表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

第7回:美術の右利き左利き〈2〉

挿絵(By みてみん)


     3



 文字も、そのおおくは「右利き優先」で発展しました。表音文字の欧米(おうべい)言語しかり、表意文字の漢字しかり。


 文字そのもののカタチもそうですが、この文章のように左から右へとつづく「よこがき」の文章も「右利き優先」のかきやすさにゆらいしています(ちなみに、アラビア語は右から左へかきます)。


 たとえば、こんなかんたんな(クダラナイ)実験をしてみればわかります。


 30cmじょうぎをつかって上から下へたての線を13cmひいてみます。右利きの人は、メモリが「0」のところから「13」のところまで、気もちよく線をひくことができたはずです。


 左利きの人ではどうでしょうか? 右利きの人は筆記具を左手にもちかえて、右手でじょうぎをこていして、先にのべたように上から下へたての線を13cmひいてみてください。


「ふつうにひけたけど?」なんて人がいるかもしれません。それはあたりまえです。注目してほしいのは、メモリのむきなのです。


 私たち左利きは「30」から「17」と、メモリの数字を逆算(計算)しながらでないと、線をひくことができません。


 右利きは、左から右へよこ線をひく(うでをうごかす)ほうがラクです。右手でふでをもつことがぜったいと云われる「書道」をかんがえてもあきらかです。よこ線が右から左へはしる漢字はありません。アルファベットにもありません。


 また、右利きにとって、ななめの線は左かた下がりの方がかきやすいようです。お笑い芸人『髭男爵』の「ひぐちカッター」ではありませんが(わかりにくいたとえでスイマセン。わざとです)、右うでをななめに上げるとき、右から左上に上げるよりも、左から右上に上げるほうが、よりラク(しぜん)にかんじられることとおもいます。


挿絵(By みてみん)


「漢字のおおくは、カタカナ「ノ」のように、右上から左下へ下がるほうがおおいぞ。オマエの説がただしければ、かきじゅんは左下から右上に上がらねばオカシイのではないか?」なんて反論をとなえる人もいるでしょう。


 これは人間の「手のうごき」のもつ特性ではなく、「視覚」のもつ特性にゆらいします。人間は上から下へむかってモノを見る特性をもっているのです。おそらく、人間だけではなく、おおくの陸棲(りくせい)生物にきょうつうする特性でしょう。


 しばしば、おおくの野生動物が、体格の大きさで力を誇示(こじ)したり、求愛することをかんがみてもあきらかです。大きさをかくにんするためには、下から見ていくより、上から見たほうがわかりやすいし、てっとりばやいものです。


 そう云った「動物」としての本能が、人間にもねづよくのこっています。人とあったとき、かおよりもまず足首に目がいく人は独特なフェチのもちぬしでしょう。つねに足からあらわれるのは海原雄山でしょう(クダラナイじょうだんです。気にせずよみとばしてください)。


 もっとも、そんな例をあげるまでもなく、下から上にむかってかき上げる文字がないことや、世界中で文章のよこがき・たてがきにかかわらず、文章が下から上へつづく例が、ほとんどないことからもわかります。


 とどのつまり、漢字におおくあらわれるななめの線が、カタカナ「ノ」のように、右上から左下へ下がる「左かた下がり」なのは、右利き(手)の感性に、目の特性がのっかったけっかなのです。


 よしんば、漢字やアルファベットの考案者が「左利き」だったら、「千」や「K」の文字は反転していたはずです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ