良い娘を嫁にしたらしい
久しぶりに会った息子は元気そうだった。
帰ってきた俺を出迎えてくれた嫁さんを大事そうに扱うのを見て安心する。
ミネットも相変わらず元気そうで、俺に甘えてくる。
息子の嫁さんは良い娘で、見た目も綺麗だが突然現れた俺をお義父様と呼んでくれて嫌な顔一つせず相手にしてくれる。
「で、義父さん。おれの小さな頃の絵とか持ってない?」
「あ?俺が描いたのならいくらでもあるけど」
「お、お義父様!見たいです!」
「ん、いいぞ」
とりあえずさくっと上着の内ポケットから何枚か取り出すと、キラキラした目でフェリークの幼い頃の絵を見つめる俺の義娘リーシュ。
「フェリーク様可愛い!!!」
「えー、ふふ。リーシュに言われるとなんか嬉しいなぁ」
「フェリークをこんなに気に入ってくれて、いい嫁さんだなぁ」
「そうなんだぁ。おれのお嫁さん最高」
「フェリーク、俺に良い義娘を持たせてくれてありがとうな」
幸せそうに笑って嫁自慢をする息子にそう言えば、照れたようにすごく良い顔で笑う。
息子にそんな顔をさせる嫁さんも、俺の言葉に照れている様子で本当に良い娘だと思う。
「お嬢さんも、改めてうちの息子の嫁になってくれてありがとう。息子をこんなに良く想ってくれるお嫁さんが出来るなんて、俺は嬉しいよ」
「え、えへへ…フェリーク様が私を大切にしてくれるからこそです」
「そんな!リーシュがおれに愛情をくれるからおれもリーシュを大切に出来るんだよ!」
「ふふ、もう。フェリーク様ったら」
「あー、はいはい。ご馳走さま」
息子夫婦が無事おしどり夫婦をやっているのを確認して、俺は嬉しくなる。
「今回も色んな国のお土産を買ってきたから好きに飾ってくれ」
「義父さんがたくさん買ってくるから、その度にお土産品が増えるんだよなぁ」
「まあまあ、まだ飾れるところはあるだろ」
「壁とかね」
「色々シンプルなお家なのに異国情緒あふれるリビングだと思ったらお義父様でしたか!」
そんなことを言ってくすくす笑うリーシュにフェリークもそうなんだよぉと笑う。ミネットもにゃーんと相槌を打っていた。
すっかり新婚さんだな。
「ねえ、せっかくだからお土産話も聞かせてよ」
「あ、私も聞きたいです!」
「わかったわかった」
息子夫婦に色んな国での土産話をしてやる。
結局一週間ほど滞在して語り尽くしたが、息子夫婦は共に目を輝かせて聞いてくれたので話すのが楽しかった。
「義父さん、もう行っちゃうの?」
「お義父様、もっと居てくださってもいいのに」
「悪いな、新しい土産話を仕入れてくるから待っててくれ」
そう言ってウィンクをすれば、二人は仕方がないなぁと笑う。二人に手を振って見送られ、ミネットもずっとにゃんにゃん鳴きながら見送ってくれて後ろ髪を引かれる思いだが旅に出る。
新婚さんを邪魔できないからな。
本当に、良い子を嫁にもらってくれてよかった。




