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その愛はちょっと重たいかもしれない。(改稿版)  作者: ありま氷炎
第二章 その愛は重すぎるかもしれない
15/15

十(挿絵あり)

 角家の残党ー文勇たちは皇帝領に戻されることになった。

 黎光は皇帝からの書簡を私にも見せてくれ、彼らの処分について知ることになった。


「斬首は重すぎる気がします」

「皇帝がやらなきゃ、私がやるところだよ」


 黎光は書簡を綺麗に折り畳みながら答える。

 荀は少し怖かったけど、私が恨まれる理由はわかる。

 だからと思ったけど、黎光はものすごい怒っていて、このことについてはもう言わない方がいいと思った。

 青族への処罰は行わないことになった。

 私が泥を被ったことになるのだけれども、構わなかった。

 願わくば花芳が元気になってくれるといい。

 桂梨は自ら職を退いた。

 花芳をこれからも支えてほしいと思ってる。


「凛、おいで」


 この騒動が起きてから、私の自由時間が減ってしまった。会議でもなんでも私は連れて行かれた。彼の隣に席が設けられ、私はそこに座る。

 黎光は私とずっと一緒にいるつもりのようだった。

 少しでも離れると物凄い追いかけられる。皆んなに迷惑をかけるので素直に彼の側にいる事にした。

 最初のうちは周りの視線が痛かったのだけれども、その性質が徐々に変わっていった。

 それは黎光の私への態度があまりにも甘いせいだと思う。

 多分皆んな呆れていたはず。

 これじゃ、彼の評判を落とすんじゃないかと心配で、何度も言ったのだけれども、彼は常に私を連れていく。

 陽や翠が愛情表現が重すぎ、やめた方がいいと助言するのに彼はやめなかった。

 側でただぼんやりとしているのでは、彼の顔に泥を塗ると思って、私になりに会議の内容や、面談があれば面談の内容を理解しようと心がけた。

 そんな私のことがわかってか、黎光が私に意見を求めたりするので本当に困った。

 でも勉強した結果が出ていて、おかしなことは答えていなくて、黎光以外に他の人から意見を求められることも増えた。

 視察にも連れて行かれて、色々な人と会った。


 そうして過ごしてると一年はあっという間に過ぎた。

 王妃にふさわしくないという私の意見に、黎光は笑って答えた。


「君がふさわしくないって?この一年近く私と一緒に会議に参加して、君の意見が採用されたことが何度もあった。それでもふさわしくないと思うの?」


 子が産めないかもしれない。

 私の言葉に彼は微笑む。


「皇帝陛下から聞いている。彼は薬を処方していた。だから君には問題はない。皇帝陛下とは一年。私と君では十分時間があるね。これから毎晩楽しみだよ」


 彼は私を抱き寄せると囁いた。


「君に愛ってどんなものか教えてあげる」


 耳元に息がかかって、初心な気持ちなんてないはずのなのに、顔が真っ赤に染まる。

 まだ自分の気持ちはわからない。こうして求められるのが、必要とされるのが嬉しい。


 翠に相談すると、こんな重い愛を受け止められるのは私だけだと感心された。

 どう言う意味なんだろう?


 婚姻の儀の準備が進められる中、花芳が青族の族長と共に面談を求めてきた。

 黎光から断っていいと言われたけど、私は会いたかった。

 花芳ときちんと話をしたかった。


「それでは、私は外で待っておりますので」


 翠がガンと譲らず部屋にのこったけど、青族の族長で、花芳の父泰芳は退出した。

 静寂に包まれる部屋の中で、花芳が先に口を開いた。


「お会いいただきありがとうございます。あの時は本当に申し訳ありません」


 花芳が深々と頭を下げた。


「謝る必要はないの。あなたの気持ちはわかるから。でもこの一年で私は変わった。今は私は王妃にふさわしいと思える様になったの」

「凛様。いえ、王妃様。あの時、私どもを庇ってくださった時から、私はあなたが王妃にふさわしいと悟りました。そして目が覚めました。私もこの一年で、変わりました」


 花芳が明るい笑顔を浮かべる。

 角家の騒動の際、青家で見た彼女は美しかったけど、儚い印象が大きかった。

 けれども目の前の花芳は、血色がよく、少しふっくらとしていて健康的だった。


 花芳との話はそれで終わり、戻ってきた彼女の父からも一年前の騒動について再度感謝された。


 月日は経ち、婚姻の儀の日がやってきた。

 視察に同行したりして、国民と直に話す機会もあった。だから国民には私が時期王妃であることは伝わっている。

 正式なお披露目はまだされておらず、今日は初めてになる。


 身につける着物は複雑なものではない。

 けれども頭にかぶる飾りが大きくて、均衡を保つのが必死だった。

 どうにか婚姻の儀が終わって、夜がやってきた。


 黎光との()()()()()

 彼の言葉には嘘はなくて、愛というものがどういうものが教えてもらった。

 翌朝、体が鉛の様に重く感じて、目を覚ます。

 隣を見ると幸せそうに笑みを浮かべて熟睡している黎光がいて、十年前の彼との出会いを思い出す。

 綺麗な人、やっぱり精霊のように美しい。

 

 彼の愛は受け止めるには重すぎるのだけど、この国、紫国で私は彼の側で生きていこうと思った。


挿絵(By みてみん)


(おしまい)


 

 



 


 







 



駆け足の終わりになってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。


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