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出会いと混乱修正


ハローハローHell…?とにかく誰かにこんにちわ。

これでも現在なかなかに混乱してます。誰も居ないのに心の中で呼びかけるくらいには。

もし、だれかが私の心中を察してくれるというのなら、是非とも教えて欲しい。


「…ここ、どこ」


明らかに先程までいたはずの場所とは違う。

目の前には結構大きな建物が一つ。周囲には他に目に付くものもない。


「転生デパート…天国支店?」


ハイセンスなネーミングだ。地獄支店もあるんですか?

ていうか天国なんて地名、近所にあったっけ?

いや、ない。近所の地名を一々把握もしてないけれど、ぼんやりしたままたどり着くような範囲にはなかったはずだ。


「ようこそ、転生デパートへ!」

「ウワあっ!?え?え?」

「気持ちいいくらいに驚いていただけたようで何よりです」


突然過ぎる声。驚いて当たり前だ。

振り返るとニコニコ笑顔が眩しくてなんだかイラっとくるお姉さんが。

え?確信犯ですか?性格悪くないですかねお姉さん。


「失礼ですね。混乱されているお客様がいつまでも気付いてくれなかったからです」

「あー…それはすみませんでした。…って、可笑しくないですか?」

「なにがでしょうか」


なにがじゃないよ。色々と可笑しいよ。

ていうか分かってやってんじゃないよね…そこまで性格悪くないことを祈りたい…


「ですから悪い性格なんてしていませんよ。転生デパートに勤めて早云十年。そもそも悪人じゃ雇ってもらえませんし?」

「いや、雇用条件とか勤務経験とかどうでもいいですから。ていうかなんで口に出してないこと分かってるんですか?そもそもいつからいたんですか!?」

「まあお客様の疑問はさておき」

「おかないでくださいよベテランなんでしょ!?客は神なんですよね接客業!」

「とは言われましても…ここには、本当に神様がいらっしゃいますから」


ダメだ話が続かない。

言葉のキャッチボールができてない。私がバッターでお姉さんがピッチャーだ。

現在フルカウント?だっけ?…とにかく負けっぱなしの追い込まれ状態?

…なに言ってるんだろ。あ、これが現実逃避って奴ですか


「お客様も記憶が混乱されているようなので―――」

「いや混乱してるのは貴女にたいして…です…よ?」


え?なんでいきなり巨大ハンマー?

そんなにお気に触ることしましたか?

つかどっから出したんだよそこから説明しろ!


「説明は割愛させていただきますね!」

「絶対わざとでしょ!って、えマジで!?」


目の前に迫るハンマー。普通に重そうだ。

この場合圧死なのかな撲死なのかな…なんて現実逃避も一瞬で吹っ飛んだ。

見た目を裏切らない素晴らしい威力ですよお姉さん?

衝撃に逆らわないまま地面と仲良く密着しましたやっぱりね!


何故か二撃目を準備しているのか再びハンマーを振り上げたお姉さんを視認。

別段優れてもいない運動能力を全力で使って飛び起きる。で、距離を取る。

そんな不本意な顔しないでよ。明らかに私が正しい行動だから!


「ちょ、何度も殺されるほど悪いことした記憶ないんですけど!?」

「…まだ完全には直ってないようですね。もう一度いかがです?」

「できれば一回もくらいたくなかった!……ん?」


私、今なんて言った?


「できれば一度も食らいたくなかった、ですか?」

「…なんで自分の言葉を他人に再現されてるかは置いといて、その前!」

「記憶ないんですけど」

「ワザとですよねその前!」

「悪いこと――」

「もういいです思い出しました!」


絶対ワザとだ。なんでそんなに細かく分けるかな!

……いや、案外素?天然?天然なの?

…うっわ…だとしたら一番厄介なタイプだ…!

でも故意にやってたとしても腹黒認定だろうけど


「…私、死んだと思ったんですけど」

「はい。その通りです」

「じゃあ、ここどこですか?」

「言ったじゃないですか。ようこそ、転生デパートへ」


そう、死んだ。私は死んだはずだ。

死因は確か…そう、通り魔。普通な人生送っといて最後だけ血生臭いなんて。

正直いってそんなには覚えてない。

黒ずくめの男とぶつかって、腹部が熱いと感じて……以上だ。

即死ということか。腹部で即死ってできるのか知らないけど。

それにしても自分がここまで冷静に自分の死を受け入れられるとは思わなかった。

普通は取り乱したりするものじゃない?私は生まれてこの方普通だと言われて、普通だと思い込んで生きてきたつもりなのだが。

死んだ後に新発見。まったく、なんてナンセンスなのやら。


「お客様?」


思考を中断。声に顔を上げる。

やっぱり笑顔のお姉さんと改めて目に入った建物とその看板。


『転生デパート天国支店』


考えるのは後でもできる。

どうせ既に死んでいるらしいし、後悔することもないだろう。

どこか投げやりに考えて、私は店内へ足を踏み入れた。


まあ、後悔しないなんてありえなかったんだけどね?


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