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14回目の異世界転送 そのログ  作者: 代筆クリスタル
3/40

 オレは異世界を漂流している。

この世界で、もう14番目だ。

仕切り直しだ。

ログ、再開。


 右手にある、ちょうどスマホくらいの

大きさの黒塗りの長方形にむかって話す。

頼むから投稿できてくれよ。


じゃあ、これからこの星を攻略する。


 まずは…

とりあえず、南西45キロの街に行く前に。

南の岩石地帯へ行くことにする。


 もう14回も異世界転送されているので、

ちょっとずつルーチンに

なってしまっているけど、

 異世界へ転送されて

最初にやる行動は決まっている。

           

 第4世界で手に入れた

「探索」(サーチ )の能力を使い、

世界を理解する。

    

 そして「探索」(サーチ )で適当に

その辺の武闘派を検索する。


 盗賊とか山賊とか。

その団体が根こそぎ消滅しても

問題ないような集団を見つける。

     

 さらに、

「予知」(アンカー )を打ち込んでおく。

まあ、そのうち詳しく説明すると思うから、

今はスルーで。

    

 すでに「予知」(アンカー )

設置済み。これで大丈夫。


 南に60キロほど移動したところで、

うまくカモフラージュされた

岩と岩の間にいるゴロツキを確認する。


見た感じ人間型。いかにもガラが悪い。


 こういう手合いはホントに苦手だ。

俗にいうヤンキーが超苦手。


 学生時代は端っこで生きてきた。

クラス内ヒエラルキーも下だった。

ヤンキーたちがギャーギャーと

騒ぎ、その大声で

オレの体はびくりと体が反応する。


 その滑稽な姿を見たヤンキーたちが

げらげらと笑う。

特に何もされなかったが、

完全に馬鹿にされていた。

それだけは解る。


怖い。


 ぶちぶち言ってもしかたない。

ひとつ深呼吸して、

堂々と前進する。


この星の人間の戦力を見るためだ。

 

 「探索」(サーチ )

すでに言語や文化レベルは

だいたい理解したので、

あとはどのくらいこいつらが強いのか…

と、ゴロツキがオレを認識したようだ。


「お?なんだ、おい。止まれ!」


 思わず止まる。

悪い意味でドキドキが止まらない。


ホントにオレはビビり。


 世界を何度も救ったのに、

まだこんなヤツにビビってるのか。



「ああ、なんだァ?おめェ?」


 青くなるオレの表情を察したのか、

途端に調子に乗るゴロツキ。

歪んだ笑顔でオレに近づいてくる。


 ああ、もう駄目だ。

いつもこうだ。

力なんか持ったって、

オレはやっぱり駄目だ。


ヤンキーが、怖い。


 「ひひ、なんだおめェ?

娼婦か?親方が呼んだのか?

こっちにこい。

オレが試してやるよ」


 腕を引っ張られ、

抵抗するのも忘れ

テンパりまくりのオレは

恐怖と混乱で埋め尽くされていた。

頭が真っ白だ。


 強い力で抱き寄せられ、

何もできないまま

体を軽くまさぐられた。


 汚い顔が首元に近づく。

一気にオレの匂いを嗅いだゴロツキの

……―最後の一言はこうだった。


「んはー。たまんねえ女だ」


 瞬間、ゴロツキの頭部は爆散した。

ゆらりと胴体が崩れ落ちる。


 自分の目が赤くなるのが解る。

後ろで揺れる自分の髪も、

銀色へと変貌しているだろう。


 爆発の音を聞きつけた

ゴロツキの仲間が

遠くからあぜんとしていた。



 えと。頼む。言い訳の時間をくれ。

盗賊の砦を攻略しながらだけど、説明させてくれ。

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