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小田急便の配達

作者: WAIai
掲載日:2026/08/06

「ーよいしょ」

小田は荷物を車に積み込むとドアを閉める。

彼の職業は宅急便であり、これから客に荷物を届けるところだった。

「よし、行くか」

エンジンをかけ、ハンドルを持つ。、8月に入り、さすがに暑くなってきたので、エアコンをつける。

涼しい空気の流れに、小田は満足する、太陽がいくら暑さを押しつけようとしても、無視するのだった。

「まずはあの家か」

配達先のルートは頭に入っており、家へ向かう。

2階建ての家であり、大きく感じられる。

小田はエンジンを止めると、荷物を取り出す。

名前で探すと、すぐに見つかり、大きな包み紙だった。

ーお中元かな?

小田はそう想像すると、少し重たい荷物を運ぶ。

チャイム鳴らすと、「はーい」と声がする。

「どなたでしょうか?」

ドアホン越しの会話に、小田は丁寧に答える。

「小田急便です。お荷物を届けに来ました」

「荷物!! ハンコを用意しなくちゃ」

バタバタと中から聞こえてきて、小田は大丈夫かと待つ。

すぐにドアが開かれ、20代くらいの女性が出てくる。

ー俺と年が変わらない気がする。

そう思いつつ、荷物を差し出す。

「ここの住所と名前で合ってますか?」

「…はい、大丈夫です」

女性は素早く目を走らせ、確認すると、ハンコを取り出す。

「ここにお願いします」

指示すると、女性は抵抗なく、ハンコを押してくれる。

「重たいですので、気をつけて」

1言告げて渡すと、女性は表情を崩す。

「確かに重たいわね…。中に何が入っているのかしら?」

独り言を告げると、女性は頭を下げてくる。

「ありがとうございました、お疲れ様です」

「はい!! では失礼いたします」

小田はドアを閉めると、もわっとした空気に襲われる。息をさせないようにするつもりか、「太陽の奴」と独りごちる。

小田は颯爽と車に乗り込むと、涼しい風を感じ、生き返る。

「次の家は…」と確認する。

「…ああ、あそこの家か」

あまり乗り気ではなかった。ああだ、こうだ、とうるさい家で、早く済ませてしまおうと決める。

「なるべく怒らせないようにしよう」

車を走らせると、アクセルを少し強めに踏む。

早く済ませたかったので、急いでいた。

「あ、着いた」

あっという間に着いてしまい、小田は表情に気をつける。

荷物を取り出すと、お茶のようだった。

ーよし行くぞ。

覚悟を決めると、家のチャイムを鳴らす。

すぐに反応があり、「どうぞ」と声がかかる。

「失礼いたします。宅急便です」

そう言って中に入ると、いつもは頑固そうな男性が出てくるのに、今日は70代くらいの女性だった。

「住所と名前を確認してください」

「はい」

奥さんなのか素直で、小田は少し肩透かしを食らう。

人間が違うと、気持ちも違うのだなと思い知る。

ー一方的に決めつけては駄目だな。

自分の悪い癖を反省し、奥さんがハンコを押すのを凝視する。

「はい、ありがとうございます」

荷物を渡すと、奥さんは丁寧に頭を下げてくる。

「どうもありがとうございました」

「いいえ。またよろしくお願いいたします」

「ーちょっと待て」

奥から主人が出てきて、小田はぎょっとする。

無事に終わると思っていただけに、緊張し始める。

「あの…?」

「これでも持っていけ」

差し出されたのは、茹でたとうもろこしだった。

小田は戸惑う。しかし主人は強引に押しつけると、

「早めに食え。俺の家のとうもろこしだから」

そう言って去って行った。

意外な展開に、小田は反省する。

ー人は深く付き合ってみないと、分からないな。

怖い人だと思っていたが、とうもろこしを渡され、気分が上昇する。

奥さんも主人が去った方向を見、

「うちの主人、強引でしょう? 申し訳ありません」

謝ってきたので、小田は手を振る。

「いいえ。あの、とうもろこし、ありがとうございます」

お礼を言うと、家を後にする。

運転席に座ると、とうもろこしを一口、齧ってみる。

「…うわ、美味っ!!」

頑固親父の作ったとうもろこしは、性格に反して、甘くて柔らかかった。

意外な一面を知り、これからは決めつけないようにしようと誓い、家を後にするのだった。


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