これからのこと
ちょっと短かいです。
「いや、まぁ勝手に呼び出されたってか、率直に言って拉致されたようなものだし?多少便宜を図ってもらってもいいかなと」
お城の小麦粉をこっそりと持ち出した件について聞いた私への答えがそれだった。
「そうではなくてですね、夕熾様は王家では犯罪者として手配されてるんですよ!?そんな危険なことをわざわざするんですか」
なんか私がおかしいのかと思えてくるじゃないですか。
え、私の感性のほうが普通ですよね?
「まぁ、手加減しなければ捕まる気はしないし、まぁ正直王家には苦々しく思ってるところもあるから八つ当たりっていうかストレス解消かな」
はぁ。私も言わば実行犯の一人ですので、そういわれてしまえば返す言葉はありません。
「ところでお姫さん、少し認識のすり合わせってのをしようじゃないか」
突然そんなことを言われて、?となる私。
「すり合わせ、でうか?」
「そう。お姫さんはさ、俺に何を望むんだい?」
「え?いえ、今は夕熾様のご帰還のお手伝いをするのが私の役目かとったい」
思わず閉じてしまった瞳を開くとそこにはデコピンの後が。
うっすらと涙で滲んでいるのを感じます…ぐすん。
「まぁ、そういう話だけどさ。お姫さんはどうしてほしいんだ?方向性が一致している部分は叶えていければいいじゃないか?」
なるほど、そういうこともあるかも?うまく丸め込まれているような気がしないでもないですが。
「そうですね、領民が魔物に襲われて怪我をしたりしなくなればいいな、とはおもいますが」
「魔王を倒してくれ、とは言わないのか?」
「そうですね、魔王がいようがいまいが領民に悪影響がないならそれでいいです。」
素直にそう言うと、夕熾様は少し笑ったような気がします。
「調べたところによると、どうも魔物っていうのは自然発生するものじゃないらしい。」
「え?」
それは初めて聞きました。それでは魔物はどこから来たのでしょうか。
「初めは人間達に迫害された魔族が、いよいよってところまで追い詰められた際の窮余の策だったらしい。動物に核を埋め込むことで、魔素を溜め込むようになり、変質した存在、それが魔物だ生態系としては狂うがその本質は動物と変わらないらしい」
「ほへ?」
いきなりいろんなことを詰め込まれて間抜けな返事をしてしまいました。恥かしいです。
「例えばねずみとねこは被捕食者と捕食者の関係だが、魔物化したねずみは下手をすればライオンといい勝負をするほどになる。だが、魔物化したねずみとねこではやはり被捕食者と捕食者の関係でもちろん魔物かしたライオンは圧倒的にカーストが上ななるわけだ」
「なるほど、つまり魔物化する前と後では別の生態系になるものの、動物であることに変わりはないと?」
「まぁ、人間にとっての危険度って意味では差はデカイけどな」
そうですよね。
「夕熾様はどこでそのような知識を得られたのですか?」
「まぁ、それについて答えるのは吝かじゃないんだが。どうせならその道の第一人者に聞きたいと思わないか?」
「へ?」