イレーネ助教の奔放授業
石造りの教室に午後の日差しが差し込む。
教壇に立つイレーネ助教は、燃えるような赤髪を揺らしながら艶やかに微笑んだ。
「――魔力は血流や呼吸と似ているの。感情や……ちょっと言い方を変えれば、男女の関係でも同じようなものよ」
蠱惑的に片目を細め、唇に指先をあてがう仕草。
一瞬、空気が止まった。
「……っ!」
前列の女子生徒が一斉に真っ赤になり、視線を逸らす。
その沈黙を破ったのは、後列の男子たちだった。
「せ、先生それマジですか!?」
「男女って……いやいやいや!」
「うぉー! 今日の授業、最高だな!」
教室のあちこちでざわめきが弾ける。
ジークが「お、おい落ち着け!」と叫ぶが、自分も耳まで赤い。
カイルは咳払いしつつ眼鏡を押し上げる。
「せ、先生、その例えは……不適切では?」
だがイレーネは涼しい顔のまま、肩をすくめて答えた。
「大切なことよ。心の繋がりが強ければ強いほど、魔力の循環は澄んでいくの。――友情でも、愛情でもね」
アルトは唇を噛み、俯きながらも頬が紅潮していた。
その横で、アマネは手を挙げて慌てて声を上げる。
「せ、先生っ! それって、つまり……!」
「ええ、アマネちゃん。あなたの言うとおり」
イレーネはにやりと笑った。
「“誰かと心を通わせること”――それが最大の魔力強化になるのよ」
女子湯にて
「……あー、もう! 先生ったら!」
アマネは湯の中で真っ赤になって縮こまっていた。
「でも、面白かったじゃん」ミナが湯船で足をぱちゃぱちゃ。
「男子の反応、めっちゃ分かりやすかったし!」
リュシアは耳まで赤くしながら、視線を逸らす。
「……わ、私は……別に、ああいう話に動揺してるわけじゃ……」
「リュシア、顔真っ赤だよ?」アマネが覗き込むと、リュシアは慌てて湯に沈んだ。
そんな二人を見て、ミナはくすくす笑う。
「でもさ、イレーネ先生の言うこと、ちょっとわかる気しない? 仲間と一緒の方が、なんか力が出るってやつ」
アマネは胸に手を当て、小さく頷いた。
「うん。……私も、そう思う」
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