表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

383/471

ミナの精霊の儀

庵に漂う空気が一変し、神樹の芽が青白い輝きを放った。その光はまるで星々の粒子のように広がり、ミナの胸へと吸い込まれていく。仲間たちの視線が自然と彼女に集まる中、ミナは深呼吸をして魔導銃アルキメイアを抱きしめた。

「……ついに、私の番だね」

声には不安よりも、わずかな高揚が混じっていた。支援役として仲間を助けてきた彼女が、初めて真正面から自分の覚悟を問われる瞬間だった。

視界が揺れ、意識は不思議な空間へと導かれた。そこは、果てしなく続く本棚と、天井に広がる星空が重なり合う場所。無数の書物が宙に浮かび、文字の光が流星のように空を駆けている。

――知を求める者よ。お前は何を望む。

声は静かだが、無限の知識を背負った重みがあった。ミナはぐっと拳を握り、正面を見据える。

「私は……ただの支援役じゃ終わりたくない。知識も技術も、全部を仲間の未来を切り開く力にしたい!」

その言葉に、本棚がざわめき、無数の書物が開いては光を放った。光はやがて銃口へと集まり、術式の紋が浮かび上がる。攻撃、治癒、結界、罠……すべての可能性が弾丸に込められて脈動していた。

――ならば、その叡智を形にせよ。名を与えよ。我はお前と共に在ろう。

ミナは胸を張り、声を響かせた。

「知識と記録を力に変える叡智の精霊! 私が呼ぶ名は――『ロゴス』!」

その瞬間、星空が砕けるように光を散らし、全ての輝きがミナの体と《アルキメイア》に注ぎ込まれた。銃は青白い光に包まれ、かすかな音色を響かせながら応える。

現実へ戻ったミナの背に、光の羽根のような幻影が広がった。彼女の周囲を漂う文字の粒子が、叡智の象徴として淡く煌めく。

「ミナ……!」アマネが驚きの声を上げる。

リュシアは微笑み、「あなたの知識が未来を繋ぐんだわ」と静かに告げた。

ジークは口元を吊り上げた。「なるほどな。お前らしいじゃねぇか」

カイルは感心したように頷き、「これで仲間の守りがさらに強固になるね」と言った。

エリスティアも温かな眼差しを向けた。「戦場を支配するのは、力だけではありません。叡智もまた、大いなる力です」

ミナは頬を少し赤らめながらも、堂々と仲間を見渡した。

「ふふん、これで私も立派に一人前だね! もちろん、みんなのサポートも忘れないけど!」

庵に笑い声が広がる。その中で、ミナの瞳は誇らしさに輝いていた。叡智の精霊ロゴスと共に歩む新たな未来が、確かにその手に握られていた。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ