第3話 貴族だったの?
それから何年か年が経つと魔法では四天王でさえも勝てなくなってきていた。そんな時魔王はスミレに本当の事を話すことにした。
「スミレよ。お前は私の本当の子供ではない。本当は王都の貴族で、知り合いのイエロー公爵から引き取ったんだ。彼らによると、紫の髪は不吉らしい。だが、もちろん貴族の子供であるゆえ、貴族のマナーを教えることとする。父ではないと知ってショックを受けただろう。」
「そんな。パパはパパだよ。ここまで育ててくれたから血の繋がりは関係ないよ。」
スミレは魔王を信頼して本当の父親だと考えているようだ。
「そうか。ありがとう。これからみっちりと教えていくからな。ワシには跡継ぎがいない。だから我が貴族名ヴァイオレット侯爵を名乗ると良い。今日からスミレ=ヴァイオレットだ。」
魔王はそういった。
「わかったよ。頑張るからね。」
こうして、スミレは貴族の教養やマナーを身に付けていった。
例えば王国の歴史、算術、読み書き、さらにはイエロートパーズ語やレッドローズ語も収めた。この大陸には3つの領域が存在し、イエロートパーズ領、レッドローズ領、そして、魔界だ。
魔王は7歳になったスミレを教会に入れ、僧侶をさせることに対してどう思うかと議決を取った。
というのも、回復魔法の効果を上昇させるのは神に仕える事であると信じられており、魔族史の本では、実際に神に仕える事で後天的に加護を受けることができたという人も存在したのだ。
さらに四天王さえ、魔法だけを取るともう勝てなかったからだ。
「スミレはもう強くなったと俺は考えている。この魔界だけで育てるのは良くないだろう。という事でスミレを教会に入れ、僧侶にしようと考えている。どう思う?ライトよ」
またまた、魔王城大広間。魔王がこういった。
「そうですね。イエロートパーズまで行かせるのは怖いですね。知り合いはいますが。レッドローズの方は良さそうですけども。一応同盟国ですし」
ライトがそういった。
「行かせるならレッドローズでしょう」
ブレイズもそう言った。
「そうね。行かせるならレッドローズだわ。でも、離れられるのかしら。しょっちゅうは会えないわよ。3年ほど見送ってもよろしんではなくって?」
アクアが言った。
「スミレ殿本人に聞けばいかがでしょう。」
ライトがそういった。グランドもいるが口を開かない。
「そうだな。スミレを呼んでくる。」
魔王が慌てて出て行った。
「どうしたの、パパ。」
近くの砂場で遊んでいるスミレは慌てた父親をみてそう聞いた。
「お前に話がある。教会で回復魔法を極めないか?今年から。パパや四天王とは離れる事になるが。お前の実力ならやっていけると思っている。だが、無理をすることもない。3年先にするという案もある。どうする?」
魔王は選択肢をしめす。
「同年代の子はいるのかなぁ?私は四天王さん達と一緒に生きてきたから離れるのが考えにくいなぁ。今は考えられないから3年先にしようかな。まだ他の魔法も中級止まりだし。」
どうやらスミレはまだ実力を不安視してるようだ。
魔王は大広間に戻ると、四天王にこう伝えた。
「スミレを教会に送るのは三年後にする」
と。