久々に彼らの現状を知る
「妖獣様ー、リーシュちゃん!おはようございます!」
「おはようパウロ」
「おはようございます」
「にゃーん」
ということで今日もパウロさんが餌を持ってきてくれた。
フェリーク様が餌を引っ張り二階へ上がる。もう迷う様子は見られない。
「妖獣様、吹っ切れたみたいだね」
「はい、元気になりました」
「ありがとう、リーシュちゃんのおかげだと思うよ。妖獣様に寄り添ってくれて、嬉しいよ」
そう微笑むパウロさんに、私も微笑む。
「私はフェリーク様が大好きですから、当たり前です」
「それはそれはお熱いご様子で!」
「ところで、実家ってどうなりました?」
やはり、離れると少し気になるもの。
パウロさんに問えば、パウロさんは答えてくれる。
「なんか最近、教会で様子を見る分には元気ないよ」
「へえ。今更後悔でもしてるとか?」
「みたいだねー」
「うわぁ」
今更後悔されても困る。
「元婚約者くんも、リーシュちゃんの妹のことそんなに好きそうに見えないんだよねー最近」
「うわぁ」
うわぁしか言葉が出ない。
「うわぁだよねー本当。なにあの人たち」
「引きますねー」
「引くよねー」
そんなことを話していたら、フェリーク様が戻ってきた。
いつも通り濡らした清潔なタオルで口元と腕を拭ってあげる。
「相変わらずおしどり夫婦ですなぁ」
「最近もっと仲良くなったもんねぇ、リーシュ」
「ねー、フェリーク様っ」
「ひゅーひゅー!」
冷やかすパウロさんに笑う。
和やかな時間はあっと言う間に過ぎて、パウロさんは下山していった。




