待望のピクニック③
「あーやっぱり久しぶりにおにぎり食べると美味しいな」
朝食に一つだけ残しておいたおにぎりをつまんで食べると望実はのびをする。ヒールや堅すぎる革靴は禁止といってあるのではきなれた革靴か作業用の靴で来てくれるとは思うが歩けない人ようにきちんと馬車も用意してある。
「おはようございます。母上」
舌足らずの話し方をやめたオランジュが照れたようにやってくる。少し顔つきもかっこよくなった気がする。ただ笑顔は変わらないままで望実はほっとした。
「おはようオランジュ」
手をつないで外へ出るとペッシュとミラベル、ミネオラがネビルに付き添われて立っている。少し後ろにサガがいて思わず手を振ると顔をしかめられた。オランジュに余計な事を言った件でかなりきつくネビルに絞られたらしい。すれ違ったときに話しかけたら怒られた。
「皆さんおはよう。今日はお付き合い頂きありがとうございます。それでは歩きたくない方は普通に馬車に動きたいという方は私と一緒に歩きましょう。出発」
さっと昨日作った簡易の旗を持って望実は歩き出す。
「妃殿下、城はあちらです」
ぼそっというネビルにオランジュが吹き出す。真っ赤になりながら反対方向に望実は歩き出した。
「母上の靴は見たことがない物ですね」
「スニーカーって言うの。すごく歩きやすいのよ」
「かっこいいです」
「私がもう少し服飾に興味があったらオランジュに作ってあげたいのだけどそもそもゴムとかどうやって作るんだろう。うーん」
「母上危ないです。足下を気をつけて」
すっと手を差し出してくれるオランジュに嬉しく思いながら、後ろでなんだか照れているサガとペッシュも気になる。ミネオラはネビルと騎士の訓練について話していた。ミラベルとグルナードは馬車で先に向かっている。セミノールは両親と直接城に来ることになっていた。
「私でなくてペッシュをエスコートしてあげて、ね」
「ペッシュには兄のサガがいるではないですか」
「なら私がサガと話したいことがあるからペッシュをお願いね。サガっ」
「な、なんだよ……ですか」
急に声をかけると嫌な顔になるサガをペッシュがたしなめる。変わらない二人なのだなとほっとして望実は笑う。
「ネビルも今ぐらいは流してくれるわよ。普通でいいから」
「いや、でもよ。あとですげえ怒られるし」
「いいから、私に協力しなさい」
「協力しろってなにに」
「私の未来の嫁と息子のために」
「はあ?」
「うるさい」
サガの口を塞いでネビルにこっちに来ないようにと合図する。
「あのな、あいつら五歳だろ」
「なによ。五歳の頃には好きな人いたけど」
「まじかよ」
パンの顔をした正義のヒーローだというのは黙っておくことにした望実だった。




