第12話 魔王城では
そんな模擬戦の授業が終わった翌日からは冬休みだ。
これから4月の入学に向けて本格的に準備をしたり、鍛錬を積んだりするのだ。
魔法学院では休みの期間こそが強くなるために重要と考えられているため、休みの期間がものすごく長いのだ。
スミレは、魔王達のいる魔王城へ帰ることにした。
一方魔王城では、色々な国々から勇者が派遣されその対応に追われていた。
「本当にまだ魔族敵視の時代は終わりませんね」
ライトはそう言った。
「仕方あるまいよ。スミレは今日から休みだと聞いた。きっと戻ってきてくれるだろう」
魔王が威厳のある声で言った。
「そうですね。では、お部屋の準備などをしておきますので、書類の処理お願いします」
側近ライトがそう言った。
「わかった。大義である」
魔王が言った。すると、魔王の間にオレンジ色の髪をした女の子がいた。
「どうした。勇者か?」
威厳のある声で魔王が言った。
「そうですね。勇者です」
女勇者が言った。
「何しに来た」
魔王が言った。
「あなたを倒すつもりだったんですけど、侵略とかしてますか?」
勇者が聞いた。
「いや、前の代からしてないみたいだ。」
魔王が答えた。
「なら、ここで住んでいいですか?」
勇者が言った。
「なんでそうなった?結婚でもする気か?」
魔王が困惑している。
「だってイケメンじゃないですか。魔王様」
勇者が答える。
「勇者よ。それでいいのか?。本当にいいんだな。可愛いし、良しとするか」
魔王が了承する。
「やったー」
勇者が喜んでいる。
「お主名前は?常に勇者と呼ぶのはどうかと思うてな」
魔王が提案する。
「私は、コムギ=ゴールデンです。イエロートパーズから来ました。アルベルトさんが負けた事を知った王が派遣したんです。」
「ライトー。勇者いるのになぜ言わなかったんだ」
魔王が笑顔で抗議する。
「いえいえ、告白かと思ってましたので、邪魔をしないように隠れてました」
ライトが答える。
「じゃあ戦うことになった場合はどうする気だったんだ?」
魔王が更に聞く。
「人間だって脳があります。話くらい聞いてくれるでしょう」
ライトの正論に負ける魔王。
「言い分はわかった。雰囲気を察してくれたのもさすがだ。でも、勇者来たら流石に知らせて。怖いから」
魔王が言った。威厳のある声とは反対の内容のことを言っている。こうして魔王と勇者は結婚することになったのだ。それから1年が経つ頃勇者と魔王の間には子供が生まれることになる。
そんなこんなしている間にスミレが帰って来ることになったという手紙が届いた。その手紙によると、スミレは一週間後に着くらしい。そのことを知った魔王城の者たちは急いで準備を始めた。