祝福の日
頭の中の地図に無数といっていいほどの光点が浮かび上がる。メイオさんと夕熾さんも同じ映像を見ているはずだ。以前の私であったなら、これだけの情報量を与えられたら処理仕切れずに倒れて三日ほどは目を覚まさなかったかもしれない。
そうならなかったのはメイオさんと夕熾さんの手助けがあったことはもちろんだが、星の複製などという暴挙にいちど晒されてしまったことで、たいしたことがないと思えるようになったからかもしれない。
それはこの星の魔物の数、正確には核を持った生物である。
全く同じと言ってもいい双子の星が生まれたあの日、誰もその存在を知ることはなかった。
当たり前のことだ。あの太陽の向こうにもう一つ同じような星があるのだ、などと世迷事としか思えないだろう。
しかし、この星を覆い尽くすほどの魔力が使われたのだ。魔力の存在を感知できるものは真夜中にもかかわらず目を覚まし、あるものは表情を青くし、ある者は恐慌し、あるものは発狂したのだそうだ。あれから新しくできた星の様子を経過観察していた私たちはその情報を知って苦い顔をしていた。
魔王の陰謀がうごめき出したという話題が至るところで為されたからだ。
魔力を感知できる魔術師達が一斉に起こした行動の余波だった。
人がそう言いはじめただけで実際は違うが、魔王が、人界に手を出すわけではないが、計略を為しているのは半ば間違っていないだけに苦笑いせずにはいられなかったのだ。
10日ほどの観察ではとても検証には不十分であったが、今日次のステップへと移行した。
先日同様、シェアの魔方陣に座り、核を持つ存在を探索し、3人で頷きあうと無数にあった光が次々に消えていったのでした。
「向こうに全員の転移を確認」
「同じく確認した。やったな」
どうやら二人は私以上にみっちりと今回の計画を練っていたようです。
二人は手をたたき合って喜びを分かち合っていました。
ーーーそして私の方へと視線を向け、手を差し向けてきたのです。
「わ、私もいいのでしょうか?お二人ほど何もできていませんし」
思わずそう言ってしまいました。
「馬っ鹿。それぞれが持つ力量に応じた仕事を
して結果を出したんだ。素直に喜んどけばいいんだよ、オルフィメア(・・・・・・)」
「え?」
照れ臭そうにそっぽを向いたメイオさんに私は驚きを隠せませんでした。
ーーーこれまで名前で呼んでくれたことはなかったから。
王女ではなく私個人を認めてくれたのだ。
何故かとても嬉しくて少し視界がぼやけてしまいました。
それを見たメイオさんが珍しく慌てていて、
「まぁ、そういうことだな」
そう言って夕熾さんは両手を挙げて左手を私の右手と、左手でメイオさんの右手と、そして私の左手はメイオさんの右手とハイタッチをしたのです。
この日、人々は魔物の脅威から怯える必要性が無くなったのだが、それを知るものはまだ私たちしかいない。




