継星刀アストレイド・後篇
二日目の夜明け、鍛冶場の槌音はさらに重く響いていた。ブリューナの熟練の手と、ミナの支えが一つになり、旧き刀は新たな姿を得ようとしていた。
ミナは火の管理や水晶の調整を任され、かつてない集中力を発揮していた。鍛冶師の助手としての役割を超え、仲間の武器作りに深く関わっている実感が胸を満たしていた。「私も……アマネの隣で戦えるんだ」その思いが、彼女の動きを力強いものにしていた。
やがて刃の形が整い、冷却の時が訪れる。水槽に沈められた瞬間、白い蒸気が一気に立ち込め、鍛冶場は霧の海に包まれた。その中から現れたのは、漆黒の鞘と星を宿した刀身だった。
「……完成だ」
ブリューナの声に、皆が息を呑む。
アマネは刀を手に取り、指先から伝わる確かな重量を感じた。鞘を払うと、刀身に光の筋が走り、仲間たちの顔を照らした。
「《継星刀アストレイド》」
その名を告げた瞬間、刃が星のように瞬いた。
庭には木製の人形が運び込まれた。アマネは刀を構え、呼吸を整える。仲間たちの視線が集まる中、踏み込みと共に刃を振り下ろした。
光の尾を引きながら刀身が閃き、人形は一瞬で粉砕される。その光景はまるで流星が地を駆け抜けたようで、ジークが思わず声を上げた。「……すげぇな。これが勇者の刀か」
アマネは刀を納め、仲間を見渡した。「まだ始まりにすぎない。でも、この刃で必ず守る。皆を、そして未来を」
ミナは満面の笑みを浮かべた。「やっぱり、アマネが最後に完成させるのが一番似合うね」
星明りの夜、アマネの新たな力は確かにその輝きを放ち始めていた。その隣には、鍛冶の道を歩み始めたミナの確かな足跡も刻まれていた。
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