表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しき妖獣の花嫁となった  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/75

自分勝手にも程がある

聖女様は言った。


「単刀直入に言うわ」


「なにかな」


「貴方はもう、この国には要りません」


その言葉を聞いて、私とミネットちゃんは激昂した。


「はぁ!?」


「シャーっ!」


「リーシュ、ミネット。落ち着いて」


あまりに落ち着いたフェリーク様の声に一瞬で冷静さを取り戻す。


とはいえ燃え上がるような怒りは消えてくれない、それはミネットちゃんも同じらしい。


「…まあ、野蛮な妖獣の嫁も野蛮ね。ペットは可愛らしいけど」


「リーシュを貶めるなら許さないよ」


「まあ、怖い。けれど何か勘違いしているのではなくて?もう貴方の時代は終わりよ」


あんまりの発言に胸ぐらを掴んでしまいそうな自分をぐっと抑える。


ミネットちゃんも全身の毛を逆立てながらもぐっと堪えていた。


「どういう意味かな」


「今代の聖女はわたくし。とても大きな魔力を持っているわ。わたくしは貴方の豊穣の能力ほどでなくとも、聖都に様々な豊穣をもたらすことができているの」


「へえ、それで?」


「代々の聖女は、より強力な魔力を持つようになっている。きっと神さまが貴方を要らないと思っている、その思し召しだわ」


「ふざけないでよ!!!」


堪えていたが、口を挟んでしまう。


フェリーク様に迷惑をかけてしまうのはわかっているのに、止まらない。


「フェリーク様はずっとずっと寂しい思いをしながらも、この国に豊穣をもたらしてきた!!!フェリーク様を散々利用しておきながら、今更必要ないなんてふざけんな!フェリーク様が許しても私は絶対お前を許さないからな!!!」


「リーシュ」


聖女の胸ぐらを掴む勢いの私を、フェリーク様が優しく抱きしめて止める。


「いいんだ。いいんだよ」


「フェリーク様っ」


「おれは大丈夫…リーシュが怒ってくれたから、もう充分だよ」


「にゃーん」


フェリーク様が私を抱きしめる腕をぎゅっとしてくれて、ミネットちゃんが私の頭を撫でる。


そんな自分が情けなくて、フェリーク様を悪く言われたのが悔しくて悔しくて。


感情が昂りすぎて、私は嗚咽を漏らす。


「うっ…ぐっ、うっ…」


「大丈夫、大丈夫だからね」


「にゃーん」


「…仲睦まじいこと。やはり、人を喰う野蛮な妖獣に餌を与えるような家柄の娘は価値観がおかしいのね」


また手が出そうな私を、フェリーク様がぎゅっとして止めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ