第1話 プロローグ
定期的に投稿できるかわかりませんが、3日に1回1話ぐらいを目安にしたいと考えています。拙い部分もあると思いますが読んでいただけると幸いです。だいたい1話1500字が目安だと思いますが、長さはかなり変わります。
500年前、突如として魔王がイエロートパーズ王国に攻め入った。特徴は紫の髪に紫の目をした美少女だったことだ。
もちろん魔王に叶うはずもなかった。それ故に紫色というのは魔王の色として、不吉であり忌避される色だった。
逆に、金や黄色は勇者の色とされ、特に位が高く縁起が良いとされている。
この大陸には3つの国があり、東からイエロートパーズ、魔界、レッドローズの順だ。
魔界とレッドローズ王国は同盟を結んでおり、イエロートパーズと同等の国力である。
なぜ、魔界とレッドローズが同盟を結んでいるかだが、魔界は文化的な交流がレッドローズとしか作れず、レッドローズは自国にある鉱石を守るために魔界と手を結んだのだ。
ちなみに500年前に攻め入ったのはイエロートパーズ王国だけにである。
レッドローズには攻め入っていなかったのでそれもあって同盟はすんなり結ぶことができた。その500年前の魔王を倒した勇者の家系が今のイエロー公爵家だ。
魔王討伐がもう昔の事になった今では、本当にそうなのかと疑問視されているが、ブラウン王家の公式記録では、勇者の家系である事が示されている。
それほど昔から王家は存在していたのだ。そんな魔王侵攻から498年後、イエロートパーズ王国の王家に1人の少年が生まれた。
この少年こそ、今世紀の勇者であるサトシ=ブラウンだ。この事を知った王はイエロー公爵家の家格を下げる事を考えた。というのも、もともと勇者の家系であるだけであり、昔の栄光にばかりこだわるのはどうなのかという建前があったからだ。
本音は勇者が王家に誕生したので、イエロー家が邪魔になりそうだったからだ。それを救ったのがヴァイオレット侯爵である。
侯爵としての力を使い、貴族のほとんどを味方につける事が出来た。それ故に議会でのイエロー家の家格を下げる議案は否決され、イエロー家の家格は保たれた。
その事をきっかけにヴァイオレット侯爵とイエロー公爵は親交を深めた。勇者誕生から2年、魔王侵攻からちょうど500年経ったある日、イエロー家にある女の子が誕生した。
のちの聖女であり、最強僧侶と名高いスミレ=ヴァイオレットである。彼女がイエローを名乗っていない理由、それはその容姿にあった。ではその生まれた日のやり取りをイエロー家公式文書「イエロー家家系の書」から引用する。
「イエロー公爵夫人、元気な女子の誕生です」
白い壁に金の装飾のある部屋で産婆が言った。
「そうか。我が子を見せておくれ」
イエロー公爵夫人はそう言って我が子を見た。すると、イエロー公爵夫人は叫んでしまった。
「まぁ、なんてことなの。紫の髪じゃない」
夫人の叫びを聞き公爵が中に入ってきた。
「あぁ。なんてことだ。紫髪ではないか。不吉だ」
イエロー公爵が嘆いている。
そう。ここイエロートパーズ王国では500年前に紫髪の魔王に攻められてから紫髪は不吉の象徴とされているのだ。
「これが嫡男でなくてよかった。ただ、この子は不吉の象徴だ。魔物の森に捨てるしかないかもしれない」
我が子を捨てるとは酷いがそう言ったと書かれている。
「たしかに我が子と言えども紫髪はね。あ、そうだ。知り合いにカッコいい人がいて、その人は紫髪も好きらしい」
公爵夫人も同調し、提案する。
「なら、その人のところへ行こう」
公爵も賛成した。こうして、夫人と公爵は知り合いの元へむかった。
「我が子の髪が紫なんです。知っての通りここでは紫は不吉の象徴。引き取ってもらえないだろうか」
公爵がそう言った。
「そうであったな。わしも後継者に困っておった。わしが育てよう」
知り合いであるヴァイオレット侯爵は引き取ることに決めた。
「ありがとうございます」
公爵は夫人共々頭を下げた。
さて、この夫人の知り合いは実は魔族である。
人間に変装し、貴族の文化などに触れている高位魔族なのだ。
ちなみにこの高位魔族は上位貴族だ。
そんな時、この高位魔族の父である魔王が勇者に倒された。そこで、この高位魔族は魔界に戻り、魔王として魔王城で子供を育てることにしたのだ。