ソレイユ攻防・第二ラウンド
戦場を包む轟音の中、アルトが《黎剣セラフィード》を高く掲げた。その刃から光が奔流のように広がり、仲間たちを包み込む。
『——戦域展開!』
光の結界が張り巡らされ、瓦礫と炎に覆われた大地が一瞬にして守護の陣へと変わる。味方の息が整い、恐怖で揺らいでいた心が力強さを取り戻していった。
「勇者と聖女が帰る場所を、そして自分たちの居場所を俺たちが作るんだ!」アルトの声が全軍に響き渡る。
その中心に立つ彼らの前に、強化されたバロルとモラクスが立ちはだかる。大地を踏み割り、獣群を従えるバロル。氷嵐を巻き起こし、空を凍らせるモラクス。かつての力を遥かに凌駕し、その威圧感は戦場の空気を震わせた。
「来いよ……!」ジークが轟斧ヴァルガルムを肩に担ぎ、炎を纏わせる。赤々と燃え上がる炎が巨躯を照らし、雄叫びと共に振り下ろされた斧がバロルの巨腕と激突した。
「風よ、癒しを——氷よ、盾となれ!」カイルは祈聖書を掲げ、詠唱と共に仲間の傷を癒し、風と氷で結界を重ねる。杖の先から紡がれる氷壁が仲間を覆い、衝撃を受け止めた。
「はああっ!」ミナは魔導銃を構え、多彩な魔力弾を撃ち放つ。赤き弾丸は防御を打ち破り、青き弾丸は仲間に治癒を与え、紫の弾丸は地を走り結界を展開した。戦場を縦横無尽に駆け、仲間の背を支える。
そして後方から、エリスティアが精霊弓を引き絞る。放たれる光の矢は精密に魔物の急所を射抜き、群れを次々と駆逐していく。その瞳は恐怖を越え、神樹の守り人の血脈としての覚悟に燃えていた。
一方、ガロウ先生やイレーネ先生たちは別の戦線で、溢れる魔物を薙ぎ払っていた。若きギルド員、ロイクやユウマ、ミオ、レナも必死に刃と魔術を振るい、必死に味方の背を守る。
「押し返せ! 勇者と聖女が帰るまで、絶対に道を繋げ!」
その叫びが戦場に広がり、全員の胸を震わせた。強化されたバロルとモラクスは確かに強大だったが、それを凌駕する意思の炎が、今ここに燃え上がろうとしていた。
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