痛くて痛くて、死にそうです。
はじめまして。初めての投稿となりますので、温かい目で見ていだけると嬉しいです。
ちょっとした流血表現がありますので、苦手な方は気をつけてください。
ネタバレ?になるかもしれませんが、生理のお話し中心です。個人的な意見を言っているので、不快な思いをされる方も、共感もできない方が多いかと思います。すみません。
※2018年12月15日 一部変更・加筆しました。
急に、腹部の方からドロリと血が流れ落ちてくるような感覚がした。その感覚が気持ち悪くて、思わずお腹を手で守るように包む。そうしてもお腹の方から流れる血が、どこかの器官を通って滴り落ちてくる触覚を肌で感じる。最後は内部から外部に、どろりと出てきたのを感じて思い息を吐着、ソファーにぽふりっと背を預ける。
「あーーーー、生理イヤだーーーーーーー」
そう、生理。だいたい時の女性が月一とかでやってくる魔の期間。人によっては血祭りなんて言ったりするくらい血が出る、ちなみに私も血祭りと友達との間で言っている。
この期間は本当に地獄である。私の場合は貧血気味なので、生理になると貧血にさらに拍車がかかり、頭が働かなくなる。そして眠くなりやすくなるし、疲れやすくなる。最悪の3コンボなのだ。
いや、疲れやすくなるから、眠くなるのかもしれないが。
医者に診て貰ったわけではないのであれなのだが、私の生理期間中の頭は頭の働きが悪くなる。前にテレビで貧血にそんな症状があると言っていたのを聞いた気がするから、それなんだと思う。違っていたらごめんなさい。もう二度と貧血のせいにしませんし、できません。
まぁそのせいか、年の割にボケている頭が、貧血になると老人並みにボケるんだよ。何をしたいか忘れる奴が3回も続いて、悲しくなってしまうくらいにボケる。
とにかく、私にとっての生理は最悪の期間だ。
「なんかね、血がどろっと!どろっと出てきたよぉぉぉーーー。気持ち悪いーーー」
「はいはい、落ち着け」
私が心から叫ぶと、ポンと私の頭に手を乗せてぐしゃぐしゃにかき回してくる不届きものがいた。その手は私のふた回りほど大きい手で、身長も15センチ以上大きい中肉中背の男だ。しかも、なかなか女装も似合う程度に整った顔を持っている人物なのだ。罰に大学の頃のように、女装させてやろうか?
「うーー、頭撫でてくれるのは嬉しいんだけど、髪がぐしゃぐしゃになるのは気に食わん」
恨みがましく隣に座るやつを見つめると、その男は爽やかな笑顔を浮かべる。
「俺、犬を撫でるのは好きなんだよ」
「なにそれ! 私は犬だと!? 犬だと言いたいのか!!」
「いやー、犬みたいでカワイイヨーって意味」
「それ絶対貶してるよね! 私は人間ではなく犬と同列だということだね!」
「や、お前を犬と同列にするなんてかわいそうだろ」
「犬に負けたーーーー!!」
悲しみにくれた私は頭をかかえるようにして、彼の膝元に倒れこんで頭をグリグリとしてやる。せめてもの復讐として。復讐したはずなのに、頭上からは吹き出したような笑い声が聞こえた気がしたが、それは聞こえなかったふりをする。
いつも生理になると、謎に人に甘えたくなるんだけどこの症状はなんだろうね? 言動も彼の前だからってのもあるんだろうけど、子供っぽくなる。これは決して「幼児帰り」じゃ、ないよね?
「でもさー、生理って本当に嫌だよね」
「そう言われても、俺は男だからわかりたくても分からないよ」
「んー、なんかさぁ時々ね? 骨盤のところらへんから、なんか急に壁がベロっと剥がれるみたいに何かが剥がれたかと思ったら、それが血でね。血がそこから下の子宮口からどろりと落ちていって、最終的にタラっと出てくる感じがいまだになれないんだよね。不意打ちでくるし」
「おー、想像してみたらすごい気持ち悪そう」
「うん、とっても気持ち悪いよ」
「俺だったら耐えられないよ」
そう言ってお尻の上の方のところを、優しく撫でてくれた。服越しに感じる感覚が妙にくすぐったくて、感じないはずの温かみを感じる。その温もりになぜだか無性に泣きそうになり、「セクハラ、だよ」と言ってまた奴のお腹に復讐をした。
彼は「これもセクハラに入るの?」と笑いながらも、ずっと撫で続けてくれた。
当然だけど、男である彼にはわからない感覚だ。子宮すらないのだから。生理だって、妊娠だって今のところ女だけの役目だ。女はそのために精神的に強く、痛みに強くあるらしい。
「けど、私だって耐えられないよ」
強くあると言っても、痛みに耐えられると言っても、痛みはなくなるわけではない。痛いのは嫌になる、我慢するしかないんだ。
我慢はできても、どうしても動きが鈍くなってしまったり頭が働きにくくなってしまう。私の場合はさっき言ったように忘れることが多くなるし、なんか目測を誤って机に手や足をぶつける確率が2倍以上になる。そんな自分が嫌で嫌で、仕方がない。
普段でもどんくさいというのに、生理中はもっと鈍臭くなって使い物にならなくなったような気がしてきて、仕事が辛くなってしまう。
「今日は、机の上にあった書類に手をぶつけて散らかしたし、飲み物も倒した。危うくパソコンがダメになるところだったんだよ? それに、上司に頼まれた仕事を言われたはずなのにすぐ忘れちゃった。
いつもは10歩歩いたら忘れるトリ頭が、三歩歩いて忘れるトリ頭になるんだよ。最近は鉄分とるの忙しくてサボっちゃったから今回は結構酷い感じで、頭が本当に働かない。鉄分サプリは飲んでるはずなのに、嫌になっちゃうよ」
こんなの、生理のせいにするのはダメだってわかっている。わかってはいるんだけど、生理で頭が重たいくて、下腹部のあの独特の重さがあって、気になって仕方がないんだもん。鉄分をとってたとしても、血がなくなっていく感覚は結構辛いものだ。日に日に頭が重くなってゆくんだ。本当に辛い。
「仕事なんだから甘ったれんな」なんていうことは言われなくてもわかっている。お金をもらっているから頑張らなくてはいけないんだとも。
だから、生理を仕事のできない理由にしてはいけないとわかってはいるんだ。けど、できないんだよ。
「あーーーー、死にたい」
ポツリと彼に膝枕してもらっていた頭を腹部に埋めるようにして、つぶやいていた。
そう、いっそのこと無になってみたい。瞑想の先にあるような、どこかにある四次元的なブラックホールかのような何もかも、あるようでないそんな空間に。
彼は私が面倒だからと言って一度も染めたこともパーマもかけたこともないせいで、比較的綺麗な黒髪を弄びながら言った。
「死にたいとか、他人の前で言う言葉じゃないよ」
なんて他人行儀な言葉なんだろうと思った。ここはもっと「そんなこと、嘘でも言わないで」とか「死にたいとか、言わないでくれよ」とか悲しそうに言うところだったろう。ドラマなんかでは。
なのに彼は、ただ淡々と小学生が誰かに「しね!」とか言って先生に「そんなこと言っちゃいけません」と言うみたいに注意した。それが彼らしくて、そして私たちの関係にあっているもので、笑えてきてしまう。
「うん、そうだね。次からは気をつける」
彼の悲しんだ表情が見れなかったのが悲しかったが、敢えて「他人」と言った彼の気遣いを感じれたので痛みが緩和された気がした。心が温まった。
なんとか元気を取り戻した私は、くるりと寝返りして彼と真正面から向き合うような態勢をとった。視界を遮るように乱れた髪を整えようと手櫛で髪を整えていたら、額にに手が当たり、自分の手の冷たさにびっくりした。
「あ、最近朝夜と冷えるようになってきて、末端冷え性である私の手足がピンチなんだよ。特に整理中は足先が冷えやすくてね、ほら」
ほとんどない腹筋を使って起き上がり、私の右足裏を彼の左足の項にピタリとくっつける。すると、「ひっ」と奇声をあげながら私との距離をあけられてしまった。想像通りの反応だが、実際されると心が傷つく。
なんだよ、私は魔女か何かか。
「やっばい、めっちゃ冷えてるじゃんお前。今からホットココアでも作るから、ちょっとまってて」
彼はくるりと背を向けて、キッチンの方へと歩いてさらに距離を取る。けれど、私の心は先ほどのように暖かくなっていて彼を愛おしく思った。
私もソファから立ち上がって、彼の背を追いかけた。
「ねー、豆乳ある? ホット豆乳ココアはココアで鉄分取れるし、豆乳は女性ホルモンを整える働きがあるし、ホットで体が温まるし、一石三鳥なんだよ!」
「はいはい、ちゃんと用意しておきましたよ」
「やった!! 愛してるー」
「はぁー…」
やっぱり死にたいなとか思ってしまうときもあるけれど、やっぱり生きていたいな。
君と一緒に。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
途中不快になった方もおられるかもしれませんが、私の生理中に思っていること、考えたことがあることなんかを書きました。なので特に「これを伝えたい!」ということはないのですが、世界にはこんな風に思っている奴がいるんだなとでも思ってもらえたらいいかなと思います。