庵での再会—夏の始まり
山道を抜けた先、庵の屋根が見えたとき――六人の胸に、自然と安堵が広がった。
木々に囲まれた佇まいは、変わらぬ静けさでそこにあった。
「……着いた!」アマネが先に駆け出す。
振り返った笑顔は、学園にいるときよりもどこか柔らかい。
門をくぐると、縁側に腰掛けていたルシアンが目を細めた。
「やあ、ようこそ。遠い道をよく来たな」
その声に続き、台所から顔をのぞかせたアサヒが手を振る。
「おかえりなさい。準備はできてるわよ」
アマネは胸を弾ませて仲間を振り返る。
「ね、ね? やっぱり落ち着くでしょ!」
ジークは目を丸くし、ぐるりと庵を見渡す。
「……なんか、いいな。山の空気っていうか……肩の力が抜ける」
「ええ、静けさの質が違います」カイルは真剣な顔であたりを観察する。
「魔力の流れが穏やかで、均衡が保たれている……まるで結界のようです」
アルトは一歩縁側に足を踏み入れ、深く息をついた。
「来るたびに、新鮮さと同時に懐かしさを感じる……そんな場所だな」
その言葉に、アサヒは目を細めて微笑む。
リュシアは静かに手を胸に当てていた。
「……私も、やっと戻って来られた気がします。ここは……心が休まる場所です」
ミナはくるりと振り返って、にやっと笑った。
「よーし! じゃあさっそく合宿スタートね! まずは腹ごしらえから!」
「おいおい……」ジークが呆れつつも笑う。
縁側には、再会の温もりと夏の匂いがあった。
それぞれの胸に抱く思いは違えど――庵は確かに、彼らを受け入れていた。
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