彼女との生活
リーシュが来てから数日。
おれはすっかりとリーシュのいる生活に慣れた。
リーシュは中々面白い性格をしていて、人を喰うおれを怖がる様子も見受けられない。
血塗れの口元や腕を自ら清潔なタオルで拭いてくれたり、優しく抱きしめたり頭を撫でたり。
多分、リーシュ以外の人間はおれの正体を知ったらそんなことしてくれない。
「リーシュはすごいね」
「何がですか?」
「おれを喜ばせる天才だ」
「そうなんですか?」
「うん」
リーシュをぎゅっと抱きしめる。
けれどそれにも怖がる様子はない。
リーシュはやっぱりすごい。
普通の子ならここで叫び出すはずなのに。
「リーシュ、おれのこと好きかい?」
「はい、大好きですよ」
リーシュは優しい。
そしておれに愛情をくれる。
「フェリーク様は私のこと好きですか?」
「うん、大好きだよ」
だって、リーシュはおれに色々なものをくれる。
初めてのハグ、初めての頭なでなで、初めてのおれからのハグ、そして初めての添い寝に初めての寝かしつけ。
初めてのお嫁さん、初めての結婚生活、そして初めての感情。
リーシュと居ると色々な感情が湧いてくる。
そしてそのほとんどが幸せな感情だ。
「ねえリーシュ。おれは君にちゃんとお返し出来てるかい?」
「お返しですか?」
「リーシュはおれに色々なステキな感情をくれるだろう?そのお返しだよ」
「え…えへへ、そんなどストレートに言われると照れますねぇ」
リーシュの口元が緩む。
「ふふ、今も一ついただきました」
「え?」
「私、フェリーク様が結構好きだから。フェリーク様の言動一つで一々幸せになってしまうんです」
なんと、リーシュもおれと同じような気持ちでいてくれるらしかった。
「ふふ、おれたち相性は最高かもね」
「そりゃあもう。将来はおしどり夫婦ですもん」
自信たっぷりに言い放つリーシュがなんだか可愛くてぎゅっと抱きしめてしまう。
「フェリーク様?」
「なんだかそんなリーシュが可愛くて仕方がないよ。元々可愛いけど」
「えー?えへへ、もう。フェリーク様は本当に褒め上手ですね」
嬉しそうに笑うリーシュ。
そんなところも一々可愛い。
「私こそ、フェリーク様にお返し出来ていますか?フェリーク様は素で、私が欲しい言葉をくれたりするからもらってばかりな気がして」
「まさか!もらってばっかりはこっちの方だと思う…ってことは、お互いに与え合ってるってことでいいのかな?」
「あ、お互いに思ってるならそれもそうですね」
そうだそうだと頷く仕草まで可愛い。
リーシュと出会えてよかったと、幸せを噛みしめるように抱きしめる力を強くした。




