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14回目の異世界転送 そのログ  作者: 代筆クリスタル
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 リーフ特製きゅんきゅん

赤フレームメガネに

城下町の風景が反射する。


 西洋瓦で出来た家々の屋根から

エントツが突き出ており、

所々で白い煙を吐き出してる。


 ふわりと

食欲をそそる香りがした。

何の匂いだろう。

お腹すいてきた……


 街の外から外周に沿って

そのまま街の外に川が流れている。

人工的に施工した川かな。

大きな建物に一部が繋がっている。

洗濯屋だろうか。

テレビでそういった外国の建物を

見た事がある。


 首をひねると街の中心には

城が見えた。小高い丘を

そのまま城と町の地形に

生かした姿は、さながら

城塞都市だ。

何だか文明の匂いが強い。


 エンティオとは偉い違いだな。

2、300キロ離れただけで

こんなに差が……

…………いや待て。


 実際の地球、日本でも

2、300キロも

離れれば相当なもんだよね。

意外とすぐに過疎ってる気がする。



「アルマさん、大丈夫?」



 小柄の男性が、レグの歩幅にぴったり

ついてくる。


「え、あ、ごめん。大丈夫」


「具合悪いなら言ってね」


「ほ、ホントに大丈夫。

街を見てただけだから……」


 オレの返答が意外だったのか

あはははと笑う、

女性にしか見えない男性。


「強いね、アルマさん」


「ふむ……」

老人が向こうで唸った。



「僕はシェース。……そうだね。

重い物を持ったりするのが

担当だよ」



 シェースは

革のような軽装備に大きな布袋を

背負っていた。


 インナーはvネックのような

黒いシャツで、ジーパンのような

ズボンを履いている。


 青みがかった髪は首元まであり、

左目の上くらいで前髪を分けたその容姿は、

声が男でなければ解らないほど

可憐な顔をしている。


 ちらりと長い耳が見えた。

エルフ、かな?

道理で綺麗なわけだ。

目元パッチリで少し厚い唇が

さらに女子度を上げている。

……って、重いものを

持つ担当??


 体半分くらいあるツボを

ニコニコ顔でぶん投げている

姿を思い出す。


 これなら相当

重い物も持てそう。

パワー系キャラなんだ……



 前方を走る老人が

すすす、と後ろに下がってくる。


「わしはゲネ。トラップ解除が担当じゃ」


 年相応に刻まれた顔のシワは

歴戦の兵を連想させたが、


 大きくて長い赤い鼻、

羽織のようなチョッキ、

袴のようなだぼだぼのズボンが

まるで天狗を思わせる。


 頭のてっぺんで

結んだ髪の毛は真っ白だ。


この人も、亜人かな?


「俺様ってドンヴェノス。

ドン坊って呼ばれてるー。

カギ開け専門。アルマの匂い

すげーいい匂いだったぜ

ヘヒヒ」


 お見事な演技力の子供が

ニヤニヤしながら近づいてきた。


ていうか今、お前、何て言った??


 ごつい革袋を

ボディバックのように

斜めに背負い、

膝までの黒い半ズボンに

グレーの長袖パーカーの

ようなものを着ているその姿は

年相応にしか見えないが……


実はエロガキと見た。


「アタシはポルフェちゃん。

主な担当は……

逃走経路確保かしらん。」


 短髪でキツイ二重瞼の長身が

ウインクしながら左側に来た。

ちなみにゴリゴリの男性だ。


 その恰好はピンク色のシャツを

第3ボタンまで解放し、

生え放題の胸毛を惜しげもなく

見せている。

 ぱっつんぱつんのズボンがまた

スタイルのいい下半身を

アピールしている。


 10頭身から12頭身ある

その姿は「整っている」から

少し離れ過ぎていた。


「ゴーグル。監視役」


バーの上で聞いた声だ。

どこからか聞こえる。


 いやごめん。「探索」(サーチ)

無意識に使ってた。

反対側の屋根にいたのね。

 全身をマントで包み、

深々とフードで顔を隠している。

シェースよりさらに小さい。

エロガキ、ドン坊と同じか、

もっと小さいくらいだ。


照れ屋?

親近感沸くなあ。



「パージだ。戦闘員としてここにいる」


 ランタンを持っていた長髪の男性だ。

髪の奥を覗くと、垂れ目で

顔がコケているのが解る。

顔色も悪い……ていうか青色だ。

顔に限らず皮膚が青い。


青いシャツに、青いズボン。


 この人も亜人?ていうか、

とても戦闘員には見えない。

戦えるのだろうかと

疑問を覚えるほどに細身だ。


 彼に比べると、ディーガンは結構

マッチョだったんだなと思う。

別に体を見たわけじゃないけど。



「俺ぁグレテリオ。

パージと同じく戦闘専門ってとこだ」


 お酒を飲んでた人だ。

額に二つの角が確認できる。


 オールバックで、髪を結っている

無造作ヘアー。

タンクトップに黒いシャツ、

黒いズボンを身に着けている。

だぼだぼの恰好でも解るほど

筋肉が発達している。

 背中には人と同じくらいの

棒のような物を装備していた。

酒瓶片手に走る姿は、


酒呑童子。


そんなイメージがぴったりだ。



……なんかわざわざ自己紹介を

してくれた。屋根と屋根を跳んでる時に。


 スタイリッシュすぎない?

この集団の独特な雰囲気に

酔っていると、



「お頭よお」


「あんだよ」



ゲネがレグに耳打ちする。



「なんか、あれじゃのお」


「あれじゃわかんねえよ。

ボケてんのか?」


「うん。まあ、つまりのお」


すこし間が空く。

オレをちらりと見た。


「とうとう記念すべき紅一点を

加入する時じゃないんかのお?」


 そういい、オレをさらに見た。

ちょっと待て。


「肝も座っとるし」


 ちょ、ホントに待って!

無理!盗賊団!?オレが!?

憧れたけどさ!

待って、待って!


テンパるオレをよそに、


「ちょっとゲネ。アタシをお忘れ?」


 大分離れていたというのに、

その言葉にパルフェちゃんが

反応する。

ぷりぷりお冠だ。


「アルマさんはゲストだから」

シェースは場をたしなめる。

苦笑いが申し訳ない。


「俺様もだめー。でも、

どうしてもってんなら

毎晩、俺様と一緒に

寝るのが条件かなー?

それなら入れてやるよー」


 後姿でもニヒヒと笑っているのが

解る。ドン坊。


 やはりエロガキ。

いや、こいつ、

外見が幼く見えるだけで

実はただのエロオヤジの可能性もある。


「くだらん」

パージは吐き捨てた。


 「探索」(サーチ)

無意識に見てしまったが、

パージは言葉とは裏腹に

オレに好印象だった。

 

 視線や言葉の抑揚、

体温、心拍数、果ては脳内の

電気信号などでそういうのが

解ってしまう。


 グレテリオは会話に参加もせずに

あくびをしていた。

ついでにグレテリオも

「探索」(サーチ)しちゃったけど、

この人は本当にオレに何の

興味もない。お酒と戦闘にしか

興味がないっぽい。


それはそれで

傷つくんですが……


 種族もなにもかも

まとまりがないこの集団

……ホントに

大丈夫なのかな?



「何度も言ってんだろ!

こいつはこのヤマが終わったら

解放する!」


 西洋瓦を蹴るレグは真っすぐ

正面だけを見つめていた。


 ワイルドイケメンの横顔を

見ながら色々へこむ。

男って強引じゃないと

モテないのかなあ。

強引すぎてもダメだとは

思うけど。


 嫌われるかもとか思って

何もやらないよりは

よっぽどいいんだろうなあ。


 レグの横顔を見ながら

そんな事ばっかり考える。




ああ、イケメン。

ホントにイケメン。

ただ、イケメン。



 アホみたいな句を詠んでいると

皆の緊張感が伝わってきた。


「頭」


「……おう」




「おめえら、気合入れろよ!!!」




洋風の大きな屋敷が見えてきた。



●●●●●●●●●●


時間を「探索」(サーチ)

現在、午後1時。


リミットまであと約4時間。


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