婚約者くんも、リーシュを本当は好きだったんじゃないかな。
リーシュのこの態度にやきもきして、つい浮気をしたとか?
つい、で浮気をするクズにリーシュを渡さずに済んだのは良かったけどね。
「フェリーク様は私に甘々ですねー」
「そりゃあ大事な奥さんだもーん」
元婚約者くんはおれにリーシュを奪われた、
元婚約者くんはもうリーシュに会えない、触れられない。
元婚約者くんはリーシュになんの感想も持たれていない。
罰としては十分。もう、彼に関しては許してやろう。
おれが許したからってどうなるわけでもないけれど。
「ふふ、リーシュ。大好きだよ」
「私もフェリーク様が大好きです」
ああ、元婚約者くん。
本当に、君には心の底からありがとうと思うよ。
高評価やブックマーク、ありがとうございます!励みになります!今回は真っ黒なことを考えちゃうフェリーク様でした。それだけリーシュちゃんが大好きなんです。




