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反省11:馬鹿に構っている間に出し抜かれました

「いいでしょう。受けて立ちますよ! このデモンモン、デュラハン様が魔王に至るためにかつての魔王の躯を封印した大国を家探しする邪魔はさせないのですよ! よってまだ捜索が終わっていないこの王国を今手放すつもりはないのですよ!」


「…………あっ」


「全員そこのはもうどうでもいいです。さっさと倒してしまいなさい!」

「……戦うのは私ですよ」

 これで遠慮なく倒しても問題なさそうね。ただ、倒す前に今どこにいるのかを教えてもらえると助かるから少し煽ってみるか。


「おバカな悪魔さん。あなたの死体はご主人様がちゃんと見れる場所に晒してあげたいんだけどどこら辺に晒してほしい?」

「き、きき貴様! デモンモンからまだ情報を引き出そうというのかっ!? こ、これ以上は喋らんぞ! それにあんな陰気臭い遺跡なんぞで眠ってたまるか!」

「あっそ」

 遺跡、ね。ちらりと目配せをするとクインテット公爵に先導される形で師匠達は動き出していた。

 う~ん、あの首無しは私が倒したかったんだけど……目の前のこいつの注意をひいておく必要もあるししょうがないかな。


「ちょっと急用を思い出したから早めに倒しちゃおうかな」

「舐めるな!」

「舐めてはいませんよっと!」

「ぬぅ!?」

「おっ、抵抗するね~。魔族にはこの神聖な魔法道具の拘束は結構キツいと思ったんだけど?」


「当たり前だ! あの下等なゾンビなどと一緒にするな!」

「……でもねあなたはやっぱり馬鹿だよ」

 私達が戦っていた魔族はあなた達だけじゃないんだから。あの首無しほどの強敵はいなかったけどこいつ程度の魔族なら戦ったことはある。もちろん勝ったことも。


「ぐおおおおおおおっ!!」

「うるさいなぁ」

 頑張る頑張る。ちょっとだけ拘束が緩んでるぐらいには。

 じゃあ、ウォーミングアップ代わりと言っちゃなんだけど……本気を出しちゃおうかな。


「見せてあげるよ。あなたのボスを倒し得る魔法道具の力を」

「何を馬鹿なことを! 魔法道具なら今も使って――」


「ギロチンが断ち切るのは首だけじゃないんだよ?」


 魔法道具の真の力。それは私が想像していたものとは少しばかり違っていた。

 真の力とかいうから全部の力が強化されるだけなのかと思ってた。

 これを作った人は結構頭がおかしいのか、単純に作っていく過程で暴走したのか。


「なんだっ! 眩しいぞ!」

「最後の言葉がそれでいいんですか?」

 ギロチンの真の力は『百連斬シュラッシュ!』。ふふふ、これは相手の罪の数に応じて何回も何回も刃を振り下ろすんです! 


「何回でも死んで生き返ってまた落とされなさい!」

 首をね!


「ギャガ、ギャギャギャ!」


「あれって罪が多いほど痛みも増してくるんだって。だから頑張って耐えてね。耐えた先にはあなたの罪はすべて断ち切られているから」

 罪もすべて断ち切る。それがギロチンの本来の使い方なんだよ。ただ首を落とすだけなんて本当は意味がないんだよ。それじゃあ、罪人は反省できないんだから。


「——ゼッ、ェ」

「相当罪深い人生を送って来たみたいだね」

 途中で数えるのをやめたが、それでも百は軽く超えている。もう反論の声もあげることができなくなってそれでもまだ断罪の光は止まない。


「そろそろ解放されるからしばらくは我慢してね」

 一度発動したら罪が消えるまでは止められないのが欠点である。それを知っていたかどうかはともかくあいつは最悪のタイミングでやって来た。


「よくもまあ俺がいない間に好き放題してくれたものだ」


 忘れもしない傲慢な声。


「あんたこそ、人よりも低いところに頭を持ってる割にはやってることはどこまでも上から目線ね?」

 人がいない間に国を支配下に置くなんてそっちの方がよほど性質が悪いわ。


「しかも、その割に成果は得られなかったんでしょう? どれだけ無駄な時間を使ったんだか……。いっそのこと頭を地面につけて頼み込めば同情で誰かが手を貸してくれたかもしれないわよ?」

 得意でしょう?挑発するように睨みつけてやればあいつは簡単に挑発に乗って来た。


「調子に乗るなよ。真の力を解放できたからといって俺と対等にでもなったつもりか?」

 いや、挑発に乗ったように見せているだけか。

 こいつにとって私はいつでも倒せる相手に過ぎない。あの時は師匠の魔法道具の力を恐れて逃げたけど、真の力を解放した私の評価は変わっていないらしい。


「貴様なんぞ、頭だけで倒せるわ!!」

「!?」

 びっくりした。

 まさか頭を投げつけて来るなんて。というか――。


「頭が浮いてる!? どんだけ軽い頭なの!」

「その言い方はやめろ!! 俺の知能が低いように聞こえるだろうが!」

「ふっふふ、そう。あんたも少しはやるようになったじゃない」

「……やれやれ。どうしても俺の上に立っているという図式にしたいわけか」


「当たり前でしょう? 私の一番の望みはあんたの頭を地面に埋めて飼うことよ。安心して口は上に出してあげるから食事はできるわよ。目線は不快だから地面に埋めるけど」


「舐めるなよ? だったら俺はお前を大好きなカールズと同じく下等な操り死体にしてやるわ」

「はぁ!? あなたこそ舐めないでよね。私があんな屑みたいになると思ってるの!?」

「その余裕、どこまで持つかな?」


 さっきからやけに得意気ね。


「言っておくが、ここに応援は来ないぞ。先程鬱陶しいハエは払ってきたばかりだ。お前に似たものと年寄りもいたがな」

「……まさか、師匠を?」

 いやいや、あの人に限ってそう簡単に倒されるはずが……!?


「気付いたか。あの馬鹿は余計なお喋りをしていたようだが、それも意味はないことだ。もはや私はお前達に後れを取らないほどの強大な力を手に入れたのだからな!」


「見るがいい! これが古の魔王の力を手に入れた新たな私の姿だ!!」


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