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反省3:海賊殺っちゃいました

「——ふぅ」

 スラムースを出てから数日。まさか、海で濡れるよりも先に血に濡れることになるとは。


「だ、ダイアナ様大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。ただ、最近殺伐としているなーって」

「……お疲れですね」


 疲れたけど、下を向けない。

 向きたくない。

 だって、上を見れば……太陽は隠れてるけど死体はないもの。


 私達を囲んでいる数名の死体。

 もちろん、ギロチンでざっくざっくといったのでみんな首がない。

 あ~あ、縫い付けたら元に戻らないかな。


「それにしてもダイアナ様のギロチン?すごいですよね。あれだけ大勢いたを一瞬で……」

 次の目的地は海に近いとは聞いていた。だけど、海も見えないにおいもない場所でまさか海賊に襲われるなんて思いつくはずがない。


「……海賊ですよね?」

「そうですね。そう名乗ってましたから」

「海から近いんですか?」

「いえ、この辺りはどうあがいても上陸できないような断崖しかないはずです。なので、海賊がこの辺りで活動するとは考えられません」

 ここを活動拠点にしているなら海賊ではなく、山賊と名乗るべきだと思う。

 

 では、どうして海賊が海じゃない場所にいて詐称をしているのか、となる。


「……どうします?」

「どうしましょう?」

 被害者なんだからさっさとおさらばしたいんだけど……道のど真ん中に死体を放棄していくのはさすがに憚られる。

 隣の領地へと通じる道に犯人不明の死体が放置されているなんてせっかく復興を始めたスラムースに悪影響が出てしまう。


「……いや、私もお嬢さん方に比べたら長生きしてますがね? びっくりですよ。道の真ん中に首を落とされた死体が転がってるのにもですが……それをお嬢さんがやったなんて」

「与太話と思われても仕方がないことを信じていただいただけでなく、兵士も呼んでいただきありがとうございます」

「あのまま途方に暮れるところでした」


「いえいえ。大した手間ではありませんよ。それに、こうやって話題になる二人もの美人さんと出会えたのですから商人としてはむしろ儲けているぐらいですよ」

「ですが、せっかくの旅程を引き返らせてしまって……」

 商品が駄目になるのではと申し訳ない気持ちになったが、商人のアカネコさんは問題ないという。


「目的地は二つ以上隣の領地です。そんなところに行くのに日持ちのしない商品なんて運びませんよ」


「……なぜわざわざそんな遠くまで?」


「おや? お嬢さん方、スラムースの方から来たのにあの町の現状をご存じないのですかな? あそこは領主が変わってから関税が高いだけでまともな商売ができないのですよ。住人の活気もなく、行商をするのには向いてませんからね」


 なるほど。

 スラムースの騒動はまだ収まって日が浅い。事情を知らなければ以前の状況だと考えるのは当たり前だ。だから代理さんが力を貸してまずは復興を。それから国内の評判を取り戻そうとしているわけだけど……ここで出会ったのはなにかの運命かもしれないわね。


「それだったら、大丈夫ですよ。スラムースの町は正しく生まれ変わりましたから」

「……どういうことですかな?」

 それから私達は隠すことなくスラムースの領主交代劇の真相を語った。

 ただ、カミラさんが私の活躍をかなり大袈裟に盛ったものだからそちらの方に興味がだいぶ持っていかれたようだけど。


「なんとっ、あの無法者を対峙したのも!?」

「はい。ダイアナ様お一人です。私などは見ていることしかできず……」

 うん。確かに私が全部やったし、カミラさんが見ていただけっていうのも間違ってはないね。だだ、私が腕力で圧倒したわけじゃなく魔法道具を使ったということとカミラさんが動こうと思えば動けたことを言っていないだけで。

 カミラさんの事情については説明すると他国の間者として動きにくくなるからだろうけど、私を達人のように言うのはやめてほしい。


「そのことでお伺いしたいのですが、彼らは海賊を名乗っていました。その辺りの事情をご存知ないありませんか?」

「そうですな、最近海賊の勢力図が大きく変わったという話は聞いたことがあります」

「では先程のは本物の海賊で海を追われた者達ということですか?」


「そうなりますな。詳しい話は領主様に聞いてみるとよいでしょう」

「……? 領主様が海賊の情勢に詳しいのですか?」

「まあ、あそこの領主は変わり者でして。大きな声では言えませんがね、元海賊なんですよ」


「「えぇ~!?」」


「驚きますよね? まあ、海に近い領地で海に詳しくなくてはやっていけないので見習いとして乗り込むらしいですが……」

「領民は何も言わないんですか?」

「海賊と言っても根城にしている場所で無法はそうそう働きませんよ。そんなことをしたら寝込みを襲われますから」

「つまり、拠点ではおとなしい海賊と?」

「領民からすれば身近過ぎて地元の漁師と同じ感覚なんでしょうね」

 苦笑しているけど、そういう問題?

 聞けば海賊は普通に魚などを卸して販売もしているらしい。その姿を知っていればそう思うのだろうか。


「海賊に支配された町。これは聖女様の出番かもしれませんよ?」

 そんな出番はありません。

 聖女っていうの聞かれると面倒だから黙っててください。

 サブタイトルが3というより2.2ぐらいなんですよね。

 あと、襲われて返り討ちにしてるから別段反省してない・・・これはいつもでしたね。

 次回も反省回の予定できるだけテンポよくいきますよ。

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