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6話 奴隷商人


「あれ? 魯陰ロイン雷華ライカを見なかったか?」


「荷解きの方を手伝って頂いており、現在は屋敷の中ですが、お呼びしますか?」


「まぁ、そうだな。頼む」


 これから雷華も僕の屋敷に泊まりこむ事になっている。

 今後の事業の際、色々とアイツには協力してほしいからな。


 この時代、外見というのは、他人を評価する際に一番と言っていいほど重視される点だ。

 生憎、僕の顔は凡庸だった。いつも眠そうな目をしているとよく言われるし。


 それにこの年齢だ。

 大人相手ならまず舐められる。


 でも、雷華と一緒に居れば話は別だった。

 聞くところによれば、よっぽど良い人相をしてるらしい。

 雷華の親父さんとか、兄弟は別にそんな目立った顔立ちじゃないんだけどなぁ。


 それに人相を抜きにしても、こっちとしても頼れる存在なんだ。

 他人に対して物怖じするような性格ではないってのが有難い。

 地元の方では、悪ガキ連中の大将をやってたくらいだし、度胸だけは座ってるというか。


 とにもかくにも、何においても第一印象は大事だ。

 横に居てくれるだけでこっちの説得力が増すって、どんなチートかな?


 いつの時代も、イケメンは得だね。ちくせう。


「お、シキ! もう話は終わったのか? お前も手伝えよ、俺はもう疲れたぁ」


「これからまた出かける」


「うげぇぇ」


「お前も来るか?」


「え! 良いの!?」


「シシ兄上のところだ」


 キラキラと目を輝かせていた雷華は、あからさまに視線を逸らす。


「荷解き頑張ります」


「じゃあ、魯陰は付いて来てくれ。雷華、留守番をよろしく」


「かしこまりました」


「早く帰って来いよ!」





 ウチは四人の男兄弟の家系で、僕はその三番目にあたる。

 ちなみに、シカンが四番目の末だ。


 長男と次男、そして三男と四男の歳の差は結構離れてて、二人の兄の記憶は薄い。

 というのも二人の兄は、僕の物心がついたころから既に、任地でしっかりと役目を与えられていたからだ。


 長男の「シキン」は、今はもう「南海郡」にて太守を務め、交州の豪族をよくまとめていた。

 この兄について覚えていることは、普通に優しい兄だったということぐらいか。

 一回り以上も歳は離れている。聞けば、あの「シショウ」の後継者としての責任からか、色々と苦労しているらしい。


 ただ、次男の「シシ」については、まだシキン兄上より覚えていた。

 仲が良い、悪い、という事は無かったが、僕は一方的にこの兄が苦手だったのだ。


 金に意地汚く、士一族の立場を利用して好き放題するし、これがまた小賢しく、大人からの評判は良いのだ。

 苦労していた兄と、好きに遊ぶ親父、これらをよく見て身に付いた処世術なのだろう。

 外面は良いが、裏ではいろいろやっている。そういうタイプ。


 現に今、シシ兄上は「奴隷商人」の元締めとして結構な利益を上げているらしい。

 交州全体で見ても、大きな金を産んでいるとか。


 時代が時代だし、当たり前なんだろうが、僕はどうも「奴隷」は好きではない。

 これもまた、シシ兄上を苦手に思う原因の一つだろう。



 訪れた兄上の屋敷は、豪勢な大きさと煌びやかさを誇っていた。

 弱冠二十歳ながら、その権勢はシイツ叔父上を凌いでいる。


 まぁ、叔父上は質素倹約の人だ。兄上と比べるべきではないのかもしれん。


「よく来たな、シキ! 見ないうちに身長が伸びた。兄上とお前は身長が高くて羨ましい。俺とシカンは親父に似て小さいからな」


 でっぷりとした小柄の体格。

 煌びやかな衣服に身を包み、肉まんを思わせる様な肌ツヤだ。

 太っているのに不潔な感じが一切しないっていうのは、単純に感心させられる。


「お久しぶりです。これから、こちらで色々と経験を積んでくるようにと言われました。以後、よろしくお願いします」


「そうか、親父は相当お前を気に入ってるのだな。俺も兄上も、外に出されたのは十六の時であった。お前はまだ十二か、いやぁ、若いな」


「しかし、武芸の稽古では毎回シカンに泣かされておりました」


「はははっ! あれは頭の中まで筋肉だ、気にするな! さぁ、中に入るといい。ささやかながら宴席を用意した」



 中庭の庭園の中央。綺麗な池の側に、二人分の宴席が設けられている。

 確かに豪奢な宴席ではないが、こちらの好みを十分に理解した席だ。


 この気配りが兄上の長所だと思う。

 でなければ僅か四年で、士一族とはいえ、交州を代表するような富を築くことは出来ない。


 話も上手い。食事も美味しいものばかりだ。


「それで、お前はこれから自分の手のみで商売を行うと、そう聞いたのだが」


「はい」


「ふむ、俺は叔父上より貿易の権限を一部借り受け、郡の経済を担当したからこそ、ここまで伸びた。しかし、お前はそれも無いのか」


「稼ぐよりも金の流れを知りたい、というのが大きいので、むしろ権限は邪魔なのです。まずは小さな酒場から始めたいと考えてます」


「少し釘を刺すようだが、商売とは、戦だ。そのような甘い見通しで、半端に足を踏み入れられる場所ではない。士一族の者となれば、猶更」


「甘いでしょうか?」


「あぁ、甘い。お前は昔からそうだ。商売とはとにかく、弱者から血と金を搾り上げる事業だ。弱者にそれを気づかれぬように、死なない程度に、な。そこに慈悲も感傷もいらない。効率と詭道だけを見ていればいい」


「僕は、そうは思いません。その形は長期的視野で見れば、疲弊し、潰れ行くのみです」


 真正面から、目を合わせる。

 すると、シシはふっと微笑み、手に持っていた杯を静かに下ろす。



「良いだろう。では、金の世界を、お前に一度見せてやろう。付いて来い」





「商売は、馬鹿から優しく、効率よく、気づかれないうちに金を騙し取るのさ」


自分で書いといてなんですが、ほんとに世間ってこんな感じですよね。

マジで生きるって大変。騙されない為にも勉強って大事。


で、こうやって勉強しようとしている人を、カモにしようとしてくる人もいるから、もうあばばばば。



しかし大丈夫!

この作品は「商売」や「金の流れ」を、「三国志」や「孫子」に基づいて勉強できるからね!!

ブクマ・評価をポチポチっとしてくれるだけで、皆もこれで「お金」を知ることが出来まs(


情報商材ってこわいね。

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