大地と氷の激突
轟音を響かせながら、バロルが巨腕を振り上げる。獣群が地を埋め尽くし、咆哮と共に突撃してきた。その一歩ごとに地面が陥没し、衝撃で兵たちの足元が揺らぐ。
「ジーク、前へ!」アルトが叫ぶと、豪胆戦士は迷いなく踏み出した。
「任せろッ!」
轟斧ヴァルガルムが火を噴き、炎の奔流が獣群を焼き払いながらバロルへと迫る。巨腕と巨斧が激突し、爆ぜるような衝撃が戦場を震わせた。互角の力比べ——だがジークの炎は確かに獣王を押し返していた。
一方でモラクスは空を凍てつかせ、無数の氷刃を降らせてきた。鋭い氷の雨が兵を切り裂こうと迫る。
「風よ、盾となれ!」
カイルの詠唱に応え、氷と風の結界が仲間たちを包み込む。透明な壁は氷刃を弾き、続けて放たれる癒しの光が負傷兵を立ち上がらせた。杖と祈聖書を操る彼の姿は、戦場におけるもう一つの守護そのものだった。
「こっちだって黙ってない!」
ミナが魔導銃を構え、赤き弾丸を撃ち放つ。炸裂した魔力弾が氷の結界を砕き、紫の弾丸が地を走って仲間の足場を補強する。小柄な身体で縦横に駆け抜け、誰よりも迅速に仲間の窮地を支えていた。
後方では、エリスティアが弓を引き絞る。精霊弓から放たれる矢は魔物の群れを正確に射抜き、味方が進む道を切り拓いていく。その一射一射に込められたのは、守り人としての血の誓いだった。
「——これ以上、ソレイユは渡さない!」
アルトが黎剣セラフィードを掲げ、光が戦場を照らす。その光の下で、仲間たちは息を合わせ、巨躯の四天王二体と真正面からぶつかり合った。
戦場の熱気と冷気がぶつかり合い、瓦礫が宙を舞う。だが、恐怖よりも強い決意が、この瞬間ソレイユの大地を支えていた。
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