彼の恩人に会う
変わらない日々をフェリーク様と過ごす。
そんな何気ない日常も幸せで。
「フェリーク様っ」
「リーシュ、どうしたの?」
「ミネットちゃんとお山に咲くお花をいくつか摘んできました!どうですか?」
フェリーク様に花を見せれば、ぱっと笑顔になるフェリーク様。
「わ、見事に咲いてるね」
「可愛いですよね」
「うん、可愛い」
にこっと笑うフェリーク様に摘んできてよかったと笑う。
「花かんむりをお作りしますね」
「え、嬉しい。おれ誰かに花かんむり作ってもらうのも初めて」
「ふふ。よし…よっと、できた」
簡単な花かんむりを作って、フェリーク様の頭に乗せる。
「…わ、フェリーク様可愛い」
「え、本当?どれどれ」
「にゃーん」
フェリーク様にすかさずミネットちゃんが手鏡を手渡す。
フェリーク様は花かんむりを乗せた自分を見て破顔した。
「わ、いいねこれ!!!気に入った!」
「ふふ、いいですよね」
「ねえ、魔法で保存しても良い?」
「そんなに気に入ってくださったんですか?もちろんです!」
フェリーク様は保存魔法を花かんむりにかける。
これで花かんむりはこのまま壊れることも朽ちることもないらしい。
「ふふ、しばらくこのままつけたままにしていようかなぁ」
「そうしましょうか」
そのまま花かんむりをつけたフェリーク様とのんびり過ごす。
すると玄関のドアがノックされた。
「あれ、誰だろう」
「出てみようか」
フェリーク様とミネットちゃんと一緒にお客様を出迎える。
そこには若い男性。
「えっと…」
「よう、お嬢さん」
「ちょっと義父さん、おれには挨拶無し?」
あ、この人が旅の賢者様なんだ。
魔力多すぎて死ねないって聞いてたけど、見た目も随分若いなぁ。
「ただいま、フェリーク」
「おかえり、義父さん。ずっと帰ってくるの待ってたんだよ」
「悪い悪い。今回も土産をたくさん買ってきたから許せって」
「もー、義父さんは仕方がないなぁ」
見た目は幼馴染って言われても通じそうな二人だけど、こうしてみるとたしかに親子なんだなぁ。
「おっと悪い。お嬢さんがフェリークのお嫁さんだな?」
「はい、リーシュと申します」
「俺はサッジョ。息子から聞いてるかもしれないが、旅の賢者さ」
「お会いできて光栄です、お義父様」
「うーん、俺にこんなに綺麗な義娘が出来るとは感慨深い。フェリーク、お前別嬪さんを嫁にもらえてよかったなぁ」
お義父様がそう言えばフェリーク様は照れたように頭を掻いて笑う。
「へへ、そうなんだぁ。おれ毎日が幸せなんだよぉ」
「惚気やがって、可愛い奴め。お嬢さん、息子はこんなんだがいい奴だから改めてよろしくな。俺もたまに遊びにくるから、仲良くしてくれたら嬉しい」
「はい、お義父様!」
お義父様はフェリーク様の話を聞いての印象通り、優しくていい人みたいで良かった。




