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美しき妖獣の花嫁となった  作者: 下菊みこと


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なぜこんなにも上手くいかないのか

何故なのか。


どうしてだろう、突然我が家は転落を始めた。


といっても一重に私の判断ミスの為だが。


とある男…のちに詐欺師だとわかったのだが、その男に投資を持ちかけられた。


どうせ我が家は儲かっているし、お金は腐るほどあったからと投資をした。


「…リーシュが居ないことで、心にぽっかり空いた穴を埋めたかったのもある」


大成功すれば気分が良くなって、最近ずっと抱えていた虚しさも消えて無くなるのではないかと思ったのだ。


けれど男は、上手くいっているからもっと投資してくれと何度も何度も催促に来た。


私は妖獣の加護に胡座をかいて、どうせお金は後から入ってくるからと投資し続けた。


そのうち借金までして投資をした。


結果、詐欺師はお金を持ってどこぞへと行方をくらましてしまった。


「詐欺師はさぞウハウハだろうな…私は、抱えた借金にとうとう火の車になったが」


いくら後から後からお金が入ってくるとしても、出て行く分がそれより多ければ意味はない。


借金は利子含めて巨額になっていた。


首が回らない。


「爵位を継がないからと商人になってそのまま成功していた弟が、爵位を〝買う〟という形で助けてくれたからなんとかなったが…私は、私たち家族は貴族ではなくなった」


巨額の借金は弟が肩代わりしてくれて無くなったが、その代わり爵位は弟のもの。


弟は私のスペアとして、男爵になった場合必要な知識などの勉強も父のもとでしていたから少しすれば問題なくやっていけるだろう。


屋敷も弟に渡して、いくらかのお金をしばらく分の生活費として受け取って…情け無い姿を領民たちに見られたくなくて田舎村を出て行って、今は妻と娘と細々と暮らしている。


なぜこんなにも上手くいかないのか。


天罰…なのだろうか。


「これが、リーシュにしてきたことへの償いなのか」


だとしたら、笑ってしまう。


結局私は、私自身の罪に首を絞められたのだ。


けれど、妻と娘だけはせめて守らなければ。


私は妻と娘のため、プライドを捨てて新しい職場で馬車馬のように働く。


新しい職は鉱夫だ。寮付きでなかなか条件の良い職場で、身体はきついが家族をしっかりと養っていける。


「…リーシュにしたことを思えば、これはまだマシな天罰なのだろうな」


マシだろうがなんだろうが、心身ともにかなり追い込まれてはいるのだが。


いつか許される日は来るのだろうか。


生きているうちは、ない気がするのは気のせいであってほしい。

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