最終決戦②—勇者の刃
※軽度の戦闘・流血描写あり(R15想定の範囲)。
影に覆われた広場。
紅い瞳のラインハルトが、異形めいた腕を振り下ろすたび、大地が軋み、黒い裂け目から瘴気が吹き出した。
「止めろッ!」
ジークが吠え、全身で衝撃を受け止める。鋼のような剣筋が、影の拳とぶつかり合った。
「防御結界、展開!」
カイルの詠唱が走り、淡い光の壁が仲間を包み込む。ひびが刻まれても、彼は歯を食いしばって維持する。
「光よ――爆ぜろ!」
ミナが錬金の魔法陣を叩き込み、閃光が広場を覆った。影の化け物たちが怯み、わずかな隙が生まれる。
「援護します!」
リュシアが両手を胸に重ね、必死に呼びかける。祈りの光が仲間の傷を癒し、心を奮い立たせる。
「アルト!」
仲間の声が重なった。
アルトは剣を握りしめ、一歩前に出る。
「俺が……勇者として、終わらせる!」
その瞬間。
横を駆け抜けた小柄な影――アマネの刀が、疾風のように閃いた。
彼女の刃は核の輝きにわずかな亀裂を刻む。
「今だ、アルト!」
カイルの叫びが響く。
アルトが渾身の突きを放つ。
仲間たちの力を背負った剣が、アマネの一閃に続くように核へ突き込まれた。
「ぐああああああああああッ!」
ラインハルトの絶叫が広場を震わせる。
紅い瞳が砕け散り、影の魔物たちが霧となって消え去った。
轟音とともに結界が崩れ落ち、静寂の中に朝の光が差し込む。
◇
「やった……! 本当に倒したんだ!」
ミナが涙ぐみ、ジークが大剣を肩に担ぎながら笑った。
「さすがだな、アルト!」
リュシアは両手を胸に当て、祈るように囁く。
「勇者の御業……学院を救いました」
カイルも眼鏡の奥で頷き、淡々と告げる。
「……今の一撃、間違いなく“勇者の刃”だった」
仲間たちの視線がアルトに集まる。
彼は深く息を吐き、剣を下ろした。
その姿に歓声が広がり、学院を救った勇者としての名が、確かなものとなった。
◇
そして、崩れ落ちた瓦礫の影に、小さな刀の痕が残されていることを――
この場で誰一人、まだ気づいてはいなかった。
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