彼女は聞き上手だ
身の上話なんか誰かにすることになるとは思っていなかったけれど、リーシュが聞き上手だからなのかな?すらすらと話してしまう。
「まあ、幼少期は…そんな感じでナデナデも抱っこもなくて普通の子供のような愛され方ではなかっただろうけど、義父さんのおかげでそれなりに育ったよ。特別話すことがないような平和な日々だった」
「ふむふむ」
「おれが大人の姿になってからは、義父さんはまた旅に出ちゃってたまにしか帰ってこないけど」
「そっか…それは寂しいですね」
「多分義父さんとおれのたまにしか帰ってこない、は普通の人間の感覚よりもずっとたまーになんだろうから余計に寂しいよ」
しょんもりしたおれに優しくナデナデしてくれるリーシュ。
可愛いお嫁さんがいる今は本当に幸せだなぁ。
「まあでも、独りぼっちになってしばらくしてからお友達ができたんだよね」
「西の森の精霊王様ですね」
「そ、彼結構人懐こいように見えて気難しいタイプらしいんだけど…おれには不思議と優しいんだよね。なんか可哀想な生き物認定されて良くしてくれてるし、彼曰く心の友らしいし」
「フェリーク様も好きなんですもんね」
「うん、こっちも接触はたまーにだから寂しいんだけどね。でも彼のおかげで多少は楽しみも増えて…」
リーシュはにこにこ笑って頷きながら聞いてくれる。
話すのがつい楽しくなってしまう。
「いつかリーシュのことも紹介したいな」
「ふふ、今から楽しみですね」
「うん」
リーシュを彼に紹介したらどうなるだろう。
彼、リーシュのことも気に入ってくれるかなぁ。
義父さんだったら間違いなく気に入ってくれると思うんだけど。
「まあ、そんなこんなで寂しかったりが帰ってきたりお友達が遊びに来たり…みたいな日々を過ごしてたらミネットが現れて、使い魔にして少し幸せが増えて…その後はミネットと過ごすようになった以外やっぱり変わりない日々を過ごして…」
「うんうん」
「それでリーシュがお嫁さんに来てくれた。毎日が本当に幸せになった」
「ふふ、それは良かった。私もフェリーク様のお嫁さんになれて幸せですよ」
幸せな時間をくれたリーシュ。おれなんかの身の上話を聞いて満足そうに笑う彼女を抱きしめる。
「フェリーク様?」
「なんでだろう。義父さんにも友達にもずっと一緒にいて欲しいなんてわがまま言う気にはならないけど、リーシュとはずっと一緒がいい」
「お嫁さんなんだからずっと一緒ですよ」
「うん」
「そろそろ添い寝しましょうか」
リーシュに手を引かれて、二階に登る。
リーシュの部屋で三人で添い寝する。
リーシュをぎゅっと抱きしめて、リーシュに背中をトントンされて気持ち良く眠れた。
高評価やブックマーク、ありがとうございます!励みになります!ちょこっとおやすみいただいてしまいましたが、この作品も頑張って最後まで駆け抜けたい所存ですのでよろしくお願いします!




