第17話 魔王城の日常
トーナメントが始まる前も後も魔王城では平穏な日々が続いていた。
アルベルトやベンジャミン、四天王、魔王は鍛錬を積んでいる。
日頃から鍛え合うのが重要というのもあるが、四天王と勇者達は実力が拮抗しているので、切磋琢磨できるし、圧倒的に強い魔王と戦う事でより強くなれる。
そして、その鍛錬の後は風呂に入り、裸の付き合いをした後、メイドのミサの料理をみんなで囲み食べる。
ちなみに本日のメニューはカレーとサラダとスープである。バランスの取れた食事であり、栄養もたっぷりだ。魔王城の食卓をカレーの香ばしい匂いが包んでいる。勇者達も魔王を倒す目的が強さを磨くことに変わってしまい、王達の考えている魔王を倒す目的とは変わってしまっていた。そう、もう殺せないのである。
彼らはこんな日常が続く事を祈っていた。しかし、日が経つのは早いもので、あっという間に1ヶ月が過ぎていた。
そんな時、王国から魔王の討伐隊が組まれることになったという手紙がスミレのもとにも届いた。スミレはきっと勇者も参加するだろうと考えていた。
しかし、その手紙によると、2年ほど騎士団での訓練期間を経てからなので、まだ、時間はあった。今回の手紙ではその訓練への案内状だったのだ。
もちろん卒業していたサトシは即刻騎士団での訓練に参加することを決めていた。もちろん王族が自ら入ることにより、参加する人々を増やしたいという政治的な狙いもある。
アルベルトは魔王討伐はどうでもいいがサトシとまた、戦ってみたいという理由で参加を決めた。その手紙によるとスミレの入学式と同じ日に王城に行けば良いらしいので、同じ馬車で帰ることにした。