開発の加護
「なぁ、魔王さん。魔王さんも勇者として喚ばれたからには"女神様の加護"をもらってるんだろ?魔法の改造か何かだと思うんだがどうなんだ?」
相変わらず会議が続いています。
ちゃぶ台の上には"くっきぃ"とお茶があってまったりな雰囲気が漂っていますが、ことがことだけに計画については真剣に相談していますよ。あ、今日のくっきぃは果実を煮詰めたものが塗られているのか甘酸っぱくて美味しい……本当ですよ?
「……“開発の加護“だ。」
メイオさんがボソッと言いました。
本来加護持ちはそのことを漏らしません。
良くて利益を狙うものに寄り集まられ、悪くて犯罪者に狙われてとろくなことがないからです。
「だったらよ、お姫さんの“探索の加護“を改良できないかな?」
私とメイオさんは呆気にとられてしまいました。
“女神様の加護“は文字通り女神様から頂いたものとされています。それに手を加えようなどとは考えもしませんせでした。
「シェアしてみて分かったんだけどさ、お姫さんの“加護“の使い心地ひでぇんだよな。無駄が多すぎるわりに必要な部分が無かったり。」
「夕熾さん、それ以上はダメですー」
私は慌てて夕熾さんの口に手を当てました。
それ以上言わせたら罰が降るんじゃないかと気が気でなかったからです。
「私の元いた世界は魔法で回っていた世界だった。だからついぞ開発と言われて魔法が対象だと思い込んでいたが確かに限定されていないな」
ってのっかっちゃうんですか!?メイオさん!!
「まぁお前さえよければだけどな」
私の方へと向き直りそう言うメイオさん。
流石に即答はできませんでしたが、
「お願いします、メイオさん」
私は委ねました。
「……分かった。少しシェアさせてもらうぞ」
正直、不安はありました。
ですが偉業をなそうとしている夕熾様とメイオさん。
私にできることは多くありません。
ですが足手まといにはなりたくないのです。
「終わったぞ」
早っ。少し悩んでいるうちに終わっちゃってました。
夕熾様もシェアして協力されたみたいです。
「試しに使ってみてくれ」
そう言われて使ってみました。
てきとうに私の知っている商人さんです。
いつものように地図が広がります。
ただ、いつもと見え方が違って、地図の中心にちっさい私が立っていて、王都から南に行った港町にちっさい商人さんが立っていて右手を挙げた状態で何か話しているようです。
「お姫さん、細かく見たいと思いながら集中してみてくれ」
シェアの効果で頭の中に声が響きました。
言われた通りにしてみると、地図が狭くなっていき、町の中の詳細を写し出しました。
どうやら料理屋さんでおすすめを一つ頼んでいたようですね。
「お姫さんの人形を持って対象の側に置くようにイメージしてみてくれるか?」
再びそう指示され、言われたようにすると、目の前にいつもよりラフな格好で美味しそうに焼き魚を食べている商人さんが。
しかし声をかけても触ろうとしてもできませんでした。
「あくまで見られるだけなんだ」
ちょっとがっかりですが、それでもこれはすごいです。
前みたいに気持ち悪くなったりしませんね。
その後もいろいろと追加された機能の説明をされて
覚えるのに必死でしたがちょっとわくわくでした。
グー○ル先生を参考にしたのは言うまでも
ないですね。