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勇者リボルト  作者: 夢辺 流離
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知らぬが仏、でもほっとけないことってありますよね?



        「魔王を召還しよう」


           「は?」



 夕熾様が唐突に変なことを言うので、思わず品のない物言いをしてしまいました。夕熾様といるとこういうことが多いと思います。


「何かおかしいこと言った?」

 

 心底不思議そうにそう言っているので、たぶん本気なのだと思います。


「各国に伝わる伝説の剣とかを手に入れたり、敵を倒して訓練したりとかするんじゃないんですか?」


「えー、面倒だって。調べたところによるとさ、先々代のの勇者が最も早くて7ヶ月の月日で魔王を打倒したんだってさ。分かる?7ヶ月もかかるんだぜ?しかもほら、俺は魔王に話を聞きたいのであって別に倒したいわけじゃないし。姫さんも危害を受けないようにしたいって言ってただろ?」


 確かに言いましたし、本心からそう思ってますけど!それとこれとは話が別だと思います!!


「でも向こうからすれば襲ってきてもおかしくないのでは?」


「んー、多分だけど大丈夫だと思うんだよな。」

 

 夕熾様は何か知っているのでしょうか?できれば教えてほしいのですけれど。


「まぁ、話を聞こうってんだからこっちから出向くのが礼儀なんだろうけど。」


 どこかズレてますよ!

ってそういう人でしたね。


「ていうか召還するってどうやってするんですか?召還事態がさまざまな儀式的な道具を集めて、魔力を持つ者を何十人と集めてようやくできるとかそういう次元のモノですよ」


 口に出して言わないが、実際夕熾様の召還に際してそれだけの大規模な準備を必要としたのだ。それでさえも、条件に見合う人材であり、直接”誰か”を指定して召還できたわけじゃない。


「ああ、俺召還魔法に適性あるから」


「ほへっ!?」


 召還魔法、と言えば、歴代勇者のうち一人が加護として得たそれ単体が固有の技能で、召還”魔法”とは言うものの、他の魔法とは体系が異なるのだ。

確か倒した魔物を魔力で構成・再現することができるようになるというのが実態で、強力な魔物を召喚できるようになるには実はひどくむずかしい力だったとか。


 他の属性の魔法にも適性があって、召還魔法にも適性があるなどと言われれば過去の勇者の中でもトップクラスの能力ではないでしゅか!

噛みまちたっ!



「まぁ一応魔王が攻撃してきた場合に備えて結界を張ったりと、そうだな準備もあるし三日後ってところか」


 え~、どうやら本気でやるようです。


「お姫さん、あんたが言ってた俺のスピーチこの紙に複写しておいてくれないか?」

  

 そう言って、なんか城でも使えないような高級な紙を渡されました。

表面が滑らかでさわり心地もよいです!


「そんなもの何に使うんですか?」

 一字一句書きとっただけの内容です。

私の日記というわけでもないですし、丁寧に書かなくては、と緊張こそすれ恥ずかしいこともないです。


「魔王との対峙において切り札になるかもしれない」


「はぁっ?」

 

 もうヤダこの人。私の品位をかえしてくだしあ!噛みました。



 私は自分の部屋に備え付けられていた飾り彫りとかはないけれどとても高級な木材で作られたと思われるシンプルな机の上で頼まれた書き物をしています。

 

 聞いてみても一体何に使うのか教えてくれませんでしたが、切り札というのならやはり手を抜くわけにはいかないでしょう。


 コンコンっとノックの音が響きました。

相手は・・・悩む必要性はありませんね。


「はい、どうぞ」


 慌てることもなくそう言います。


「お邪魔します、っとお姫さん、そんなに根をつめないでいいぜ。っていうか字、綺麗だな。やっぱ王族とかって署名する機会も多いだろうし字の練習は厳しいのか?」


 やはり、どこかズレていますね。


「練習はさせられましたが、練習が厳しかったのかどうかはちょっと他を知らないのでわかりません。ところで夕熾様、この机なのですけど、お城で使っていたモノよりよほど高級な木材で出来ておりませんか?」

 

 どうにも気になって仕方がない。

お城で使われているモノは基本最高級品なものが殆どだ。

お父様の執務室の机もよいものであったが、これはそれよりもよい素材で出来ているように思える。


「いや、大したことないんじゃないかな?ここの土地にお邪魔しようとした時に一匹?一本?木の魔物が居てな。悪いけどちょっと倒させてもらったんだ。そいつの素材をもったいないから使わせてもらった」


「それはどのような魔物だったのですか?」

 

 私の本能が、そう口走ったことを非常に後悔させました。



       ここで聞くべき存在ではない、と。


「確かな、丸々黒色で、表面には雷のように薄く紫色の模様が入っていて、金属のように硬い根っこや枝を自在に操ってくる奴だったぞ」



 ああ、かつて「魔裏四天まりしてん」と呼ばれた、魔王の配下の存在でそんなのがいたような気がします。そんなのが国のすぐ側にいたことにも驚きますがそっかーそれがこの机かー。


 ああっ、思わずせき込んで字がハネてしまってます・・・。

6割ほど書き上げていたのに・・・グスン。




 気にしなくていいと言う夕熾様にお願いしてもう一枚紙をもらって書取りを始めたのでした。



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